項目 | 設定 |
---|---|
過去 | 命を助けられたことがある |
現在 | 主君に忠誠を誓っている |
家族 | 家族に関しては不明である |
外見 | 清楚 |
外特 | 記憶喪失である |
癖 | 誉められると赤くなる |
将来 | 自分のいるべき場所を見つけたい |
嗜好 | ○○○が好き |
異性 | 包容力のある人が好き |
嫌い | 人付き合いが苦手 |
感情 | 他人に心を開かない |
理性 | 羞恥心や道徳心に欠けることがある |
交渉 | 冗談が通じない |
行動 | 物静かだが、実は行動的である |
自由 | 主に誉められるのが嬉しい |
最初期においてはエジプトに赤クレリックを投入しようと考えていたのですが、『東イべ』からの帰りの新幹線の中で初期情報を読みましたところ、エジプトには冒険物しかなかったため、急遽、B5(水滸伝)へと変更。その初期情報において、珠江(NPC)が「もちろん監視はつけるさ。絶対に裏切らない、な」
といった発言をしていましたので、その監視役NPCのライバルになれればいいなぁ、と忍者のキャラクターを投入しましたところ、その監視役当人になってしまったキャラクターです。
「拾ってくれた主君に仕える記憶喪失の女性」という設定は、MT4『サイコマスターズ AD2077.J-File』の奥瀬静香と同様ですが、静香が過去を持たない自分について悩み、考えることを基本としていたのに対し、このキャラクターは何ら悩むことなく機械的に主君に従うことを……つまり、キャラクターの心情など何も考えずにプレイすることを予定していました。
しかし、届いた第1回個別リアクションにおいて、しっかりと心情描写がなされていたものですから、以後、「このキャラクターはいったい何を思い、何を考えているんだろう?」と私自身が悩みながらプレイすることになり、結果、神城マスター曰く、「今回見た百一人の中でもっともいい位置についたといえるでしょう」
との立ち位置をいただいておきながら、それを生かすことができませんでした。
なお、私にとって初の死亡キャラクターです。最終回に主君をかばって死亡しましたが、偽の姿、偽の名前で行動することを基本とし、それまで共通リアクションに一度も本名で登場していませんでしたので、交流していなかったプレイヤーの皆さんは、最終回に突然登場した鈴に対し、「誰だこいつ……?」と思われたことと思います。
共通リアクションに登場しているものの、名前が出ていないという罠。
次にオーフェンも進言しようとしたのだが、それは本隊の方から駆けてきた飛 蒼龍(フェイ ツァイロン)によって遮られる。
「隊長! 十人ほどの山賊が現れて一騎打ちを申し込んでいます!」
「十人? あいつがそんな数しか連れてこないとも思えんが‥‥分かった。今行く!」
風の様に駆けだした将巳を追ってその場にいた全員が本隊に向かって走り出す。だから誰も‥‥将巳すら気付かなかった。その一部始終をじっと監視していた少女の存在に。
あの人が私を拾ってくれた。他に行き場所のない私を。あの頃のあの人は今とは違う意味で私を必要としてくれた。あの頃のあの人はもういない。変わってしまったあの人。それでも私はここにいる。他に行く場所など私にはない。他にいる場所など私にはない。
「鈴、こちらの女性を客室にご案内しろ」
『主』の声が私を呼んだ。たとえあの人が変わっても私のいる場所はここしかない。
『あの人』が私を必要とする限り。
「あなたも南宋国の現状を知らぬわけではないでしょう。そして今の四人の関係が恒久的に続くものではないということも‥‥。その時政権をより強く掌握できるのは軍隊を握っている貴方。そう考えたから私はここに来ましたの。相手を出し抜くためには軍の力だけでなく策士が必要ですわ‥‥私のような、ね」
そのまま扇情的に珠江にしなだれかかるヒルダ。だが、珠江の眉一筋とて微動だにしなかった。
「それで?」
「あなたの下で働きたいだけですわ‥‥もちろんそれ以外を求めるなら応じもしましょう」
珠江はしばし目を瞑り、何かを思案しているようだったがすぐに目を開いた。
「いいだろう。正式な通知がいるなら後で送ろう。とりあえずはゆっくりするがいい。鈴、こちらの女性を客室へご案内しろ」
「はい」
(いつの間に!?)
二人きりだと思っていたヒルダは僅かに動揺の色を隠せなかった。柱の影から出てきた少女、鈴という名前らしいが‥‥まるで感情を表さない人形のようなその顔に睨むような視線を向ける。
「こちらへどうぞ」
だが、それさえも少女の表情を変えることはできなかった。
「‥‥というように内通者らしき人物や裏切りそうな人物も若干名いるようですがいかがしますか?」
「捨て置け、雑魚に用はない。それよりも陳将巳だ。あの男の動きと奴に接触する者だけを見張ればよい」
「はっ」
そして影は消えた。
洞窟から出てきた少女を捕まえて、管静はいくつも自分の疑問をぶつけていった。少女~鈴~は雄弁ではなかったが、戦場への足を提供することと引き替えにぽつりぼつりと自分と珠江の関係、そしてこの洞窟に来た訳を教えてくれた。
「そうか‥‥あの珠江がな。にわかには信じられない話だが‥‥」
だが、静にもいくつかの仮定を立ててみるくらいのことは出来た。
「なあ、こういう事は考えられないか? 珠江はその夏の日に龍に取り付かれてしまって、体を完全に乗っ取られてしまった。今の珠江は彼であって、彼では無いのかもしれない‥‥とか」
静が用意させた馬車がひたすら北東へと向かう中で、鈴はその言葉の持つ意味を考えてみた。
そしてすぐに首を横に振った。
(そんなはずはない。あの人が私に向ける優しい眼差しが、私を包んでくれたあの暖かさが、偽りの善がない‥‥)
心でそう思っていても、不安が口をついて出てしまった事に少女は気付いていなかった。
「‥‥御主人様に会わせて下さい」
そして運命の瞬間、少女が愛する人を守るために飛び出すのを静には止めることは出来なかった。
「何故だ‥‥?」
珠江が法力の高まりを感じることは無かった。
邪龍との契約を断ち切られた時点で、彼は既に力を失っていたのである。
「とどめだっ!」
蒼の残光を残して矢のような突きが打ち込まれる。それは確実に珠江の水月を捉えるはずだった。
「駄目!」
横から飛び出して来た小さな影が珠江の前に立ちはだからなければ。
少女の胴体がまともにくの字に折れ曲がり、その小さな体は弾き飛ばされて大地に落ちた。
倒れ伏した鈴を抱き起こす珠江。少女の顔には既に死相の影が濃くなっていた。
「御主人様‥‥ご無事‥‥でしたか?」
「喋るな。もう喋るな」
鈴は小さく首を振ってかすれた声で彼に語りかけた。
「御主人様が拾ってくれなかったら、私は生きていなかった。あの時から‥‥この声も、この姿も、この心も、御主人様の為だけのもの」
少しずつ失われていく体温を逃さぬように、珠江は彼女の体を抱きしめて叫んだ。
「お前も、私を置いて行ってしまうのか!? お前がいなくなったら私は‥‥!」
少女は自分を包む確かな温もりを感じながら、最後の力を振り絞るようにして微笑みかけた。
「ごめんなさ‥‥い」
そして類に伸びかけた手が力無く落ちたとき、張珠江は自分が失ったものがいかに大きかったかに気づいたのであった。