『D・S2』は、『カルディネアの神竜』QCブランチで御一緒したグアドゥ・カリアンさんのプレイヤーさんが主催されていた同人PBMです。キャラクターは『アラベスク#3 七界の剣』か『カルディネアの神竜』からのコンバートになっており、私は後者のキャラクターであるキャサリンで参加させていただきました。
第3回からの途中参加のところ、第4回には大きく登場させてもらっているのですが、そこでゲームは終了となりました……ひょっとするとゲーム終了ではなく、私がアクションを出し忘れただけだったかもしれませんが、もはや記録と記憶がありません。
ヴィゼルニム城、皇帝自室。
「陛下、このような手紙が届いております」
そう言ってシンが差し出した一通の手紙。
「なになに‥‥?」
『やあ、元気してる? 相変わらず悪どい事してるんでしょ? 近々、そっちに遊びに行くから。お茶菓子を用意して待ってなさい。それじゃ。キャサリン・マルガレット』
「‥‥‥‥‥シン」
「何でしょう?」
「オレ様はしばらく旅に出る、後は任せた」
「この肝心な時に何を冗談おっしゃってるんですかっ!?
「放せ、放してくれぇぇぇぇっ!!」
グアドゥがここまで恐れる(?)キャサリンとは何者なのか!? つーワケで今回はここまでっ。
「お后様!! アンタ、アタシを后にしてくれるっつったじゃないかっ!? その翌日に別の女と寝るなんてナニ考えてんだよッ!?」
Kが嫉妬のあまり泣きそうな声で訴えるが、寝不足の所を叩き起こされイライラしていたグアドゥには関係なかった。
「はっ、バッカじゃねェ!? あんなロ約束、本気にしてたのか!? 遊びだよ、アソビ! 分かったらとっとと出て行け、オレ様の眠りを妨げるんじゃねェよ!!」
「‥‥‥‥‥‥‥ッ!」
Kはうつむいてしばらくジッとしていたが、
「‥‥‥分かった‥‥」
それだけ喉の奥から絞り出すように言って、静かに部屋を出て行った‥‥。
「‥‥‥‥ふん」
「‥‥‥‥ふん、ぢゃないでしょーがーっ!!」
ちゅどーん☆
再びシーツを頭からかぶり、寝ようとしたグアドゥに突然浴びせられる“光条”。その直撃により粉々に砕け散るベッドから裸の三人が姿を現す。
「グアドゥっ! あなた、今度はナニしたのよ!? さっきココから出てった娘、泣いてたわよ!?」
「ちっ、キャサリン‥‥マルガレットか」
「呼び捨てにするなーっ!!」
どっかーん☆
次に吹っ飛んだのは部屋の中央のテーブル。
「てンめェ、いい加減に‥‥」
「まず服を着ろ! 服をーっ!!」
がっしゃ一ん☆
今度はシャンデリア。あーあ、前回に引き続きこの部屋もボロボロだよ。グアドゥの部屋はこうなる運命なのね‥‥。
「ちっ、ナニ純情ぶってんだ。いい年コイてよ」
「いい年とはなによ、まだわたしは17才よ💢」
「17、ねえ‥‥?」
グアドゥとキャサリンは部屋を移り、平和的な話し合いモードに突入していた。ちなみにCOとπはそそくさと退散してしまった。
「で、何しに来たんだ?」
未だ不機嫌そうにグアドゥが尋ねる。結局睡眠不足のままなのだ。
「何しに、とはご挨拶ね。やーっとクリオの魔法学院卒業したんで、卒業旅行ってとこ。あなたもずっとこんなとこにいないで、たまには外に出てみたら?」
「余計なお世話だ。オレ様にはオレ様の理由があんだよ。しっかし、卒業旅行たぁズイブン暇をもてあましてんだなァ? しかも、一人でとは、こりゃまた寂しいねぇ☆」
「それこそ余計なお世話。うっとうしい取り巻きを追い払って、やっとのー人旅なの! そーゆーワケで&しばらくやっかいになるつもりだから、この部屋貸しといてよね。あと、図書館の許可証も作っといてちょうだい。もちろん禁書も見れるヤツね」
キャサリンは捲くし立てるように次々と注文を並べ立てる。
「あ、そうそう。ついでに、何か面白い魔封品とかあったら見せてくれない? いいでしよ、別に減るもんじゃないんだしさ?」
「断る」
グアドゥの返事はただそれだけ。すでに目が半分閉じかけていた。
「‥‥ほほぉ、このわたしに逆らうと言うの? 命の恩人であるこのわたしに💢」
「ふん、それなりのお返しはしたつもりだがな? 5年もかけて治療してやったろ?」
「‥‥そうね、5年も冷凍保存してね。おかげであなたより年下にはなるし、妹にも抜かれるし‥‥結構悲しいものがあるわ。ま、それはそれで、面倒なことはみんな妹に押しつけられるっていう利点もあるけど、ね」
キャサリンの独白を、グアドゥは目を閉じて聞いている。
「でもね、仲の良かった友達もみんないなくなってたのよ。みんな、あちこちに進学したり就職したり。5年だもん、当然だけど。でも、中にはすでに死んでる人だっていたのよ。‥‥分かる? 寝て起きたら友達が死んでたのよ? どんなに会いたくても会えない状態になってたのよ!?」
キャサリンは、先程までのおちゃらけた雰囲気はどこへやら、一気に感情を爆発させた。
「‥‥だ・か・ら♡ あなたはわたしの言う事を聞かなくちゃいけないの☆ これは運命(さだめ)ってヤツなのよ、諦めなさい☆」
‥‥前言撤回。やっぱおちゃらけてるわ、このネーチャン💧 そしてグアドゥが何と答えたかと言うと‥‥、
「‥‥ZZZZZ」
寝てた。
「起きんか、この大馬鹿者ーッ!!」
どんがらがっしゃーんっ☆
例によって吹き飛ぶ家具や装飾品。ちなみに今回は魔法ではなく“ちゃぶだい返し”だ(笑)。
「ッテェなッ! 貴ッ様ァ、今まで大目に見てきたがもう許せん! ブッ飛ばす!!」
「やれるもんならやってみなさい! 魔法学院を主席で卒業した実力を見せたげるわ!!」
「上ォ等ォだ! オレ様は“メガネっ娘”にゃ甘くないぜ!!」
おおっ、お前にも好みなんてものがあったのか。
「フッ、“メガネっ娘”の本領は眼鏡を外してからなのよ! そんなコトも知らないとは、まだまだねっ! ‥‥そんじゃあ、いくわよッッ!!」
キャサリンは胸の前で複雑な印を結び、
「これが必殺の魔法『魔球』よッ!!」
叫びとともにオレンジ色の光球を撃ち出す!
「“仙台のビット娘”と恐れられた(笑)、このわたしの必殺技! 果たして受けれるかしら!?」
「しゃらくせェ!! こんなモノはなァ‥‥」
グアドゥはどこからか柄だけの剣を取り出した。
それはグアドゥの意志に反応し、赤く輝く刃を造り出す! 『古代の剣』と呼ばれるアイテムだ。
「こうしてくれるッ!!」
カッ、キィ‥‥ッゴゴゥンン☆
『古代の剣』で『魔球』を打ち返そうとするが 残念ながら大きく外れ、壁へ激突した。ファールチップだ。
「なかなかやるわねっ! でも『魔球』はまだまだ残ってるわよッ!?」
言って次々と光球を撃ち出すキャサリン。それを打ち返そうとするグアドゥ。どちらも決定的な一撃を決められず、キャサリンの生み出した六つの『魔球』も残りひとつになった。
「これで最後よ!! ハァァァァァッッ!!」
キャサリンは身体を独楽のように回転させ始める。すごいッ、目が回らないのか!? そして地を蹴り宙高く飛び上がると、ググッと背を反らし
「行っけええええええええ!!!」
部屋の天井近くから『魔球』を撃ち出した!
「フッ、見切った!! 高い位置から投げることにより捉え難くしたつもりだろうが、甘いぜ! この勝負、オレ様の勝ちだッ!!」
しかしっ! その『魔球』はグアドゥの手元で急に跳ね上がり、グアドゥの顔面に向かう!!
「くおおおおおッッ!?」
何とか顔への直撃は避けたが、手にした剣が『魔球』に吸い寄せられる!
「何いッ‥‥!?」
バリバリバリバリィッ☆
「あぎゃぎゃぎゃぎゃーっ!?」
そして剣の柄が『魔球』に触れた途端、強烈な電撃によりグアドゥは黒コゲになった。
「ふ、ふふっ、さ、さすがにこのワザは身体への負担が激しいわ。でも、この勝負はわたしの勝ちよッ! 甘いのはソッチだったようね。これが『大回転ハイジャンプ海老反り大リーグハイパースピンブラックホール魔球1号』よっ★」
どっかで聞いたことのあるような? いや、それより! 『魔球』の使い方、間違ってるぞ(笑)!
「あーあ、部屋がメチャクチャ。グアドゥ、これじゃ使えないから新しい部屋用意しといてよね。さーてっと。それじゃ、城内でも見てまわってこよっと♡」
ぶすぶすと焦げる音をさせつつ、グアドゥは思ったそうな‥‥。
「いつか・・・・犯してやる💧」
「陛下‥‥」
「シンか、どうした?」
シンがグアドゥの耳元に何事かを注進する。グアドゥはそれを聞くと、チッと舌打ちをした。
「どしたの、グアドゥ? なんかいい事でもあったの?」
グアドゥの隣でコーヒーを啜っていたキャサリンが、分厚い本から顔を上げて尋ねる。ちなみにその本はキャサリン所望の禁書とかいうものらしい。図書館になど一度も足を運んだことのないグアドゥ日く、『そんなモン、あったのか?』程度の代物らしいが。
「イー事で舌打ちなんかするかよ。ヤロオ、いつかはヤルと思っていたが‥‥ったく、こンのクソ忙しい時にヤルとはァ‥‥‥」
「なによ、もったいぶって。はっきり言いなさいよ」
「‥‥エルツベルムとゴルドバールが裏切りやがった。こっちに進軍して来てやがる」
グアドゥは席を立つとベッドに腰掛け、白衣のお姉ちゃんの胸を採みしだきながら答えた。
「ちょっと、マジで言ってんの? 全ッ然、緊迫感がないんだけど?」
「ま、ある程度予想はついていたからな。シン、イヴにこの事を伝えろ。援軍を出させるんだ」
「は、予定通りに‥‥」
シンはー礼し姿を消す。
「そーいえば、ここに来て一度もイヴちゃんを見てないわね。どっか行ってんの?」
「ああ、ちょっと前線にな」
「‥‥なに? 皇女自らが前線に出向かなきゃいけないよーな戦争やってるわけ? それに反乱にしたって、そんなの起こされるよーな政治やってんの? あなた、皇帝に向いてないんじゃない?」
キャサリンはずけずけと言いたい事を言う。グアドゥは相変わらず白衣の姉ちゃんを弄びながら、
「イヴが前線に行ってんのはアルビオンを投入したからだ。あれはオレ様かイヴが乗ってなきゃ半分以下のチカラしか発揮できねェんだ」
「はぁ? んじや、あなたとイヴちゃんが死んじゃったら、そのアルビオンってのはタダの鉄屑になるわけ? いったい、ナニ考えてんのよ?」
「フン‥‥そんな心配は無用だ。オレ様は不死身だからな。イヴにしてもオレ様がそばにいる限り絶対に死なせねェ」
その自信はどこからくるのか、キャサリンは果れて言葉も出なかった。
「それとな、オレ様は政治なんて知らねェよ。オレ様がやりてェのは、ンな事じゃねェからな」
「あ、そ。ま、あなたのとこの家庭内暴カみたいなものだから、わたしがロ出しするようなことじゃないんだけど‥‥自分の身に火の粉が降りかかるかもしれないって言うんなら、話は別よ」
「おめでてェ女だな、降りかからねーワケねーだろが」
とうとう白衣を脱がせ始めたグアドゥが、からかうように言うと、
「防壁」
キャサリンはコーヒーをー啜りして、ポツリと魔法を唱える。
「お? おおおおお?」
今までするすると脱がせていた白衣に途端に触れられなくなり、指先をツルツル滑らせるグアドゥ。本来は物理攻撃を防ぐ為の魔法だが、キャサリンにかかればこのくらいのアレンジは朝飯前だった。
「ったく、花も恥じらう乙女の前でナニ始めてんのよ? 少しは時と場所を考えなさい」
「ちっ、いーじゃねーかよ。オマエだって見られてる方が燃えるだろ?」
「‥‥同意を求めないでよ💢」
「ひょっとして‥‥オマエ、処女か?」
「答える必要ない💢💢」
グアドゥはここぞとばかりにからかい続ける。
「クックッ、なんだったらオレ様がオンナにしてやってもいいんだぜェ?」
おいおい、眼鏡っ娘には興味ないんじゃなかったのか?
「ふふん、オレ様は来る者を拒まない主義だ♪」
「それ以上続けるなら、『ガッツマン』フルコーラスで歌うからね💢💢💢!!」
歌ってもいいが、そのシーンは書かないぞ。
「へ〜いへい💧 んじゃ、オレ様も行くとするか」
「あれ、出かけるの?」
「状況が状況だけにな。あんまし兵を戻すワケにゃいかねェし、オレ様も出撃すんだよ」
「ふうん。エルツベルム方面に行く艦があるんだったら付き合うわよ。‥‥わたしがいるっていうのに進軍してくるなんていい度胸じゃないの」
キャサリンはパタンッと本を閉じると、残ったコーヒーを飲み干し、
「確かエルツベルムは魔導兵器の開発が盛んだったハズ。どれ程のものか見てみたいしね」
「‥‥ま、いーか。そんじゃ、巴(トモエ)、そいつのコト頼んだぜ」
グアドゥは白衣の姉ちゃんにベッドの方を目で示し、キャサリンと部屋を出て行った。