後者は、第9回で「デビルガ×ダム細胞」と「ネーデルガ×ダム細胞」と「メイドNPCの細胞」を取り込んだ後のもの。
宗教論争もできるシリアス志向のキャラクターとして作成したのですが、初回に配されたH1のマスターは全く予想の範囲外の高橋十夜マスターでした。
高橋マスターのリアクションを初めて読んだのは、仙台プライべで『クレギオン#3』のカムシティ幼稚園のものを見せてもらったときのこと。傍から見ていて非常に面白く、毎月、リアクションを読ませてもらうのが楽しみだったものですから、「次に機会があれば、是非、高橋マスターのところに行ってみたい」などと考えていたのですが、実際に参加した『アラベスク#1』のラーシュラージャは負け犬気味の結果となりましたので、その後、「高橋マスターは遠きにありて思ふもの」と考えていました。
しかし、初期リアクションで図らずも高橋マスターのところに配され、かてて加えて、「ところで、H16を選択しますと、実は完全ほのぼのギャグ物ストーリーに直行して、しかも帰還不可能っぽくなりますので、ご注意下さい」
との注意書きが存在する次回RAがあったものですから、『アラベスク#1』のリベンジをしようと意を決してH16を選択した次第です。
しかし、見事に返り討ちに遭い、意図した以上の結果が得られることは一度もありませんでした。無念。
「あんた、大概になさいよ。超虚弱なくせに。就任する前に死ぬ気なの?」
「申し訳ありません、クロエ」
ビリティスは点滴を打たれつつ、苦笑した。
周りには、ビリティスのことを案じる修道士たちが集まっていた。
「そうですよ、ビリティスさん、長年待たれていた祭祀長がとうとう誕生するとなれば、今、このように動乱が起きている世の中で、人々の希望となりうることもできるのですから」
修道士エミリオ・ウィンスターが、カ付けるように言った。同じく修道士のエスタブリッシュ・ハイランダーは、クーデター以降の情勢の推移から、若干の心配があった。
「お体を気遣うのはもちろんですが、他の面でも注意するべきではないでしょうか。今は軍との小競合も収まっていますが、いつあなたご自身に矛先が向かうか……」
そのエスタブリッシュの言葉に、クロエがぽんと手を打った。
「あ、そうそう。やっぱり、そう思うよねぃ。だから、雇ったんだった」
「は? 雇った? ……って、誰を?」
「昨晩の事です。夢の中で、自らを『神』と名乗るパジャマの上にどてらを羽織った姿の者が、旧教会遺跡の調査に参加せよ、と僕に命じたのです。しかし、僕が信じる神は、あのような俗物的なものではありません。……これはきっと、僕の信仰を妨害し、世界平和を壊さんとする何者かの陰謀です。その陰謀を正面から打破する為にも、あえて調査に参加したいと思います」
というわけで、旧教会遺跡調査に志願する。
遺跡では、何が起こるのかわからないので、非常食・火口箱・ロープ・手鏡・10フィートの棒……といった探索基本セットはもとより、どっから入手したかは極めて秘密な手榴弾や銃器等も持っていく。
で、入り口でけつまづいて、手榴弾を落とす。
グレネードランチャーを構えているエリの前に、アデルがぬっと現れた。背後には気絶したジェイクを引き摺るっている。
「……お、お潰れになられたのではッ?」
「いえ、ちょっと脚を挟まれかけただけでした。かすり傷です」
「う、嘘だーっ!」
と、アデルの後ろから、ジャーナリストのエノラ・イークアナクスが現れる。
エノラは、先月の出来事にも懲りず、こんどは直にギルバートと話をつけ、遺跡探索時の記録写真班として同行することにしたのである。
もっとも、ヴァグナー家の動向にはまだ疑いを持っており、潜入取材のつもりもあるのだが。
「いやホント。俺、機材準備してから入ったんだけど、壁が崩れてたところにアデルちゃんが倒れてたんだよ。で、インタビューしつつ、ここまで一緒にね」
「壁が? 崩れてたですって?」
そこに、宇宙教バーナム派教会から派遣されている修道士のエミリオ・ウィンスターが通りかかる。
エミリオはそこでいきなり何かに蹴つまづき、足を縺れさせた。その途端、法衣の裾から手榴弾がごろごろごろごろ山のように転がり出る。
「ああっ、しまった。僕のパイナップルが……」
エミリオが慌てて手榴弾を拾おうとするところを、エノラたちはしっかり見ていた。
「壁、崩したの……あなたですのね……」
「うーむ。聖職者の隠された好戦趣味、か、これくらいなら記事になるかねぇ」
エミリオは錯乱した。
「ああっ、ち、違うんですっ! これは……陰謀だ。そうだ。そう、ゴルゴ○、ゴルゴ○の仕業なんだあああぁぁぁっ!」
かくして、エミリオが手榴弾を持っていたのは、ゴルゴ13の陰謀だということで決着した。
「海底神殿に予言書、そして救世主伝説。怪しい! 怪しすぎる!! そもそも予言書なんてものは、悪の秘密結社が世界征服計画を未来の同士達に伝える為に書き残したものが殆どです。今回のも「救世主」という名称を用い、人々を煽動しようとするフリー○ーソンの陰謀に違いありません。……は! もしやあのヴァグナー家には既に奴らの手先が忍び込んでいるのでは!!?」
ということで、今回はカメラマンとして探検隊に随行する。探索隊の皆々をファインダーに収めながら、言動が怪しい者をチェックする。特に、何か危険が迫っている時にカメラを向けるようにする。『奴ら』ならば、最初から罠のかわし方を知っている可能性が高いのだ。
最終的に何か『悪魔の計画書』的なものが発見されたなら、『奴ら』の手に渡る前に爆破する。南無!
海底神殿の内部は、淀んだ空気が滞留していたが、呼吸は可能だった。石造りの床のそこここには巨大な池が掘られているようだ。
メイドのハルカ・リバティヒルは、小脇に洗面器とタオル、石鹸その他を抱えて呆然としていた。
無事に侵入したはいいが、ここはハルカの期待していた場所とは何かが違っていたのだ。
「……どこ? 魚も泳ぐ戦国風呂はどこ?」
「何やってるんですか、あなたは」
修道士のエミリオ・ウィンスターが、宇宙人を見るような目付きでハルカを見つつ、言った。
エミリオは、カメラマンに身を窶して同行していた。
「ここは、ここはあたしが夢にまで見ていた海底温泉では?」
「神殿。温泉じゃありませんよ」
「だ、騙された!」
誰も騙してはいない。
「ぐれてやる! タコよけに持ってきたんだけど、この、このタコ焼きソーススプレーで、こんな神殿、ソースだらけにしてやるうううっ!」
「むうっ、正体を顕したな、悪の手先め。神聖な神殿をタコ焼きソースで汚そうなどと、このエミリオが許しませんよ!」
エミリオは、自分の推理が正しかったと確信した。ヴァグナー家には、悪の秘密結社の手先が入りこんでいたのだ。
神と悪魔との対決に、今、決着が。
……つく前に、近くの池から巨大なぬめぬめしたタコの足が伸ばされ、二人を掴んで壁に叩きつけた。
眼を回した二人の上を乗り越え、巨大なタコが一同の前に姿を現した。続いて、別の池からは巨大なイカまで現われる。
二大怪獣揃い踏みである。
「遂に現われたか、外道共め。行くぞ、今こそメイドと執事の度胸と実力と食欲を見せるときだ!」
フローレンスが、号令を発する。
すると、使用人たちの多くが目を輝かせ、舌なめずりし、腰からすらりと刺身包丁を抜き放つ。
染まってきているのか。
それとも、意外に食生活がまともでないのか。
執事のジャンロット・クレディッシュが、使用人用フィールドキッチン『料理くん2号』を死守しつつ、叫んだ。
「みんな、ちゃんとこの『料理くん2号』一杯に集めるんだぞ! そうしないと、今日からの食事が……。いいか、イカは墨袋も回収するんだぞ!」
どうやら、食生活がまともでないらしい。
「シチフク……シチフク……七福ッ!? もしかすると、七福堂こそが、世界を裏から操る悪の秘密結社の根元なのでは!? いや、そう考えれば、現在私がいるヴァグナー家に執拗に攻撃を仕掛けてくるのも頷ける。ふふっ。こんな時の為に、盗聴器を買いだめしておいたんですよ……」(ゴソゴソ)
そんなわけで、七福堂へと潜入すること試みる。
手ぶらで行くのはなんなので、シチフク人に関するデータをコピーして、プレゼントforYOU。訪問には、さりげなく歯が光るテニスプレーヤーの格好をしていくのが吉である。『敵をだますには、まず三鷹から』。ラッキーカラーはイエロー。ワンポイントのパイナップルに相手の心はもうドキドキ。
今、二人の愛情のバロメーターが、卑怯な手段で100%を越えた!
エビスクロス!
そのとき、二人の身体は光に包まれた。
『超人エビス1』主題歌“超人エビス1のうた”
Qピッドでブロロロロロロロロローブローブロロロロブロブロブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ……(以下30分間くりかえし)
「エ、ビースっ!」
謎のかけ声と共に太極拳の変型のような砲丸投げのフォームのような不思議なポーズをとり、正義の超人エビス1(ワン)が、ユカリとシズヤの合体により、今、誕生したのだ!
エビス1は、七福堂の危機を救うべく、弾丸と砲弾を撤き散らすヴァグナー軍団に敢然と立ち向かうのだった。
「やはりシチフク人の末裔が七福堂!?」
修道士のエミリオ・ウィンスターは、ついに合体変身までかました七福堂社長の姿を見て確信していた。
“敵をだますにはまず三鷹から”と考え、さり気なく歯が発光するテニスプレイヤーの粉装で潜入調査を行った甲斐があるというものだ。
「やはり七福堂こそが、世界を裏から操る悪の秘密結社!?」
というか、どう見ても悪のテロリスト集団ヴァグナー家に敢然と立ち向かう正義の味方・超人エビス1という構図にしか見えないが。
「そう考えれば、私のいるヴァグナー家に執拗に理不尽な攻撃を仕掛けてくるのも頷けますね……」
今回に限って言えば、ぜんぜん理不尽ではなかった。
「やはり正義は我が手にあり!」
あまりないかも。
「よし、シチフク人と七福堂の陰謀の全てを、一刻も早く世に知らしめなければ……」
エミリオが決意したその時、執事のボンソワール・リュウザキが彼の前に立ち塞がった。
「お止めなさい」
「む、な、何者っ。と言うかボンソワールさんじゃあないですか」
「謎は謎のまま残しておくべきなのですよ」
「そんな大層なものでは」
「崇りがありますよ!」
「うっ……」
エミリオが一瞬怯んだ隙に、ボンソワールは商工会議所記念会館破壊爆弾の作動スイッチを入れた。
かくして、シチフク人の謎は、数多の犠牲者と共に地上から消滅したのだった。
いや、別に誰も死にませんでしたが。
「今度は宇宙空間です! けれど、今の僕たちには、宇宙戦闘に関するノウハウが決定的に足りません。こんな時に、悪の手先の先兵の水先案内人たる商人達が襲ってきたりなんかしちゃったりしたら、多大なる被害を受けることは必至です。まずは、お勉強会を開かなくては!!」
というわけで、自分のコレクションの中から14万8千光年の彼方に旅立つゾンビ戦艦や、自分のキャバリアーを真っ赤に塗って喜んでいる星の王子様が出てくる古典ビデオの上映会を開き、宇宙に関する各自の知識を深めると同時に、緊急事態への対処の仕方等も学ぶ。
「だからドリルはやめておけと言ったのだ」
先行している大宇宙ブラックホールバトルヴァグナー邸 (夜光る!)では、『シソ入りカツオウメ』にばかり対処しているわけにもいかなかった。
何せ、宇宙での戦闘、宇宙での呼吸方法、宇宙洗濯、宇宙お客様への応対など、急遽学ばなければならないことが多くあるのだ。
修道士のエミリオ・ウィンスターは、ヴァグナー家の面々を集め、自らのマル秘コレクションの古典ビデオを披露して勉強会を開いていた。
「宇宙には、我々の常識など通用しませんっ。我々の知っていることだけが宇宙の全てではないのですっ。皆さん、この記録を観て学習しましょう!」
スクリーンには、波を蹴立てて宇宙に潜って行く謎の艦艇の活躍が映し出されていた。
「これは、『潜宙艦』です。海面下に潜り、姿を隠せるのですっ」
「……宇宙って、海面があるのか? ていうか、上下の別があるのか? 知らんぞ、そんな話は」
ヴァグナー家当主ギルバート・ヴァグナーは唖然としていた。宇宙には彼の知らないこともまだあるらしい。
「当然ありますっ。その証拠に、その話をしたら、ほら!」
エミリオが、邸外監視カメラの映像を映した。そこでは、メ・イ・ド・さ・ん☆のメル・シングンがスクール水着に水泳帽を被って大宇宙の海をずばずばと泳ぎ狂っていた。
{ぃやっほーう☆皆さんもどうですかぁ~? 気持ちいいですよぉ☆}
スピーカーからメルの気持ちよさげな声が聞こえてくる。どうやってしゃべっているのだ。
「お、お前、真空中で破裂もせずにどうやって息をしている?」
ギルバートが言う。
{はっ。真空中って、息できないんですかぁ? そういえば……ああっ、く、苦しいですう☆}
「ちなみに声も出せんはずだがな」
だがその時、破戒修道士のジェイク・ファランが海パン一丁の雄々しい姿でメルを救いに行くのが映った。宇宙クロールで、もがいているメルのところまで泳ぎ着くと、抱きかかえるようにして言う。
{危ないところだったな。はしゃぐのもいいが、それだけではいい大人にはなれないぞ。そう、いい大人とは、愛を語らうことができる人間のことだっ。幸いなことに、俺は愛を騙る……いや語ることを生業としている。俺が立派な大人にしてあげよう! そんな意味も含めて……人工呼吸たぁーっ}
ジェイクは、大きく息を吸おうとした。
当然、空気がなかったのでジェイクもじたばたともがく羽目になってしまう。
やがて、メルとジェイクは宇宙海面の大波に飲まれ、姿を消した。いや、後で救出されましたが。
気を取り直したエミリオが、次のビデオをセットした。
「ほら、これは宇宙の海賊船ですっ。雄々しくはためく海賊旗がなんともかっこいいじゃないですか」
「……これも誰かに見せたのか?」
エミリオが邸外カメラを切り替える。メイドのソフィー・グリーンリーブが大宇宙ブラックホールバトルヴァグナー邸 (夜光る!)の艦首によじ登り、巨大な骸骨のエンブレムを金槍で打ちつけていた。
いつの間にか屋敷の外装はダークグリーンに塗り替えられている。揚げ句の果てに、屋根に上がったソフィーは、するすると髑髏旗を揚げ始めた。
とりあえず真空中だが髑髏旗はひらひらとはためいていた。ソフィーが真空中で叫ぶ。
{ふっふっふ。さあ来い、アルテミナ艦隊~っ!}
「いや、だから戦わんというのに……」
続けてソフィーは屋根の上にむき出しの舵輪を備えつけようとしていたが、そこでとうとう息が限界に来たらしい。
{なぜ、なぜ息が……はっ、まさか、宇宙放射線病? ……何もかも、皆……懐かし……}
しばらく喉を押さえてじたばたしていたかと思うと、やがて屋根から転げ落ち、カメラの画面外へと消えて行った。
「もういい……妙な知恵をつけた使用人たちが一人一人自滅して行くような気がするのでな」
「はあ、そーですか……」
エミリオはがっかりしてビデオをしまうのであった。
さて、『ヴァルハラ・ライジング』メイド・ブランチです。
今回が第6回アクション……つまり、既にゲームは折り返し地点にきているわけですが、実はまだ、どういったアクションを掛ければいいのかさっぱり分からないでいたりします。キャラクターのリアクションへの登場率は100%なので、それこそプロット欄を白紙で出したりしない限り、リアクションには登場できると思うのですが(ひょっとすると白紙ですら登場するかもしれない)、平均以上の活躍をしたいとなると、これが皆目見当がつかないのです。
リアクションを読んでいて思うのが、「プレイヤーが望んだ結果が得られているキャラクターはどのくらいいるのだろうか?」ということです。多くのアクションは“リアクションが面白くなるように”その期待される結果に大きく手を加えられているように思えます。「何かをやろうとして失敗し、キャラクターの目的とは違った結果をもたらしてしまう」という処理が極めて多いように感じられるのです。「目的と手段は採用されるが、結果は採用されない」。これが、このメイド・ブランチの特徴ではないでしょうか。
このリアクションを他者から受け取り、一介の読者として読むだけだったならば、私はふんだんに詰め込まれたパロディに大笑いし、「私もここにキャラクターを入れたかったなぁ」などと思っていたことと思います。しかし、ストーリーに介在しうるプレイヤーの立場として見てみますと……それぞれのアクションがどのように処理されているかに注意しながら読んでいきますと、そのマスタリングに疑問が出てきてしまうのです。
“アクションが(プレイヤーの期待どおりに)成功して、キャラクターが活躍する”という可能性が低いように感じられる以上、どうしてもアクションがおざなりになってきます。
「ここは、そういうブランチなんだ」と割り切ってしまえばいいのかもしれません。
最初から「ストーリー展開に影響を与えたい」という欲求は無視し、キャラクターの行動が失敗することを前提にアクションを考え、その処理のされ方を楽しむようにさえすれば…………ひょっとすると、メイド・ブランチって、私にはあまり向いていないのかもしれないですね。
もう一つの問題は、キャラクターの居場所を確立できていないことです。
これは、今までキャラクターの思考や感情を軽視したアクションを……キャラクターの目的がはっきりしないようなアクションを掛けてきたからかもしれません。ですが、現在のメイド・ブランチで確かな存在感を持っているのは、総体としての『七福堂』の方達だけのように思えます。他の多くの方達は、当然エミリオも含めて、次回から突然別のブランチに移動したとしても、全くストーリーには影響が出ないように思えるんですね。つまり、『ただそこにいる』だけであって、「ブランチにおける役割」を得てはいないわけです。これもまた、アクションを考えるのに今一つ身が入らない理由となっています。
なーんてことを心の片隅に置きつつ、第6回アクションの思考である。
まずは、メインRAのチェック。
この中でパロディに直結できるものはといえば……やはり偽アデル軍団であろうか? わんさか出てきた偽アデル……こいつらをレイと考えて『エヴァンゲリオン』ネタでもやることにしよう。果たして『エヴァ』なんていう新しいものを高橋マスターが扱ってくれるのか少々不安なところはあるが、なにしろアクションは20日必着。今更、別のネタを考えている余裕はない。でもまぁ、一応保険として『ヤマト』ネタも絡めておくことにするか。
さて、問題はこのアデル軍団に対抗する手段である。やはり汎用人型決戦兵器を屋敷の中から探し出すか? 角があって赤く塗られている隊長機なんかがあると嬉しいなぁ。それで、AIに「さっさと場所を教えないと、『進化促進=自滅プログラム』を流し込むぞ」と交渉すれば……なんかこれ、二重の意味で失敗しそうな気がする。まずプログラムを流し込む時点で失敗しそうだし、たとえエヴァを見つけて乗り込んだとしても、コックピットでLCLに溺れて「ハイ、それま~で~よ~」という展開になるのが目に浮かぶ。
なにかもっと奇抜なものを……一応、量産レイは映画版なんだから、そのネタで攻めたいよな。映画版というと、やはりあのシーンか? そう、いきなり実写の観客席が映し出されるアレだ。一応、今回のリアクションで「秘蔵ビデオ」というのが承認されたわけだし、それを持ち出すことにしよう。映画はリアクション、観客はプレイヤーってところだな。あとは場所だが……多くのプレイヤーが集まるところと考えると、やはりプライベか。
結果、次のようなアクションが完成。
「こ、この沢山のアデルさんはいったい……? はっ! これと同じようなものを以前ビデオで見た記憶があります!! も、もしや……これこそが、あの『人類皆兄弟計画』なのではっ!? いけません! このままLCLの海に浸ったりなんかしたら、第3艦橋が溶け落ちてしまいます!!」
というわけで、この悪魔の計画に対抗する為に、トップシークレットでユアアイズオンリーなビデオを持ち出す。
- ビデオの内容
どこぞの集会所の一室。多くの青年達がリアクション交換や作戦立案やMTGをしたりしている。
ナレーション(林原めぐみ)「これが、あなたが望んだ現実……」
うむ! なんだか、もはやアクションとは呼べないよーなものになってしまったよーな気がするが、まぁ、よしとしよう。なにしろ、自分で書いていながら、いったいどんな効果があるのか、全く予想できん! ふふっ、これがどんな処理をされるか、非常に楽しみだ。
期待しちゃダメだ、期待しちゃダメだ、期待しちゃダメだ……。
「こ、この沢山のアデルさんはいったい……? はっ! これと同じようなものを以前ビデオで見た記憶があります!! も、もしや……これこそがあの『人類皆兄弟計画』なのではっ!? いけません! このままLCLの海に浸ったりなんかしたら、第3艦橋が溶け落ちてしまいます!!」
というわけで、この悪魔の計画に対抗する為に、トップシークレットでユアアイズオンリーなビデオを持ち出す。
どこぞの集会所の一室。多くの青年達がリアクション交換や作戦立案やMTGをしたりしている。
ナレーション「これが、あなたが望んだ現実……」
屋敷内へ続々侵入する偽アデル軍団。
だがその頃、屋敷の外ではそれをはるかに超える数の偽アデルたちが跳梁跋扈していた。
メイドのキラリ・アマリエンブルグは、先月の白くぢらPSをさらにグレードアップし、UFO戦士白くぢら-Gで戦っていた。
……一見、何も変わっていないのだが、実は大きな違いがあった。先月のものは白ミンクくぢらだったが、今月は白ナガスくぢらになっているのだ。
でかいので、今回は3機合体メカだった。
増長したキラリは、偽アデル軍団に向かって名乗りを上げた。
「アタシは『ヴァグナー不敗』ッ。ヴァグナー家よりやってきた不敗の者よっ」
{なにっ。ではお前、ヴァグナーが苗字で不敗が名前だと言うのかっ}
ギルバートが驚いて無線をよこす。
「それは……旦那様の苗字を騙ることになるよーな……すみません嘘ですぅ~」
{分かればよい。}
ちなみにキラリは『白ナガス・ヘッダー』に乗っている。
そして、『白ナガス・トラングー』に乗っているのは、修道士のエミリオ・ウィンスターであった。
しかしエミリオは、操縦席のモニタに映る無数の偽アデルの様子を見て、愕然とした。
「こ、これはもしや、人類……人類補か……『人類皆兄弟計画』!? いや、『人類皆殺し計画』だったかな?」
タべ、徹夜で秘蔵のビデオを観ていたために頭が朦朧としているようだ。
頭の中でビデオ内容がフラッシュバックする。
「……おめでとう」
「……おめでとう」
「……おめでとう」
「……おめでとう」
「ぐわああーっ、や、やめろーっ、何がそんなにおめでたいんですかあなたたちーっ」
「あなたの頭」
「く、くそうっ、上手い切り返しだけど悔しいいいいぃぃぃぃぃぃーっ……」
はっ、と目が覚める。眠っていたようだ。
「こ、これは敵の精神汚染攻撃!? こうなったら、いきなり実写になって、集会室でプレイヤーさんたちがリアクション交換や作戦立案やMTGをしているビデオを流して……『これが、あなたが望んだ現実』とかナレーションを……」
やめなさい。
待ちに待ってた出番が来たぜ。ここはおまかせ逆転イッパツマン!!
というわけで、ついに『ヴァルハラ・ライジング』(H2)のリアクションが届いた。あのアクションがいったいどのように処理されているのか? いやがおうにも期待が高まるというものだ。
しかしエミリオは、操縦席のモニタに映る無数の偽アデルの様子を見て、愕然とした。
「こ、これはもしや、人類……人類補か……『人類皆兄弟計画』!? いや、『人類皆殺し計画』だったかな?」
夕べ、徹夜で秘蔵のビデオを観ていたために頭が朦朧としているようだ。
頭の中でビデオ内容がフラッシュバックする。
「……おめでとう」
「……おめでとう」
「……おめでとう」
「……おめでとう」
「ぐわああーっ、や、やめろーっ、何がそんなにおめでたいんですかあなたたちーっ」
「あなたの頭」
「く、くそうっ、上手い切り返しだけど悔しいいいいぃぃぃぃぃぃーっ……」
はっ、と目が覚める。眠っていたようだ。
「こ、これは敵の精神汚染攻撃!? こうなったら、いきなり実写になって、集会室でプレイヤーさんたちがリアクション交換や作戦立案やMTGをしているビデオを流して……『これが、あなたが望んだ現実』とかナレーションを……」
やめなさい。
おおぅっ!! アクションがそのまま反映されているではないか!! しかも、こちらが予想していた以上のことが書かれている!!(……っていうか、何も予想していなかったのだが)
掴んだッ!! アクションの極意は期待しないことにあり!!
って、全然ダメじゃん。
しかし、実際問題として、思わず何度も何度も読み返してしまったのは事実だ。他のゲームの場合、この程度の文章量ではとうてい満足することになんてできやしない。ストーリーにも全く絡んでいないからな。やはり、リアクションに対する満足度というのは相対的なものなのだろうか。アクションに期待を掛ければ掛けるほど、それが採用されなかったときの落胆は大きい。今回のように、なまじ今までアクションの不採用が続いた後だと、自分のアクションにちょっとした味付けがなされているだけでも大喜びしてしまう。
決して落胆しないアクションを掛けるか、大喜びできる可能性のあるアクションを掛けるか……今後の大きな課題である(……って、前者のは絶対掛けないようにするのが私のポリシーだったのだが、残念ながら『ヴァルハラ・ライジング』で敗北を喫してしまった)。
さて、前回のリアクションを受けての初アクションである。
今回以降、『ヴァルハラ・ライジング』に関しては、前回と同様のアクションを掛けることにする。つまり、“結果を期待しない”アクションである。アクションが採用されてシナリオを動かすことを楽しむのではなく、はっきり言って“どんな結果をもたらすのか自分にもわからない”アクションを書き、その処理のされ方を楽しむというものだ。
外道である。
だが、残念ながら、“基本的にアクションは曲解される”H2ブランチにおいては、まともにアクションを考えようとは思わない。それでゲームの半分近く、失敗し続けているからだ。
……といったような基本的な考え方があった上でのアクション思考である。
ストーリーの引きは、
といったところだろう。
さて、どうするか? 確か、ぱうさんが『ダイターン3』なことをするって言っていたから、それに関わる行動でもとってみようか。ダイターンに対抗するものといえば、やはりザンボットになるな。今思ったのだが、『ザンボット』ってどんな意味なのだろう? ま、それは置いといて。
とりあえずムーンアタックを仕掛けるとして、他になにかパロディを絡めることはできるだろうか? うむ! 月に絡めるなら、やはり『ガンダムX』だな。サテライト通信でエネルギー供給を受け、必殺技ムーンアタックを放つ!! 普通なら全く成功しそうにないところがなかなかいいぞ!! よし。一応、初めてサテライトキャノンを撃つところを観ておくか。
(『ガンダムX』第2話を視聴中)
よしよし、なんとか纏まってきたかな。他に月といえば……おおぅっ! よくよく考えたら、もっと大御所があっではないか!! ズバリ、『セーラームーン』だ!! 「ムーンコズミックパワー」と「リフレッシュ」という単語もきちんと絡めておくとしよう。「ムーンコズミックパワー」と「リフレッシュ」という組み合わせが正しかったのかどうか思い出せないが、ま、細かいことは気にしない気にしない♪
よし、だいたい完成したかな。ん? ちょっと待てよ!? クレイタウンに月ってあるんだっけ!!? 殆ど『ネットプラス』の『ヴァルハラ・ライジング』の記事なんか読んでいないけど、月に関する記事って全然見たことがなかったような気がするぞ。
慌ててプレイング・マニュアルを見る。やはり、月に関する記事は載っていない。ということは、やはりクレイタウンに月は存在しないのか? ま、いいか。別に月がなくたって、そんなに困る訳じゃないし。それどころか、アクションにオチがついてGOODではないか。
結果、次のようなアクションが完成。
「人間爆弾を仕掛けてくるとは、敵もなかなかに古典を勉強しているようです。もはや一刻の猶予もありません。早くしないと、世間の皆さんから石を投げ付けられるようになってしまいますっ!!」
アデルキング・ボスに対して、サン・アタックな攻撃を仕掛ける方がいらっしゃるようなので、こちらはムーン・アタックな援護をしてみようと考えたのですが、いかがですかな、セニョリータ。
まず軽く耳から血を出しながら月面基地と交信し、マイクロ・ウェーブでエネルギーの供給を受ける。そして、その『むーんこずみっくぱわぁ』により、敵を『りふれっしゅ』させてしまうのだ。
「月は出ているか? ……えっ? クレイタウンに月ってないの?」
うむ! アクションの時点で既に失敗しているアクション!! ふふっ、これがどんな処理をされるか、非常に楽しみだ。
「人間爆弾を仕掛けてくるとは、敵もなかなかに古典を勉強しているようです。もはや一刻の猶予もありません。早くしないと、世間の皆さんから石を投げ付けられるようになってしまいますっ!!」
アデルキング・ボスに対して、サン・アタックな攻撃を仕掛ける方がいらっしゃるようなので、こちらはムーン・アタックな援護をしてみようと考えたのですが、いかがですかな、セニョリータ。
まず軽く耳から血を出しながら月面基地と交信しマイクロ・ウェーブでエネルギーの供給を受ける。そして、その『むーんこずみっくぱわぁ』により、敵を『りふれっしゅ』させてしまうのだ。
「……月は出ているか? えっ? クレイタウンに月ってないの?」
巨大化したアデルキング・ボスに対抗するため、メイドのキラリ・アマリエンブルグ操る白くぢらPSは、進化の最終段階を迎えていた。
「メイドシンクロン・マキシム!」
プラズマが広がり、やがて巨大な影が現れる。全長200メートル、大空魔白くぢらの誕生であった。
「そ、それは卑怯だろおおおおおっ!」
巨大化してもせいぜい50メートル程だったアデルキング・ボスは、大空魔白くぢらの尻尾の一撃で古城に向けてはたき飛ばされた。飛ばされる途中で元の大きさへと縮み、再び人間大に戻りつつ玉座の間へと飛び込んで行く。
「さー、とどめを刺しに行かなくちゃあ。えーっと、旦那様、『ファイナ○フュージョン承認!』お願いしますぅっ」
その頃、ヴァグナー邸で。
ギルバートはキラリからの通信を受け取っていた。
「なんじゃこれは……なんとかかんとかしょうにんとか……何か許可を出せというのか?」
「堺の商人とか、ベニスの商人とかそんなのじゃないすか?」
居間の革張りシートにどっかと腰を下ろした男が、高級なワインを飲みつつ、言った。
「偉そうだな、お前。ま、いいわい。買い物か、そんなとこだろう。じゃあ返事を打つとするか」
キラリの元に、ギルバートから返信が来る。
『米30俵。または、心臓の肉1ポンド』
「……何これえええええっ?」
そこに、修道士のエミリオ・ウィンスターからの通信が入った。
{もはや一刻の猶予もありまおんせんっ。敵は人間爆弾すら出してくる奴らです。早くしないと、ヴァグナーファミリーは町の皆さんから石を投げられるようになってしまいますよっ}
「わ、わかったわ。勝平、先に行くわねっ」
{か、かっペ……?}
キラリは、大空魔白くぢらから出ると、玉座の間へと向かって跳躍した。
「メイドサン・アタック&ダイターンなクラーッシュ!」
同時に、月からマイクロウェーブでエネルギーの供給を受けたつもりになっていたエミリオも跳躍する。
「きたきたきたっ。きましたよ『むーんこずみっくぱわぁ』が!」
すでに電波系の人になっていた。
「そーれ、ザ・ムーン・アターック!」
二人の協力により、これぞまさしく、『ブラザー・サン・シスター・ムーン・アタック』とでも言おうか、罰当たりな攻撃が玉座のアデルキング・ボスに焼裂した。
「ぐわあああああああああああああああ」
アデルキング・ボスは爆発した。
だが。
「ふん、貴様らの倒したのは、しょせん、影武者に過ぎんわ」
「げげっ」
緊急脱出ロとか書かれた出入口の付近で、まったく無傷のアデルキング・ボスが笑みを浮かべている。
♪きっと来るよ、きっと来るよ、回るクルクル星の下♪
というわけで、『ヴァルハラ・ライジング』(H2)である。
前回は「アクションの時点で失敗しているアクション」というものを掛けたわけであるが……むぅ、なんということだ!! クレイタウンにはちゃんと月があったのではないかッ!! これでは全然オチが生きてこない! やはり、もう少し真面目に『ネットプラス』の記事を読んでおくべきだったか。
ま、それはともかく。今回の登場シーンにおいては、ぱうさんのキャラクターのキラリ嬢と合体必殺技を放っている。なんかこの辺、『戦闘列島ZIPANG』っぽい気がしないでもない。
二人の協力により、これぞまさしく、『ブラザー・サン・シスター・ムーン・アタック』とでも言おうか、罰当たりな攻撃が玉座のアデルキング・ボスに炸裂した。
「ぐわあああああああああああああああ」
アデルキング・ボスは爆発した。
おおぅっ!! アクションが期待通りに採用されているではないか! 凄ぇぜ、高橋マスター! たまにはこんなマタリングもするんじゃないか!!
と、思ったら。
だが。
「ふん、貴様らの倒したのは、しょせん、影武者に過ぎんわ」
「げげっ」
緊急脱出口と書かれた出入口の付近で、まったく無傷のアデルキング・ボスが笑みを浮かべている。
やっぱり、カタルシスは得られないのね(T_T)。
さて、今日は午後からプライベである。
従って、午前中に『ヴァルハラ・ライジング』アクションを考えなくてはいけない。
まずは、次回への大きな引きであるが、
といったところだろう。
とりあえずパロディに直結できるものといえば、やはり『アデル忍軍』であろうか。
『忍者戦隊カクレンジャー』『風雲ライオン丸』『仮面の忍者赤影』『忍者部隊月光』と、色々とネタはあるわけだが、最大の問題は私はどの番組も殆ど見たことがないということである。『サスケ』『さるとびエッちゃん』『花のピュンピュン丸』……この辺りは確かに見ていた記憶はあるのだが、いかんせん今となってはその内容など殆ど覚えていない。近場での作品といえは、『機動武闘伝Gガンダム』のシュバルツ、『勇者王ガオガイガー』のボルフォッグ、『ジャイアントロボ THE ANIMATION-地球が静止する日』のマスク・ザ・レッド、『忍者戦士飛影』辺りになると思うのだが……。
とりあえず、敵は『忍軍』とか言っている。ここをつつくことにしよう。古今東西、数にまかせた忍者は、その瞬間、ザコに成り下がってしまうのだ。『忍者キャプター』? そんなものは無視だ。
おおぅ! そういえば、『科学忍者隊ガッチャマン』というものがあったではないか!!
「ある時は5つ。ある時は1つ。実体を見せずに忍び寄る白い影!!」
うむ、これだ!! アクションの基本的な枠組みとしては、「アデル忍軍の数にまかせた戦法を批判し、忍者としてのお手本を見せる」といったところだろうか。よしよし、だんだんまとまってきたな。
(思考中)
困った。基本方針が決まったのはよいが、それ以降、何も思い浮かばん。そもそも「お手本を見せる」というのはかなり積極的な行為だ。必然的にその結果に対してある程度の期待を持ってしまう。いかん。このままではいかん。先月に掲げたばかりの「結果を期待しないアクションをかける」という『ヴァルハラ・ライジング』における信念が早くも曲がってしまうことになる。
……む。そろそろプライベに行く時間だ。仕方がない。プライベの行き帰りの車の中で考えることにしよう。
ふっ。
結局、『ヴァルハラ・ライジング』のアクションはまとまらなかったな。
今、0時ちょっと過ぎだから、家に着くのは1時ちょっと前になるか。仕方がない。アクションは今日、仕事から帰ってきてから考えて、明日、速達で出すことにしよう。
なんとか集団忍者モノとして『忍者キャプター』を絡めたいんだがなぁ。いかんせん、1回も見たことがなくては話にならない。知っていることといえば、第1話のサブタイトルが『東京タワーに立つ忍者』だということぐらいだ。これではネタにしようがない。
……などということを考えながら、プライベ会場を出て、車を置いていたコンビニに向かう途中のことである。ふと、私の脳裏に1つの単語が浮かび上がった。
『忍者キャプターさくら』
これだッ!!
途端に、睡眠を欲していた脳が活動を再開する。勝てる、これなら勝てる!! ちょっとオーバーヒートしつつも、家に着くまでの40分で、しっかりと次のアクションができあがったのであった。
「今度はメイド忍軍ですか。ふっ。確か、悪の忍者を相手に少女が大活躍するビデオがあった筈……そうそう、コレです!」
- 忍者キャプターさくら
ある女の子が家にあった忍者の封印を偶然にも解いてしまう。各地で悪さを始める忍者達に対して、忍者の守護者は、その封印を解いた女の子を忍者を狩る者 “忍者キャプター” に任命する。かくして、少女は忍術を駆使して、赤やら青やら黄色やらの忍者を倒しては下僕にする日々を送るのであった……。
「……まだ忍術は使えませんけど、いつかきっと覚えます。教会からナノマシンをくすねてきたこの私、その気になれば空だって飛べますよ! 必ずやアデル忍軍を捕まえて、東京タワーの前に並べてみせます!!」
「今度はメイド忍軍ですか。ふっ。確か、悪の忍者を相手に少女が大活躍するビデオがあった筈……そうそう、コレです!!」
ある少女が忍者の封印を偶然にも解いてしまう。各地で悪さを始める忍者達に対して、忍者の守護者は、その子を忍者を狩る者“忍者キャプター”に任命する。かくして少女は、忍術を駆使して赤やら青やら黄色やらの忍者を倒しては下僕にする日々を送るのであった……。
「まだ忍術は使えませんけど、いつかきっと覚えます。教会からナノマシンをくすねてきたこの私、その気になれば空だって飛べますよ! 必ずアデル忍軍を捕まえて、東京タワーに並べて見せます!!」
一方、修道士エミリオ・ウィンスターは、対忍者戦用の予習を済ませていた。最新式の忍者物のビデオを徹夜で観ていたのである。しかも衛星放送でしかやっていないもののエアチェック品だ。
「ふっ。コツはつかみましたよ。今日から僕を、『忍者キャプターえみりお』と呼んでくださいっ。おお、クロウ忍者の気配がっ」
よくわからないが、毎回コスプレしながら忍者を狩るらしい。そして、人間関係が片っ端からインモラルでえらいことになっているらしい。聖悠紀原作の方じゃないところがポイントか。
「そうそう、重要ポイントを忘れていました。口癖があるんでした。ええと……『はぁぁにゃぁぁぁぁぁ~んんんん……」
おぞましかった。『おーい、はに○』の断末魔のような声だ。
カランとフローレンスは、あまりの衝撃に一瞬、気を失って地面に倒れた。
そんなことをしている間に、メイド忍者たちが襲ってくる。
何とか起き上がったカランが、敏捷な身のこなしで敵忍者と斬り合う。隙を見て、カーバイド粉末を相手に投げつけた。
カーバイドは水分と反応して強い光を発する。これぞ忍法カーバイド隠れの術である。
しかし、カランにしては致命的なミスがあった。
極冠でもない月面には、水がなかったのだ。手持ちの水も、あっというまに凍ってしまう。
このままでは、カーバイド隠れの術は使えない。
カランのピンチと見て、忍者キャプターえみりおが、あらゆる周波数帯で叫んだ。
「む、いけませんねっ。よしっ。……はぁぁにゃぁぁぁぁぁ~んんんん……」
受信可能範囲の生物が、一時的な機能障害に襲われ、次々と倒れて行く。
いわゆるミラクルボイスである。
「敵がバイオで来るなら、こちらもバイオで返すまでです! ここに、先程偶然にも月面上でこんなこともあろうかと拾っておいた自己再生・自己増殖・自己進化なDG(デビルガ○ダム)細胞と、自己主張・自己破産・自己崩壊なNG(ネーデルガ○ダム)細胞があります! これをみなさんに植え付ければそりゃーもう本土決戦、一億玉砕。贅沢は敵だったりするので、欲しがりませんよ勝つまでは」
「ついでにもアデルさんの細胞も混ぜることにします。こうすれば、みなさんかわいい女の子のメイドさんになってバッチリです。ここに至って僕は、人類が今後、絶対に戦争を繰り返さないようにすべきだと確信したんです。これによって戦争の源であるクレイタウンに居続ける人々を粛正します!」
ギルバートは、ちよっとでも期待していた自分に自己嫌悪を感じていた。
がっくりと膝を突いたギルバートに、修道士のエミリオ・ウィンスターが声を掛けた。
「敵がバイオで来るなら、こちらもバイオで返すまでです! こんなこともあろうかと、先ほど偶然にもこんなものを見つけました」
論理が若干おかしかったが、エミリオが見せたのは自己再生自己増殖自己進化なDG(デビルガ○ダム)細胞と、自己主張自己破産自己崩壊なNG(ネーデルガ○ダム)細胞であった。
「これを皆さんに植え付ければそりゃもう……」
「まず貴様が植え付けるのだ」
エミリオは一瞬顔を引きつらせたが、再び言う。
「ついでにアデルさんの細胞も混ぜることにすれば、皆さん可愛い女の子のメイドさんになって……」
「だからまず貴様が植え付けるのだ」
「うっ……」
ギルバートの異様な迫力に、エミリオは気圧されて行った。
そして。
「はっはっはー。さー殺せ、ちきしょーっ」
エミリオは、顔は元のままだが、身体は巨大で可愛いメイドさんタイプ、ただし胴が上下二分割で蛇腹で接続され、お腹には巨大な風車が付いたかっこいい姿に生まれ変わったのだった。
「はっはーっ。先月の神罰が下ったかーっ?」
見たことない番組をネタに使ったからと言って後悔することはない。私だってCCさくらなんてTVはおろか原作すら読んだことがないのに書いていたのだ(爆弾発言)。
虚ろな笑いを響かせるエミリオを尻目に、メイドのキラリ・アマリエンブルグが、思い詰めた顔でギルバートに迫った。
「さあ御主人サマあ。今度こそ、作ってくれましたでしょーねぇっ」
「あ、ああ。ガ○ダ○か。確かに作ったぞ。はっはっは」
「……ガラダマ、とか言ってガラモン出すのはなしですよお」
ぎくっとしたギルバートは視線を逸らせた。
「……御主人サマの子供がお腹にいるの、皆にばらしてやる……」
「嘘をつけ嘘をーっ! 何もしとらんのにそんなもんができるかーっ!」
「ふっ……。世間は、一体どちらを信じるでしょーかねぇー」
「ふぬううううー」
かくして、司法取引の結果、キラリは念願の真メイドガ○ダムを手に入れたのだった。
「真メイドガ○ダム、行きまーすっ!」
真メイドガ○ダムは、オートで動いている大空魔白くじらPS(馬の脚装着済)に騎乗している。その雄姿を目にした使用人たちは、ロ々に真メイドガ○ダムを称えるのだった。
「大○神よ……」
「ああ、○馬神だな……」
「大馬○そのものだ……」
「絶対、最後は『大激怒』よね……」
巨大化したエミリオと、大○神呼ばわりされている真メイドガ○ダムは、大怪獣アデランテを前に善戦した。
「どぉーれ、ネー○ルタイフーンっ!」
「風邪にストナーサンシャーインっ!」
だが、アデランテは強かった。互角ではあるが、決定打が出ない。
そのとき、メイドのサナエ・キリュウがギルバートに言った。
「ご安心ください。こんなこともあろうかと、支援ロボを用意しておきました」
サナエが手元のスイッチを押すと、真のヴァグナー邸の片割れが変形し、巨大ロボへと姿を変えたのだった。シャルロットがグレている間に、大幅な改修を施していたのである。とは言え、元々、変形機構は備えていたようなので、サナエの作業も助かっていた。もっとも苦心したのは武装なのだった。
真のヴァグナー邸ロボは、エミリオと真メイドガ○ダムに合流すると、胸から巨大な剣を取り出した。
そして、二体と一匹の力が一つになった。一緒に剣を握ると、力を合わせてアデランテに向けて振り降ろす。
アデランテは両断され、遂に倒れたのであった。
「……で、軽く流されましたけど、僕って、既に数え方が『人』じゃなくなってるんですか……?」
エミリオが、誰にともなく呟いた。
「悟りました! 性別すらも超越し、全てを融合し無限に進化できるこの身体こそ人類補○計画の1つの形!! この力をもって、世界平和を実現させてみせます!!」
という訳で、まずは、月と融合したアデルキング・ボスとフュージョンして、エミルキング・ボスになろうとする。
「僕と1つになりませんか? 心も身体も1つになっちゃいませんか? それは、とてもとても気持ちのいいことだったりするかもしれないんで、せつなさ大爆発ですよ」
アデルと融合できたあかつきには、「りゅんりゅん」言う部下を引き連れてNF57中心部へと向かう。けれど、あまりにも暇な為に生物と鉱物の中間の生命体となって、次第に考えるのをやめちゃう。つるかめつるかめ。
激闘の末、倒されたかに見えたアデルキング・ボスは、月のシステムに精神体を移し、月と合体した。
月のシステムを支配したアデルキング・ボスは、全人類支配とか宇宙征服とかいろいろ希望を持っているようだが、とりあえずは邪魔なヴァグナー家の面々を排除しようと画策しているに違いない。
だが、その陰謀を止め、世界を平和に導こうと突き進む一人の修道士(ゲル状)がいた。
やはり生物都市状態だったエミリオ・ウィンスター(ゲル状)である。リハビリもせずに動いているので、まだゴム状まで戻っていなかった。
だが、すべてを融合する無限の吸収能力を備えたエミリオ(ゲル状)は、自らを人類補○計画の具現者と自負していた。
「うう……出ろ……ゴールド、出ろ!」
エミリオ(ゲル状)は途中で体内に取り込んだ犬のゴールドを腕から出現させた。エミリオの腕の先に鼻面を現したゴールドは、地面に残るアデルキング・ボスの臭いを嗅ぎ、その指し示す方向を知らせた。
「くっくっく。僕は、身体の中に無数の動物を飼っているんですよ」
他にも、熊とか驚とかいろいろ取り込んでいるらしい。
「ちゃう! そんなん、人類○完計画とちゃう!」
エミリオ(ゲル状)の後を追っていたジャーナリストのエノラ・イークァナクスが糾弾した。ジャーナリストだから糾弾するのは使命だ。
メイドのお仕事全記録を修めるべく、エノラもアデルキング・ボスとの最終決戦地へと向かおうとしているのだった。
「とりあえず、早く戦ってもらわないと、この取材ビデオ、ゲル状とかアメーバ状の怪物ばっかりのホラー映画になっちゃうんだけどなぁ……」
だが、心配は無用だった。
月と一体化したアデルキング・ボスだったが、部分的に強く存在が認められた。彼らは、着々とその地点に近付いているのだ。
やがて一同は、荒涼とした砂と岩の平原で、この月を支配するアデルキング・ボスと対峙した。
「ふっふっふ……よく来たな。だが、もう月は私の身体の一部となった。お前たちは、私の身体の上で蠢いている虫に過ぎないのだっ!」
新たなボディを得たアデルキング・ボスは、一同がこの地に到着したのに気付き、にやりと笑って言った。
月と一体化したアデルキング・ボス。その姿は、上半身がアデルキング・ボス、下半身が月、という世にも恐ろしげなものであった。
まあ、サイズ的にはかなりバランスを欠いているため、近くで見ると単に月面にアデルキング・ボスの上半身が生えているようにしか見えない。そこだけがネックだった。
かっこよくなったアデルキング・ボスの姿を見て、エノラはがっくりと膝をついた。
「……情けない……ぜんぜん、ビデオ映えしないじゃないですかっ。そんな姿で宇宙の支配もなにもないでしょっ。単に宇宙の一部になってどーするんですか。正々堂々、メイド姿で戦うべきでしょうがっ!」
涙を流しながらくってかかるエノラ。このままでは、見栄えがしないことこの上ない。
「そう言われても困るが……。とりあえずこれで用は足りるのでなぁ」
「志が低いっ!」
ドキュメンテーションに徹さず、率先して口論を始めたエノラの後ろから、エミリオ(ゲル状)が顔を出す。
「そこまで合体したのなら、ついでに僕と一つになりませんか? 心も身体も一つになっちゃいませんか? それはとてもとても気持ちのいいことだったりするかも知れないんで、切なさ大爆発ですよ……」
悪魔的な笑みを浮かべて甘言を弄するエミリオ(ゲル状)に、アデルキング・ボスは答えた。
「うん、なる」
かくして、エミリオ(ゲル状)の融合能力は、アデルキング・ボスとの合体をも成功させたのだった。
「……で?」
メイドのハルカ・リバティヒルは冷たい眼差しで尋ねた。眼前には、上半身だけのアデルキング・ボス、そしてその隣に同じく上半身だけのエミリオが生えていた。
「ううっ、違うんです……融合してエミルキング・ボスになって、日本全国縦断してくる謎の敵をりゅんりゅん言いながら12使徒と一緒に待ち受けようと……」
予想と違う合体なので錯乱しているようだ。
「まあ、どうでもよろしいわ。さーてアデルキング・ボス、略してアデキンボ! この月があんたの身体だっていうんなら、あたしたちが立ってるのもあんたの身体のうえだね? ならば、この攻撃を受けて見よっ。たりゃあっ!」
叫ぶや、ハルカはいきなり月面の砂に手を突っ込んで、指をわきわきと蠢かせ始めた。アデルキング・ボスの身体である地面をこちょこちょして、笑い死にさせようという大胆な戦法だった。
「どうだアデキンボ! 貴様も年頃の娘ならば、この攻撃には耐えられまい!」
勝ち誇ってハルカが宣言した。
「……いや、ぜんぜん効かんが……」
「げ、まさか不感症?」
「ああっ、ち、違います、そ、そこは、ぼ僕の足の裏あーははははははははっははーっ……」
どうやら、エミリオに効いたようだった。合体したおかげで、感覚が入り交じっているようだ。
「ええいっ、じゃあ、こっちたー!」
ハルカが別のところに手を突っ込む。
「ああっ、そ、そんな大胆な……神よお許しをっ」
また違ったようだ。
「おのれ卑怯な手ばかり使ってくれちゃって!」
「私は何もしとらんが……」
「じゃあここたー!」
次から次へとエミリオの急所をくすぐり続けるハルカ。
とりあえず暇を持て余したアデルキング・ボスは、メイドたちを一警すると新たな行動に出た。
「月のシステムは、アデルタイプ完全調整体のデータを得て、私そのものとなっている。今こそ、真の姿を見せてやろう!」
「皆さん、助けにきましたよ! 今度こそ、最終決 戦です!」
操縦しているのは、やはりイザミである。だが、アデルキング・ボスに対する怒りが頂点に達し、そのフンドシが黄金に輝いたとき、新たな力を得ていたのだ。
ゴールドフンドシを身にまとい、全身に金粉を塗りたくったそのケバケバしい姿。その名も『執事仮面ゴールドフンドシ金粉』(以下、金粉仮面)であった。皮膚呼吸の関係上、変身時間は46分1秒だ。
「いま、地表ではメイドたちが必死に戦っています。彼らの戦法は基本的には間違っていないはず。だから、このグレートゴールドヴァグナー様ロボットでスケールアップ!」
グレートゴールドヴァグナー様ロボットは、巨大な金の羽を取り出すと月に突進、その表面を羽で豪快にくすぐり始めたのだった。
「ひーっ、やめてやめてやめてやめてーっ、死んでしまうーっはははっはははほひーっ」
エミリオは、突如10倍にもなったくすぐったさに、地面から生えた上半身をのたうち回らせた。
「ああっ、なぜくすぐったい感覚が全部エミリオさんにっ!?」
ここまで来ると、狙ってやっているのではないかと思えてくる。
「まず意味もなく融合しているエミリオさんを分離しないとっ」
金粉仮面は臍をかんだ。
だがまだ月表面へのくすぐりはやめない。面白いのだろう。
そこに、真メイドガ○ダムが到着する。
「このままじゃ埒があかないわっ。これから、月に向かって、メイドスキー粒子を散布しますっ。エミリオを、強制排除するのっ」
キラリが決然と言った。
レーダーを攪乱させたり推進機関に使われたりと、様々な設定に都合よく利用されるメイドスキー粒子は、メイドスキー効果によって今回もアデルキング・ボスと月との融合を保ったままエミリオのみを選択的に排除するはずだ。
科学的な考証をすると、メイドはスキだけど修道士はキライだからである。
「メイドスキー粒子、散布開始!」
真メイドガ○ダムは、鼻の穴からビンク色の霧をどばどばと吐き出し始めた。ついでに大空魔白くぢらもピンク色の潮を吹き出す。
やがて、月の表面に生えていたエミリオがびくびくと動き始める。メイドスキー粒子の効果により融合が解け、ついに、すぽん、という音とともに身体が地面から引き抜かれるように飛び出した。
その瞬間、エミリオは世にも恐ろしい絶叫を上げた。
その周辺で叫びを聞いた生き物はすべて死に絶えたという。
引き抜かれたエミリオは、黒魔術の重要な材料として利用されるだろう。
「やった、エミリオを倒したわっ! これで後はアデルキング・ボスをくすぐるだけよっ」
すでに目的がよくわからなくなっていた。
「……あの、死に絶えたんじゃないんですか?」
「ふっ、真メイドガ○ダムはダテじゃないのよ~」
そらっとぼけるキラリを尻目に、溜息をついた金粉仮面はくすぐりを再開した。