2001 ホビー・データ『アラベスクEX3 レマンシアの竜騎士』

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[プレイングマニュアル][シークレットファイル]

キャラクター

設定

[ノイン・ファイベンド] [ノイン・ファイベンド]

名前
ノイン・ファイベンド
種族|カテゴリー|クラス|立場|性別|年齢
レイディアント|首領|辺境騎士|レイテノール|女|2歳
特徴
無感情、腰が細い、優雅、口達者
夢・野心|ポリシー|好きなもの|大切なもの|嫌いなもの|絶対したくないこと
天寿をまっとうする|忠誠|勝利|主|敗北|裏切り
設定
  • 生死の境をさまよったことがある
  • 目的のためには手段を選ばない
  • 涙で相手を誘惑するのが得意

説明

「実年齢より年かさに見えるキャラクター」第1号……というわけではなく、人造人間であるレイディアントは寿命が3年ほどしかないため、このような年齢設定(2歳)になっています。

ちなみにこのキャラクターは、第2回からの参加です。初回に「フォウ・エンディンス(4-End-Ins)」という名前の「辺境騎士」を作成しましたところ、システムトラブルにより「戦士」として登録されてしまったため、「ノイン・ファイベンド(9-5-End)」として再登録を行うことになったのです。なお、名前の由来はパソコンのテンキーを御覧ください。

『蒼き流星SPTレイズナー』第2部のロアン・デミトリッヒのように、最終局面でPC側に寝返ることを目論み、初回アクションでNPC側に投降しましたところ、私以外にNPC側に付くことを選んだ人がいなかったためか、いきなり治安維持隊長という役職に任ぜられました。さらに、アクションにはそのような素振りは一切見せなかったにも拘わらず、第4回リアクションで寝返るお膳立てをされてしまったため、第5回アクションで行動に移したのですが、マスター曰く「あと1、2ターン持ちこたえれば、ロアンと同じ状況に持ち込めたと思われますし、ノインの意志は第2ターンに睨んだ通りでした。それだけに、今回の勇み足が悔やまれます。さすがに、乗った船が泥船では助け船が出せません」と見事に失敗。以後は大した活躍もできないまま、最終回を迎えることになりました。

なお、政治・軍事物が苦手な私がKBブランチにキャラクターを投入したのは、某氏からお誘いを受けたためです。その某氏は某氏で、初めのうちは私からの情報を無いものとして他のプレイヤーさんとアクション会議をせねばならず、苦労されていたようです。

reference

項目

開始前

日記からの抜粋

2001.05.20 sun

『レマンシアの竜騎士』のもう片方のキャラクターを考える。

投入予定ブランチは某氏から推薦があったKBブランチ。私にとっては、ほぼ初めての政治関係ブランチである。

普段の私なら、クラスを辺境騎士にでもし、戦闘技能を一点集中ゆえ指先に上昇させ、アクションでは戦闘以外のことばかりをやる、となる。しかし、今回のシステムではどう考えても、新規キャラクターは数値面でコンバートキャラクターに勝てない。あちらは技能を最初から10LV持っていたり、キャラクターLVが30あったりするのだから。となると、技能を1つのものに特化させたとしても、それは全くキャラクターの個性にはなりえないだろう。

ちなみに私は「技能はマスターに使ってもらうもの」という考えでいる。戦闘技能や魔法技能を修得しているからといって、それらの使い方をアクションに書く必要はないと思っている。どうせ状況はその時その時で変わっていくのだ。ならば、アクションは行動目的や動機をメインにし、詳細な手段はマスターまかせにしてしまった方が臨機応変に対応できる。それに、その行動がストーリーを面白くすると判断して貰えたならば、いくらでもマスターは助け船を出してくれると思うのだ。

話がそれた。

というわけで、再びマニュアルを読み返す。

「やはり、レイテノール貴族か何かにするべきか……」

そんなこと考えていたときに、ふと目に飛び込んできた1つのクラス。

辺境騎士。

これだけならば何も問題はない。しかし、種族が「レイディアント」となれば話は別だ。人造人間の騎士……そんなものが世界観的に許されるのだろうか?

うぅっ、これは魅力的だのう。第1回において、マスターがそのPCの立場をどう位置付けるのか。それを確認するだけでも投入する価値があるように思えてくるぞ。

華やかに狂える衝動に僕も突き動かされようとしているのか。

2001.05.21 mon

昨日に引き続き、キャラクターの作成。

種族&クラスは、レイディアントの辺境騎士に決定。せっかくシリアスに行くというのに、この時点で既にイロモノである。

しかし、「感情がない」というのは非常に面倒だ。いったいどのあたりまでを「感情」と呼ぶのかが判然としない。「嬉しい」「楽しい」「悲しい」といったものはよいとして、「美味しい」「心地よい」といった体感的なものはどうなるのだろうか。こういったものまでも感情とするのなら、「好きなもの」「嫌いなもの」「大切なもの」「ポリシー」なんて殆ど設定できないぞ。以前、エスプレイドやレイフォースを登録した人は、この辺りをどうしていたのだろう? やはり、ある程度の「感情」を取得させていたのだろうか。

だが私は、引かぬ! 媚びぬ!! 省みぬ!!!

というわけで、「性格的特徴」におもいっきり「無感情」を選択し、背水の陣を引く。もっとも、「感情がない」と「機械的な対応」とが必ずしもイコールで繋がるわけではない。「意」と「知」があり、それなりの経験があるならば、十分、「情」があるように装うことができるだろう。「十分に発達した科学は、魔法と区別が付かない」という言葉があるが、「十分に上達した演技は、感情と区別が付かない」と言える筈だ。

結果、「涙で相手を誘惑するのが得意」「口達者」「演技」「社交術」「宮廷知識」「賭博」と、ふつーのレイディアントならば選択されないだろう設定や技能を多く抱えることになった。

果たしてマスターは、こいつのデータを見てどんなキャラクターを思い浮かべるだろうか?

第01回 KB1 『幕開け-レイテノール壊滅-』(山本大介マスター)

リアクション

「アイセリーナ様ぁ、泣いてばっかりいると、幸せが逃げちゃうよぉ? 早く涙ふいて、会議に戻ろうよぉ」

「うん。ごめんね、ルゥ。カール、ショウ、じゃあね」

手の甲で涙を拭うと、アイセリーナはルウに手を引っ張られて会議へと戻ってゆく。あとには、かける言葉を失ったままのカールとショウが残されていた。

その様子の一部始終を、護衛として雇われたフォウ・エンディンスが怪訝な顔付きで眺めていた。

「涙。私の涙とは違う、誰かに見せるためのものではない、涙。なぜ、そんな涙を流すのですか?」

レイディアントであるフォウにとっての、人間という生物への尽きない疑問。その答えをも見通そうと、フォウはアイセリーナの歩み去った扉を、じっと眺め続けていた。

「感情って、なんですか?」

マスターより

戦乱のノディオンへ、ようこそ。今回は状況説明が多くなってしまい、個々の描写はいまいちかと思います。次回からリアも二本に分岐しますので、気合のはいったアクションをお待ちしています。

日記からの抜粋

2001.06.25 mon

『レマンシアの竜騎士』PA&KBブランチリア到着。

一番の興味は、KBブランチに投入したレイディアントな辺境騎士がどのように扱われているかである。早速、リアクションに目を通し……って、ちょっと待て。連絡先一覧でクラスが「戦士」になっているぞ。慌てて、データシートを確認……こちらも「冒険/戦士」だ。登場シーンを読んでみると、雇われの護衛ということになっている。

何故に?

確かに「レイディアントで辺境騎士が選択可能なの?」と疑問には思っていた。だからこそ、マニュアルやハガキを読み直し、このことに関する修正事項がないことを何回も確認したのだ。

しかし、現実はこうである。なにはともあれホビー・データに確認するしかあるまい。「レイディアントの辺境騎士」という存在がOKならば、名前を変えて再登録を行い、最初から辺境騎士として行動していきたいし、もし不可ならば、最初からキャラクターを作り直したいと思う。そう、ブランチ移動も視野に入れて。

それにしても、登録シートのコピーをちゃんと取っておいて良かったよ。まさか、本当に使うことになるとは思っても見なかったぞ。さて、ホビー・データにFAXするとするか。

……えーっと。

FAXって、どっちを表にするんだっけ? FAX使うなんて『ステラマリス・サガ』以来だよ。

2001.06.26 tue

家に帰ると、ホビー・データからFAXが届いていた。

カテゴリーとクラスが変わってしまったのは、システムの設定誤りだったらしい。FAXの送信時刻を見ると、16時44分。状況把握&原因特定までに結構時間が掛かったようだが、おおむね迅速な対応と言えるだろう。

「よくできました」

以後の手続きとして提示されたのは、以下の2つ。

  1. 現在のキャラクターで、「名前」「クラス」「カテゴリー」などを訂正して新しいキャラクターとして使用する(カテゴリーとクラス以外の部分については、二重枠の部分のみ訂正可能)。
  2. まったく新しいキャラクターとして再登録する。

何がどう違うのかさっぱりわからないが、また失敗すると面倒なので、2番を選択。あとの問題はアクションシートだ。新しいものを送ってもらえるのか、それとも今手元にあるものを使うのか。他にも幾つか聞きたいことがあるので、電話で確認することにした。現在の時刻は19時5分。5分ほど連絡可能時間をオーバーしてしまっているが、まぁ、すぐに帰るわけではあるまい。

「はい、ホビー・データです。当社の営業時間は、14時から19時までとなっております。のちほど、営業時間内におかけ直しください」

プツッ。ツーーーーーーーーーー・・・・・・・・・・

「もっとがんばりましょう」

仕方がない。また、FAXすることにするか。と、その前にコンビニで登録シートをコピーしてこなくちゃいけないな。うぅっ、面倒だ。

50分後、登録シート&手紙完成。というわけで早速送信。まぁ、明日には返事が来るだろう……と思っていたら、その30分後、まさにこの日記を書いてる最中にホビー・データからFAXで返事が届いた。新しいアクションシートは打ち出し、こちらに送るとのこと。

「たいへんよくできました」

2001.06.27 wed

アイデアを他に売り込む場合は、あなたの立場を穏やかに確実に述べることである。この態度により、聞き手は受け身の立場に立たされ、多分彼は、あなたの方向を向き、あなたのアイデアの価値を信じるようになるだろう。しかし、仮にあなたが絶対的に傲慢な調子で彼を攻撃するならば、あなたのアイデアがたとえどんなに良くても、それに反対するだろう。

ベンジャミン・フランクリン

これは何もアイデアに限ったことではない。相手を説得する、又は納得させるときなど、自分の意見を述べるとき全てに共通することだろう。

というわけで、昨日、一昨日のFAXには攻撃的なことは殆ど書かなかった。そりゃもう、

「あんたのとこのミスのおかげで、「初回における立場の確立」っていう非常に重要なことがパーになっちゃったわけですよ。その上、面倒な手続きを何回か取らされて。それなのに、「無料でキャラクターの再登録を行います」で終わりなわけ? あんたの誠意をみせて欲しいんです、俺は。(by『ヒットマン事件簿』)」

とか思ったりもするわけだが、余計な荒波を立てる必要もないし、それが元でいざこざが起きたりしたら双方とも嫌な思いをするだけである。ということで、今回はあくまで穏やかな文面に終始させた次第。

っていうか、そんなことよりFAXにあった肩書きが非常に気になるんですけど。

ホビー図書・ゲーム雑誌出版デザイン 有限会社ホビー・データ

いったい、いつの間にそんな会社にッ!?

話しかける姿勢も大事だが、相手の意表をつくことの方が効果があるかもしれない。

2001.07.01 sun

実は、昨日の日記に書こうと思っていたことがある。

なんと、ホビー・データから再登録キャラクターのアクションシートが届かなかったのだ。昨日届かないとなると、今日速達で届かない限り、明日の〆切には間に合わないことになる。そして今日、速達は届かなかった。

「おい、コレってどういうことよ? 所詮はホビデってことなのかい?」

などといった思いを抱きつつ夕飯を食べようと食卓に着いたら、視界の左隅に見慣れた封筒があった。それは、まぎれもないホビー・データからの封筒! 表を見てみると速達は使っていない……ということは、昨日の内に届いていたということか。

「お袋殿ーッ! 人の手紙持ってきたんなら、言ってくれよーッ!!」

果たしてそれは、金曜日に親父の転勤先から戻ってきていた母の仕業であった。危ないところである。自分の勘違いによりホビー・データを一方的に非難するところだったのだから。

手早く食事を済ませた後、自室に戻り、封を開け中身を確認する。間違いない、再登録キャラクターのアクションシートだ……って、あれ? ちょっと待てよ。一つ、二つ、三つ……えーと、あのー、3箇所ほど登録ミスがあるんですけど。

「おい、コレってどういうことよ? 所詮はホビデってことなのかい?」

2001.07.02 mon

文章はわかりやく簡潔なものが望ましい。

公文書ともなれば、なおさらである。つい詳しく説明を書こうとして「~であるが、」「~となり、」などと延々と文章を続けていった結果、主語述語の関係がわからなくなってしまうようでは本末転倒と言える。

それはさておき、『デモンスリンガー』以来、私はアクションをできるだけ簡潔に書くようにしている。細かく書けば書くほど、状態を限定することになり、逆に穴ができてしまうからだ。もっとも、私好みなマスターは、そういった事態に陥ったときでも、キャラクターをその設定や目的から臨機応変に動かしてくれるのだが。

そんな私にとって、『レマンシアの竜騎士』のアクションシートは絶望的とも言えるほどの記入欄を誇っている。『デモンスリンガー』では7行しかなかったプロット欄が倍以上の16行に増えているのだ。1ターンが3か月分だからということもあるのかもしれないが、はっきり言って私には多すぎる。

ひとまず、現在考えているアクションでどの程度の量になるかを確認するため、『一太郎』でシートの書式を設定し、打ち込んでみた。結果、PA・KBブランチ共におもいっきり下半分が空欄になってしまった。ほとんど火浦功の小説である。いったいどうやったら、このスペースを埋めることができるのか。しばらくの間、あれこれと考えて、私は結論を出した。

「無理だ」

結論はわかりやすく簡潔なものが望ましい。

2001.07.08 sun

「名簿か……何もかも皆懐かしい」

私も昔はよく名簿を作ったりした。私の記憶が確かならば、名簿を作ったのは『クレギオン#3』『クォ・ヴァディス』『竜創騎兵ドラグーン』『竜創騎兵ドラグーン2』『朧月都市』の5つ。しかし困ったことに、「名簿を作ったゲームは、あまり楽しめないままに終了する」というかなりイヤなジンクスが存在するため、現在では二の足を踏む状況にあったりする。シートと参加案内の手紙を作り、封筒に宛名を書き、後は切手を貼って投函するだけ、というところまで用意しておきながら、このことが脳裏をよぎり、結局出さずじまいだった『カルディネアの神竜』PCブランチのような例さえある。

結果、『カルディネアの神竜』は私の中で1、2位を争うほど楽しめたゲームとなったのだから、なんというか……。

と、それはさておき、善野忍者氏が『レマンシアの竜騎士』KBブランチ対応の名簿を作るとのこと。自分が作るのではなく参加するということについて上記のジンクスは存在しない。ということで、早速参加を決定し、本日その関係で忍者氏宅にお邪魔することになった。

『MTG』のデッキを片手に。

V1システムと北条さんの扱われ方に涙した後、忍者氏宅に直行。朝の10時から夜の9時分まで大いに『MTG』を楽しんだ。

すみません。名簿については10分くらいしか話しませんでした。だってホラ、忍者氏が使ってたのが『WORD』で、『一太郎』派の私には何もできないし、忍者氏が使ってたのが『Lotus 1-2-3』で、『EXCEL』派の私には何もできないし……。

「バカめ、と言ってやれ」

第02回 KB1 『闇の中の未来』(山本大介マスター)

アクション

行動目標
覇王軍/ガディス側に取り入る。
動機
より強きものに付くため。

リアクション

きょとんとするミラージュを置き去りに、歓談は続く。が、その和やかな雰囲気は、駆け込んできたフィリス・フレイスによって破られる。

「大変です! 『草枕亭』が摘発を!」

「何ですって!? 支部のみんなは!?」

「逃れた者も何人か……でも、大半は逮捕されたようです。……あの隊長、噂通りの凄腕のようですね」

フィリスの早耳は、新たに登用された治安維持隊の隊長の情報をも察知していた。

「……ふぅ」

クリスがため息をつく。

「しばらくは、大人しくしてるしかないのかしら」

カルディネア国旗が闇にはためく、レイテノール王宮。

その玉座の間は既に破壊され、実務的な執務室として造り替えられていた。その部屋の主、カルディネア第七軍の将、『白髭の悪鬼』オーロフ・ラウエンブルクの指示であった。

「失礼します。レジスタンスのアジトの殲滅、失敗致しました」

報告に現れたのは、ノイン・ファイベンド。フィリスの言葉にあった、新任の治安維持隊の隊長である。

「失敗? その割にはだいぶ逮捕者が出たらしいが?」

積み重ねた齢を十分に思わせる顔中の白髭の奥から、鋭い視線がノインに投げかけられる。

「いえ、取り逃がした者が何名か」

「レイディアントという連中は、皆そんなに完壁主義者なのかね?」

ノインの眉根が違和感で微かに歪む。驚き、という感情を持たぬために人間としての偽装が易々と見破られた、という現象もただの『違和感』として感じられる。オーロフの眼力を確かに感じつつ、ノインは答える。

「職務に忠実であることが、私の忠義の証ですから」

「忠義か、面白い。お主はここの攻略戦の捕虜ではなかったのかね?」

「私は、レイテノールという地にこの身を捧げています」

仕えるべきは、王ではなくこの大地。レイテノールを平穏に戻すことさえできれば、それが覇王軍であろうとアイセリーナであろうとどうでもよい。それが、ノインの選んだ道であった。

それを知ってか知らずか。オーロフはノインの功に対して治安維持隊の全体を任せることを約し下がらせる。

「血を流す駒は、多ければ多いほどよい。アンティス殿が望む世界は修羅の世界。今を生き抜く力無しに、未来は生きられまいて」

誰にともなく、独り呟くオーロフ。彼の一存で、レイテノールの大地は更なる血を啜り続ける。

白髭の奥には、狂気を湛えた暗い瞳があった。

マスターより

こんにちは。今回はいかがでしたでしょうか。オーロフより密命です。王宮の塔の政治犯はガディスです(現在は替え玉が執務を執るフリをしてます)。彼の殺害を内密に実行せよ、という指令です。

日記からの抜粋

2001.07.24 tue

早朝、KBブランチのリアクションを読む。結局、昨日はPAブランチを読んだだけで寝てしまったのだ。

昨日も書いたが、こちらのリアクションを読むのは少々気が重い。ひょっとすると精神的ショックで寿命が100日くらい縮まるのではないか? と推測されるほどだ。この好奇心と恐怖心とがない交ぜになった感覚は、まさに恐怖新聞と言えよう。

ちなみに前回のアクションは「覇王軍に投降して、以後はその命に従う」というもの。前回の『マスターより』に「レイテノール戦に参加した方は、脱出したことにしても、投降したことにしてもオッケーです」とあったため、「ってことは、投降した人達の話も用意されている筈。それに、いたとしても片手で数えられるくらいだろうから、その他大勢にならなくてすむな」と考えたからだ。ただ、その後に色々と余計なことを追記してしまったのである。キャラクター登録のトラブルのこともあり、被害者意識、というか幾分気が大きくなっていたのかもしれない。

まずは、個別シートの『マスターメッセージ』。

こんにちは。今回はいかがでしたでしょうか。オーロフより密命です。(中略)。彼の謀殺を内密に実行せよ、という指令です。

……は?

「それは、いったい何の話ですか?」

「オーロフって、いったい誰よ?」

多くの疑問符を頭上に浮かべながらリアクションを読み進め……なんかうちのキャラクター、覇王軍のレイテノール首都治安維持隊長に任命されてるんですけど。しかも凄腕らしいですよ、奥さん。というか、このままではプレイヤーの能力がキャラクターに追いつかないことまず間違いなしである。

しかし、投降したのがうちのキャラクター1人だけになるとは思わなかった。てっきり、スパイ活動をする人がいると思っていたのだが……初めての政治・軍事ブランチだというのにいきなり孤立無援状態である。

「助けてっ、百太郎ッ!」

2001.07.30 mon

こんにちは。今回はいかがでしたでしょうか。オーロフより密命です。王宮の塔の政治犯はガディスです(現在は替え玉が執務を執るフリをしています)。彼の謀殺を内密に実行せよ、という指令です。

これが7月24日では一部略してしまったKBブランチのマスターメッセージの全文である。KBブランチ参加者でこのサイトの存在を知っているのは忍者氏のみだと思うのだが、一応念のため、隠させて貰った。

王宮の塔の政治犯はガディス。

現時点でこの情報を与えられているのは、多分、私だけだろう。リアクションに於いては、今回行方不明になったアイセリーナ王女の居場所に関する情報の1つとして、「レイテノール王宮のはずれの塔のなかに、重要な政治犯が収容された」という表記にとどまっており、収容した側(カルディネア)に属するPCは私のキャラクター1人だけだからである。

悩み所は、この情報を公開すべきか否かということだ。

  • メイルゲームをまさしく『ゲーム』と捉え、己がPCの最終目的へと(云々)
  • 参加者で一つの物語を組み上げていくものだと捉えるならば、予定調和的な部分も(云々)

とか色々考えたりもしたのだが、根本的な問題は「見当外れのアクションを掛けようとしている(会費一回分が無駄になる可能性がある)のを知っていながら、黙って見ているべきかどうか?」ということになるだろう。結局のところ、私のアクションが「塔に来た人達を罠に掛ける」というものだったため、アクション締切が過ぎるまでこうして公開しなかったわけなのだが、それだけが未だに心残りである。

なお、オチはない。

2001.08.05 sun

KBブランチ名簿用のイラストを描いた。

珍しく、一発で下書き・ペン入れ共に終了。先週、PAブランチのアクションシートのキャラクタースケッチを30分以上も描き直し続け、結局納得のいくものが描けずに未記入のまま出してしまったのとは、えらい違いである。片目が髪に隠れており、さらに表情を殆どつけていないということが今回の勝利の鍵であろう。左右の目を同一平面上に描くことができない私にとって、片目というのは非常に描きやすいキャラクターなのだ。

続いて、名簿用アンケートを埋めていく。

「PCの最期を想像して下さい」という項目に、思わず「イズルードとアイセリーナの結婚式に向かう途中、チンピラに刺される」などと『ジェットマン』ネタを書いてしまう私。「1人くらいしかわかる人がいなかったらどうしよう?」とちょっと不安になったりもしたが、ここで引くわけにはいかない。っていうか、こういう質問があって、こういった答えがない方が嘘である。

「五代雄介、こういうのを知ってるか? 古代ローマで満足できる、納得できる行動をした者にだけ与えられる仕草だ。お前も、これにふさわしい男になれ。殆どネタをわかって貰えず、確かに悲しいだろう。でもそんな時こそ、たった1人の笑顔のためにボケれる男になれ。どこかで誰かが自分のネタに笑ってくれるって、すごく素敵なことだと思わないか? 先生は……先生は、そう、思う」

第03回 KB2 『迷走』(山本大介マスター)

アクション

行動目標
レジスタンスを検挙する
動機
首都から反乱勢力を放逐するため。

リアクション

首都レイテノールは、日を追うごとに都市としての活気を失いつつあった。ガディスの名において、ほぼ一週間を待たずに新たな政令が発布される。そのどれもが、新たな税の課税であったり、反逆者への断罪であったり、市民の心を暗く閉ざすには充分なものばかりであった。

その尖兵となっているのが、カルディネアの治安維持隊を率いるノイン・ファイベンド。ある日、自ら部下を率いてのパトロールから戻ったノインは、覇王軍第七軍の指揮官オーロフ・ラウエンブルク将軍からの呼び出しを受ける。

王宮の執務室に出向いたノインを、オーロフはじろりと睨みつけ、静かに、かつ力強く言い放った。

「奴は始末しろと言ったはずだ」

「お言葉ですが、殺してしまうには有効性がないかと」

「生存していないことが、最大の有効性だ。万に一つも、生還の可能性を残してはならん。市民の感情は奴に集中しておる。今の政策を続けるためには、間違っても奴への同情などが起きる素地を作ってはならぬ。情報を流す必要なぞない。速やかに蹴りをつけろ」

「承知いたしました」

オーロフは落ち着いたロ調で話しながらも、その瞳は狂気を早んだカのある光に満ち満ちている。

改めて命を受け、部屋を退出したノインは、部下に素早く再召集をかける。

命令を最善と信じ、自分に与えられた職務をこなす。レイディアント特有の感情の無さを、部下たちは冷酷さと受け取り、畏怖をもってノインを見上げていた。

「情報が間違ってたのか、それとも情報自体が罠だったのか……あるいはこちらの情報が漏れていたのか。いずれにしても、対策を練り直さないといけませんね」

意気消沈したアモルファス達は、アジトへと戻る。塔にいたのはノインの命を受けた治安維持隊員であった。ノインは既に収容していた人物を移し、救出に現れるであろうレジスタンスを捕縛するための罠を張っておいたのである。が、それを今のアモルファスは知る由もない。そして、その人物は意外な場所で発見される。

万一のバックアップに備えて下水溝に潜んでいたケアンレール・フォーリックは、クリス達の起こした騒動の音が聞こえて来ると、王宮の裏庭へ通ずる梯子を上り、出口から顔を出す。だが、そのケアンレールのいる下水溝の出口へ、裏庭から一目散に向かってくる数人の人影 があった。ケアンレールは慌てて引き返し、梯子を降りると下水溝の物陰に隠れる。

その集団も下水溝へと降りてくる。見つかったか、とケアンレールは剣の柄に手をかける。だが、しかし。

集団を率いていたノインは、部下の一人に下水溝の鉄柵の鍵を開けさせる。

「やめろ! 離せ!!」

集団の中から怯えきった声が響く。見ると、集団の中には後ろ手に縛られた格好の男が連れられていた。

「!!!!」

ケアンレールは目を見張る。その男には見覚えがあった。否、レイテノールの臣民ならば誰しもが、その男の顔を怨嘘の念と共に思い浮かべたであろう。

ガディス・ペルサーフ。ガディクルに健在のはずの、北レイテノールの独裁者である。

「は、話が違う!! 影武者を立てて安全な所に、と言ったじゃないか!!」

「影武者さえいてくれれば、貴方なぞ必要はないのですよ、ガディス様。こぼしてしまった水は、もとには戻らないのです。往生際が悪いですよ」

「やめろォ!! 俺はまだ死にたくないィ!!」

その言葉を聞くまでもなく、ガディスは浅い下水の中に転がされる。ノインはサーベルを抜き、逆手に待って振り下ろす。ガディスの腹に突き刺さったサーベルから水面に朱の模様が広がってゆき、水音に混じってガディスの苦悶の呼吸が泡の音のように聞こえる。

「身元不明になって頂くためには、お顔がそのままでは差し支えましょう?」

「たす……(ごぼっ)助けてくれ……」

主の着替えでも手伝うようにそう言うとノインは、苦しげに呼吸をするガディスの髪を掴んで無造作に頭を持ち上げ、開いた鉄柵の噛み合う箇所に放り出す。そして、鉄柵にガディスの顔を挟み込むと、思い切り扉を蹴り付けた。鉄柵がガディスの顔面に食い込み、頬の骨と数本の歯をへし折られる。ガディスは口と鼻とに充満する自らの血で窒息し、その身体はひくひくと痙攣する。僅かに右手のみが救いを求めて虚しく宙を掻いていた。

部下たちの間にすら余りのむごたらしさとノインへの怖れで動揺が拡がる。ノインが執拗に扉を蹴るたびに、ガディスの顔が裂け、骨が砕かれ、ちぎれた顔面の肉が下水へと流れてゆく。何度目かで眼球が破裂し、更に何度目かで頭蓋が割られ脳漿までもが流れ出し始めた。やがてガディスはぴくりとも動かなくなり、その首から上は肉塊とも人の頭ともつかぬ奇怪な物体と成り果てていた。

ガディスの顔が全く判別できなくなったのを確認すると、ノインは何事も無かったように亡骸を下水の奥へと流し落とす。その先は運河へと通ずる。恐らく、死体は誰の者とも分からぬまま処理されるだろう。

ノインとその部下たちが沈黙のまま立ち去ると、ケア ンレールは物陰からようやく姿を現す。額にはじっとりと汗が洛んでいる。

「何なんだよ、何でそんな事になってんだよ?」

混乱とショックから立ち直れないまま、ケアンレールは一人咳く。外から聞こえる騒動の音は、すっかり鳴りを潜めていた。

マスターより

レイディアントの上司というのは、ハッキリ言って怖い気がします。こうも切り替えが早くて行動が凶悪だと、誰でも引いちゃう気がするのは気のせいでしょうか。

日記からの抜粋

2001.08.20 mon

『レマンシアの竜騎士』のリアクションが届いた。

郵便受けの中に2つ封筒が入っているのを発見した時点で、よーやくPAブランチ以外にKBブランチにも参加していたことを思い出すあたり、かなりダメダメである。昨日のファイナル・イベントでPAブランチ関係の人達とのみ話をしていたことがその原因であろーか。

で、早速、リアクションを読んでみると……

「は、話が違う!! 影武者を立てて安全なところに、と言ったじゃないか!!」

「影武者さえいてくれれば、貴方なぞ必要ないのですよ、ガディス様。こぼしてしまった水は、もとには戻らないのです。往生際が悪いですよ」

「やめろォ!! 俺はまだ死にたくないィ!!」

その言葉を聞くまでもなく、ガディスは浅い下水の中に転がされる。ノインはサーベルを抜き、逆手に持って振り下ろす。ガディスの腹に突き刺さったサーベルから水面に朱の模様が広がってゆき、水音に混じってガディスの苦悶の呼吸が泡の音のように聞こえる。

「身元不明になって頂くためには、お顔がそのままでは差し支えましょう?」

「たす……(ごぼっ)助けてくれ……」

主の着替えでも手伝うようにそう言うとノインは、苦しげに呼吸をするガディスの髪を掴んで無造作に頭を持ち上げ、開いた鉄柵の噛み合う箇所に放り出す。そして、鉄柵にガディスの顔を挟み込むと、思い切り扉を蹴り付けた。鉄柵がガディスの顔に食い込み、頬の骨と数本の歯をへし折られる。ガディスは口と鼻とに充満する自らの血で窒息し、その身体はひくひくと痙攣する。僅かに右手のみが救いを求めて虚しく宙を掻いていた。

……なんか、凄いことになってるんですけど。

アクションでは「殺さない」としたのだが、再度「殺せ」と命令を受けたことによりレイディアントとして冷徹にその命に従っている。ひょっとすると、無感情なレイディアント等はマスターとして動かし安く、便利なキャラクターなのかもしれない。

それと、前回の『マスターより』でガディスを殺すことを命じられたとき、「何故、採用したばかりの兵士にそんな役目を?」と思っていたのだが、今回のリアクションを読んでその謎が氷解した。「忠誠度を試しているのだろうか?」「元レイテノール騎士に殺させることで、スケープゴートにしようとしているとか?」などと考えていたのだが、それらは全くの的外れ。PCをガディスに絡ませることにより、その死をリアクション上に展開する必要があったのだろう。つまり、ノインの物語的な役割は覇王軍の情報をリアクション上に引き出すことにあると思われる。だからこそ、首都治安維持隊長といった役職に任じられたのだろう。

ちなみに、今回の行動に対するマスターの言。

レイディアントの上司というのは、ハッキリ言って怖い気がします。こうも切り替えが早くて行動が凶悪だと、誰でも引いちゃう気がするのは気のせいでしょうか。

あんただ! あんたがやらせたんだよ!

2001.09.02 sun

『レマンシアの竜騎士』のアクションを考える。

まずはKBブランチだ。状況はかなり悪い。今回、私のキャラクターが重要NPCを秘密裏に殺しているわけだが、その現場を敵対PCに見られてしまっている。当然、相手側はその事実を公表し、勢力の切り崩しを掛けてくると思うのだが、こちらは見られたことを知らないため対策を立てることができない。

というか、うちのキャラクターは治安維持隊員。そんな政治的な駆け引きに口を出せる立場にはない。ここはやはり、いかにして覇王軍の情報をリア上に引き出すかを考えた方がよいのだろう。とは言っても、KBブランチで覇王軍の情報を持っているのはNPCのオーロフ唯一人。なんとか常時彼の側にいられるよう、理屈をこねくり回すしかあるまい。

あとは、本業の首都の治安維持……つまり、対レジスタンスであるが、正直なところ、こちらはあまり気が乗らない。レジタンスを取り締まったところでストーリー展開に殆ど貢献しないからだ。かつてのレイテノール第四軍総司令官の遺児で、現在レジスタンスに参加しているクリスティーナを捕らえることができれば面白い展開になるかも、とは思うのだが、今回の政治犯救出、そして次回のアイセリーナ救出と同じような展開が続くような気がして、いまいち君である。

とりあえず今回は、レジスタンスが見せた穴を突くことにする。現時点ではオーロフの信用を得ることが最重要課題だ。ノインの描写からすると、マスターは未だ、私がロアン・デミトリッヒを目指していることを知らない筈。敵を騙すにはまずマスターからある。

第04回 KB2 『光明と、暗転』(山本大介マスター)

アクション

行動目標
王宮の警備を強化する
動機
容易くレジスタンスに、侵入・撤退されたたため。

リアクション

「無様な真似を!」

カルディネア第七軍『雲竜軍』を率いるオーロフ・ラウエンブルクは、次々ともたらされる敗報に怨嗟の声を上げる。イスファハイン戦線では主力が数に劣るイスファハイン軍に一方的な敗北を喫し、レイテノール戦線では籠中の鳥としたはずのアイセリーナ女王を取り逃がしたばかりか、包囲していたはずのブフトまでも根こそき奪われる、という失態を演じていた。

そして会談の際に内通を約した相手は心変わりしたか捕らえられたか、内通の合図への返答は弓の一斉射撃だったという。本国からはままならぬ補給の改善どころか、他戦線への戦力移動の打診が来る始末である。今は悪い状況が出尽くしている。そう考えるしかなかった。

(陛下の、アンティス殿の理想を叶える日までは!)

改めて、オーロフはその意を強くする。

執務室に、ノックの音が響いた。

「失礼します」

一礼して、治安部隊の隊長ノイン・ファイベンドが入ってくる。オーロフは憮然とした表情を少しも崩さない。

「城の地下道の封鎖が完了致しました」

「今更。一度使った手をまた使うほど、奴等が頭の切れない連中ではあるまいて」

戦況の影響か、オーロフの舌鋒は鋭い。ノインが人間であれば理不尽に腹を立てるところでもあろうが、ノインはただ黙って一礼する。オーロフはふん、と鼻を鳴らすと、次の報告を促す。

「レジスタンスの捜査はどうなっておる」

「目撃情報と、流通の面から当たっております。が……」

ノインは語尾を濁す。

部下から上がってくる報告は、芳しいものとは言い難かった。というより、ただの一件の目撃報告すらつかむことができなかったのである。

「サポタージュ活動が非常に顕著です。更に取り締まりを強化するよう、指示は出しております」

最善の策を約し、ノインは部屋を退出レていく。到底、今後の見通しなぞ聞きだせる状況ではなかった。

ノインの読みは、半ばまで当たっていた。だがそれ以上に、駐屯部隊の末端の腐敗敗が進んでいたのである。末端の部隊は、職務のためではなくむしろ己の私服を肥やす目的で、日々の調査に臨んでいた。疑いをかけられた者は目こぼしと引き換えに酒や金銭を差し出し、それを得た兵士は『異常なし』の判断を下して相手を解放するのである。軍本部からの配給は乏しく、治安部隊の兵士たちだけが、満足な暮らしをしていると言っても、過言ではなかった。

そして、その腐敗はレジスタンスに巧妙に利用され、もはやそれが本当の捜査攪乱なのか、ただの厄介払いなのか、誰にも見分けはつかなくなっていた。だがノインはそのことを知る由も無い。

激動の一年が暮れようとしている。

部下を叱咤し、ようやく本格的なレジスタンス耶締りを進めていたノインは、オーロフからの至急の呼び出しを受ける。出頭したオーロフは、どこか虚ろな目をしていた。

「いかがなさいましたか、閣下?」

オーロフの口から語られたのは、次の一年も激動の年になることを思わせるのに、充分であった.

「陛下が……アンティス殿が……亡くなられた」

「陛下が?」

ノインにとっては実際のところアンティスという存在はどうでもよかった。だが、オーロフはその胸に激しい狂気を目覚めさせつつあった。

「以前のようにどこかへ旅立たれたのかもしれぬが、今この戦況でお隠れになるとは思えん。わしの力が、わしの戦働きがもう少し早ければ、この地を土産に陛下のもとへ参じることができたものを!!」

オーロフは天を仰ぐ。明らかに興奮状態に陥った彼は、ノインに向き直ると、恐るべき言葉をロにした。

「構わぬ! この地の抗う者を血祭りに挙げ、この地をアンティス殿に捧げるのだ! 早春を期して、一斉攻撃をかける! 市民より、全ての蓄えを供出させよ! 全てだ! この地が枯れようと構わん! 全軍を動かして、南の奴等を叩き潰すのだ!!」

「仰せのままに」

正気ではない。内心ではそう思いながら、ノインは一礼するとオーロフの執務室を退出する。部隊の詰め所へとは戻らず、ノインはそのまま、街へと歩き出していた。

広場の片隅で、ノインは立ち尽くす。オーロフは、この国を枯らし尽くしてでも総動員を行うという。そうして南レイテノールとイスファハインの軍を撃破して、あとに残るものは一体、何だろう? 自分はこのレイテノールという地に忠誠を捧げる、そのために覇王軍の軍門に下ったはずだった。だが、彼らの意図するものは……。

「あのどうか、なさいました?」

買い物に来ていたミラージュ・アクアマリンが、心配そうにノインに話しかける。まさか、ミラージュはこの無表情に空を眺めている女性が、自分たちレジスタンスの宿敵である治安部隊の隊長であるなどとは、夢にも思っていない。

「お気になさらないで下さい。ちょっと、考え事をしていただけですから」

「そうですかぁ……」

ミラージュは、ノインの傍らの壁に寄りかかり、同じ空を見上げる。

「明日も、晴れそうですねぇ」

ノインは、何も答えようとしない。

「私……こんなこと言うと変に思われるかもしれませんけど、あなたみたいな元気のない人を見るたびに、思うんです。今の、活気のなくなったこの街をカルディネアの人たちは望んでるのかな、って。平和に暮らす、ただそれだけのことが、そんなに悪いことなのかな、って」

ノインは、やはり何も答えようとはしなかった。やるせない気持ちに囚われるミラージュは、やおら手にしていた袋を、ノインに押し付ける。

「はい、これ! ……食べて元気になってね?」

そう言うとミラージュは雑踏へと駆け去ってゆく。ほんのり暖かい袋をノインが開くと、中には買ったばかりであろう蒸し饅頭が詰まっていた。

ノインは、無感動にその一つを取り出し、齧る。甘さと暖かさが確かな実感を伴ってノインの口中に広がっていった。

マスターより

部下が腐ってたり、上司がイッちゃってたり、なかなかレイディアントといっても苦労は多そうな展開です。次回あたりがターニングポイントになりそうな予感もしておりますが……どうでしょうか?

日記からの抜粋

2001.09.25 tue

『レマンシアの竜騎士』のリアクションが届いた。

まずは、PAブランチ。

こちらのアクションは、ほぼ失敗である。ストーリーの進行速度を完全に見誤っていた。喩えるならば、「次回は登山だ!」ということでその準備を行うアクションを掛けたら、リアクションでは登山を終えて打ち上げパーティまでやってしまった、といったところであろうか。

続いて、KBブランチ。

こちらもこちらで、アクション失敗……なのだが、リアクションでの扱いは殆ど主人公。っていうか、半ばNPC状態である。いずれ悪役NPCを刺すことを目論んでいたのだが、今回、マスターにそのお膳立てをされてしまった。今までのアクションにそれに繋がることは書いてこなかったというのに……先回りされてしまった感じでちょっと悔しい。これでは他の人達を驚かすことができないではないか。

正直なところ、PA・KBブランチ共にアクションというより、キャラクターの立場で登場させて貰っている部分が大きい。登場シーンは一行のみという人達も存在する以上、立場に負けないようなアクションを掛けていきたいと思う。

思うのだが。

「でも、こいつ殺しちゃったら、確実に出番減るよなー。っていうか、俺のキャラクターの存在意味なくなるし」とか考えてしまうあたり、かなり弱々である。

俺を叱ってくれ、ナタク。

2001.09.28 fri

『レマンシアの竜騎士』関係でFAのお誘いを受けた。

現在、レイテノールに進軍しているカルディネア軍を指揮しているのはオーロフというNPCなのだが、カルディネア軍の作戦統合本部長であるPCが彼を解任し、軍を全て撤収させるのだという。そしてその際、オーロフが抵抗したならば、治安部隊隊長である私のキャラクターに取り押さえて欲しいとのこと。

断る理由はない。1人でオーロフを殺害しようとするよりは成功率も高いと思われる。早速今夜、チャットでの打ち合わせにお邪魔させて頂くとしよう。問題は、チャット開始が夜の11時と、普段の私ならグーグースヤスヤピーヒャラピーと眠りこけている時間であることだが、まぁてきとーに時間を潰していれば大丈夫の筈。先日、忍者氏が置いていったドリキャス版『MTG』もあることだしな。

ふと目を覚ますと、刻は既に1時を過ぎていた。

第05回 KB2 『代償』(山本大介マスター)

アクション

行動目標
オーロフを拘束する/殺害する。
動機
オーロフの存在は、レイテノールの地に平和をもたらさないため。

リアクション

その頃、レイテノールの市民たちの間には、謎の吟遊詩人の噂が広まっていた。その目撃情報は、「可愛い女の子だった」「白い覆面をしていた」「黒薔薇の騎士の仮の姿だ」などと、恐らく若い女性であろう、という以外は全く要領を得ない。しかし、古くからレイテノールに伝わる伝説や、望郷の歌をかき鳴らし、勇気と、未来を信じることを織り込んだその歌声は、市民の間に着実に、静かな闘志を焚き付けていた。

治安部隊は当然のごとく、この詩人を捕えようと捜査を開始する。だが、凄腕の隊長として知られていたノイン・ファイベンドは今回の捜査には加わることなく、日夜を問わない詩人の出現の噂もあいまって、捜査はなかなか的を絞ることができずにいた。

詩人が実は二人存在していたことが、期せずして捜査を霍乱することとなっていた。覆面の詩人に身をやつしたミラージュは『月影の騎士』を名乗り、子供たちに歌声を聞かせて回る。そして、夜にはアリスという偽名を名乗るアルシャルク・フェルナンディアが、酒場にふらりと現れては古のレイテノールの歌をかき鳴らしていたのである。

アルシャルクはその日も、酔客を相手に静かに祖国の歌を唄う。静かに聞き入る酔客の拍手を受け、一息つくところを、不意に後ろから抱きしめる者があった。

(だっ……誰!?)

アルシャルクを抱きしめる腕。その制服には見覚えがあった。カルディネアの市内警備にあたる警備兵のそれである。アルシャルクは戦慄する。カウンターの奥にいた人物への注意を怠ったとはいえ、ここまで容易に背後を取られるとは。だが、しかし。

「ん~~~、かぁわいいんだぁぁ」

アルコールで赤く染まった類をすりすりと寄せ、アルシャルクの迷惑をよそに幸せにひたる女兵士。それは、覇王軍への潜入を果たしたマリス・ヴァレリウスのご機嫌な姿であった。アルシャルクは身動きをすることもできず、なすがままにべたべたされている。

「……明日の夜、南の門の兵を眠らせておくわ」

「え?」

類を寄せたマリスが、誰にも気取られぬようにそっとアルシャルクに囁く。明日の夜、それは、ボレアリス達がオーロフ暗殺を計画している夜である。

マリスはひとしきりアルシャルクにべたべたすると、酔っ払いを装ってふらふらと酒場を出ていく。アルシャルクは騒ぎが落ち着くのを待って席を立つと、夜の街へと駆け出していった。

翌晚。

計画の通りに、ボレアリスは単身軍司令部へと乗り込む。南の門の衛兵はマリスが言ったとおり、誰が手を下したのかぐったりと倒れている。『黒薔薇の騎士』の出現の噂を流し、アモルファス達が街中で騒ぎを起こしているため、兵士の数は少ない。

ボレアリスは敵兵を蹴散らしながら、玉座の間であったオーロフの執務室へと向かう。だが、そこにオーロフはいなかった。護りの手薄さもあり、ボレアリスは罠を疑い、辺りを見回す。

オーロフは、ボレアリスが全く意図しない場所に潜み、静かに機会を待っていたのである。

「……私一人で面会する。下がっていろ」

「ですが……はぁ……判りました」

アムスは、牢の外で聞こえる話し声に目を覚ます。牢の外の気配が少なくなる。

「静かに……レイテノールの未来を、あなたたちに託します、すぐにここから出て、本国に戻って下さい」

ノインは、衛兵から借り受けた鍵で牢の扉を開ける。

「貴公は?」

「レイテノールのために、覇王軍に身を投じていた者です。オーロフ将軍の暗殺の機会を窺っておりましたが、皆様の件があって以来、常に十数人の近衛に守られた将軍に手を下すことは不可能になりました。かくなる上は、皆様に本国にお戻り頂き、将軍の捕縛を再度進めて頂きたいと思います」

ノインの言葉に、アムスは牢を出る。だが、地下牢の階段を上がると、ノインは聞きなれた声に迎えられる。

「思わぬ獲物が網にかかったものだな」

護衛を引き連れたオーロフが、階段を囲むように待ち構えていた。オーロフは公開処刑に合わせてレジスタンスに何らかの動きがあるものと踏み、あえて警備を手薄にして地下牢に網を張っていたのである。

「将軍、おわかりください。私は、レイテノール人なのです」

ノイン、貴様の働きには感謝している。貴様のその働きに免じて、せめて祖国に埋葬してやろう」

じりじりと包囲の輪を狭めるオーロフ。と、その時。

「その人たちを放しなさい!」「オーロフ、覚悟!」

通路の前後から、ほとんど同時に声が響く。ようやくオーロフを見つけたボレアリスと、ブフト戦の報告に戻ることで覇王軍への潜入を果たしていたアルティス・フレアが、両側から剣を振り上げて突っ込んで妥る。近衛隊の数人が忽ち斬り伏せられ、残った者は泡を食って剣を構え、オーロフの周囲を固める。

その僅かな隙を、ノインとアムスは逃さなかった。傍らの近衛兵を殴り倒すと、脱鬼の如くに外と向かう。

「逃がすな!追え!」

オーロフの叫びが響く。だが、近衛たちは阿修羅のように戦うボレアリスとアルティスに気圧され、負うこともままならない。やがて、騒ぎを聞きつけた警備兵と近衛たちが駆けてくる。不利を悟った二人は目を見合わせ、目前の兵士を後続の部隊へ向けて蹴り倒すと、ノイン達の後を追って外へと逃れ出る。

既に司令部の中は厳戒態勢となっていた。逃れる先は市街しかない。

「急げ、こっちだ!」

ボレアリスが先導し、一行は市街の裏道へと逃れ、レジスタンスの同志が脱出を手伝う。

反逆者のアムス、裏切者のノイン、そして、憎むべきレジスタンス。オーロフはレイテノールの民衆を全て敵に廻してでも、彼らを捕縛せねばならぬ、という激情に駆られる。

「貴様たちが行ったことがどれだけの血を流すことになるか、思い知るがいい!!」

闇に叫ぶオーロフを押し止める者は、既になかった。

マスターより

お疲れ様です。レイズナーも調べたのですが、あと1、2ターン持ちこたえれば、ロアンと同じ状況に持ち込めたと思われますし、ノインの意志は第2ターンに睨んだ通りでした。それだけに、今回の勇み足が悔やまれます。さすがに、乗った船が泥船では助け船が出せません。

日記からの抜粋

2001.10.22 mon

『レマンシアの竜騎士』のリアクションが届く。

早速開封して中身を確認し……一安心。未着リアクションではなく、きちんとKBブランチが入っていた。『ネットワールド』に名前が載っていなかったのは、どうやら何かの手違いだったらしい。

さて、その中身であるが、行動はものの見事に失敗であった。「失敗するとしたら、作戦部長があまり部下を連れてこないか、俺のキャラクターが隊員を掌握してないことが原因になるだろうな」などと考えていたのだが、まさにその通りとなってしまった。色々と後悔する部分も多いが、なんとか反省に繋げることにしよう。

ちなみに『マスターより』には、

あと1、2ターン持ちこたえれば、ロアンと同じ状況に持ち込めたと思われますし、(中略)。それだけに、今回の勇み足が悔やまれます。乗った船が泥船では助け船が出せません。

とあったりする。前回の最後が、いかにも「刺してくれ」という感じの引きだったので、てっきり今回でオーロフは退幕するのかと思っていたのに……読みが大外れであった。

かたやPAであるが、こちらもこちらで行動失敗、というか、期待した効果が全く得られなかった。全体の流れを無視し、キャラクターの性格を大上段に掲げたようなアクションはやはりダメである。いや、NPCの考えを表に出すことができただけでもよしとするべきなのかもしれない。

マスターの手の上で踊りなさい。上手く踊るためにいい舞台を探しなさい。そこで上手く踊れてはじめて自分の舞台を要求しなさい。

とは、私が今まで一番楽しめたマスターの言。両ブランチともに残り3回の流れを見据えてアクションをかけねばなるまい。

2001.11.03 sat

『レマンシアの竜騎士』のアクションを考える。

まずはKBブランチだが、当面の目標はオーロフの殺害/失脚であろう。チャットなどを見てみるに、他の方たちが市民蜂起の指揮を、私が暗殺をメインとする、という形になっているようだ。しかし、実際問題、自由に城内を動けた第5回に暗殺できなかったのだから、既に指名手配の身となっている現在ではよほど上手い作戦を考えない限り成功はおぼつかないであろう。

というわけで、計画を大きく変更。私も市民蜂起の支援をメインに据えることにする。影化・変装・聞き耳・殺気感知といった技能を修得しているとは言え、所詮はそこらの狼に負ける(セカンドリア結果)程度の戦闘力しか持ちあわせていないキャラクターだ。それよりも、現在のこいつの最大の武器は覇王軍に関する知識の筈。ならば、それを最大限に活用して、覇王軍の指揮系統を混乱させることにしよう。