「実年齢より若く見えるキャラクター」第8号、そして、現在のところ最後に参加したPBMのキャラクターです。
所属組織の「月の剣」は外征部隊のため、攻撃主体のキャラクターは多くいるだろうと考え、防御主体のキャラクターとして作成しています。自由設定もそれに合わせたものにしていますが、当然のことながら「サイバネス24素体の1。300年間の実験・データ収集期間が終了し、廃棄処分となったところを召喚された」などという設定がリアクションにおいて言及されることはありませんでした。というか、ルールブックのサイバネスの説明に「電子頭脳はデジタルな思考を刻むが、感情が無いわけではない」
とあるのに対し、「感情実験型のため、人間以上に表情が豊か」などと設定している辺りが極めて反逆的です。
ゲームの方では、自分で「他の月の剣の聖騎士達を守ることを任務としている」と設定しておきながら、聖騎士以外のその他大勢の人達を守ることを主眼として行動していました。『英雄×勇者×救世主』のハーブロークに負けず劣らず、様々なガジェットが登場しましたので、目的達成のためにそれらを解析したり、利用したりしようとしましたが、そういったアクションは尽く没。行動した結果、失敗するのであれば納得できるのですが、行動自体を無かったことにされるというのは、かなり悲しいものがあります。
そして。
そのようにアクションは全没であるにもかかわらず、キャラクターは動いたり喋ったりしているという新感覚PBMでありました。マスターは、放課後に職員室まで来なさい。
密かに体験版を申し込んでいたP.A.S.の新作『幻想英雄伝ウィンド・オブ・スターシア』のリアクション(テイル)が届きました。
パンフレットを読んだ時点でちょっとプレイしてみたいキャラクターが思い付いてしまい、この体験版の内容如何によってゲーム参加を本格的に検討するかどうかを決定しようと考えていたのですが、残念ながら届いたものは「お兄さん、ガッカリだ」
な出来。なにしろ、見せ場の戦闘シーンが、
言葉が終わると、四方の壁が開き、次々と警備の者が入ってくる。
ミュエルはスカイウォーカーの力で炎を出し、ファイルーズは魔法で応戦した。
二人の強さに市長が少し、青ざめる。
というもので、「お願いだから、どう応戦したのかを書いてくれっ」と叫びたくなったのですが、それ以前の問題としまして、物語の初期設定が「街の権力者が魔法の石で奇跡を起こして富を集めている」って、それっていったい何処の『鋼の錬金術師』第1話なのでしょうか。リアクションの裏に書かれている「君がフォーリナーとして出会うのは、通常の人間にはなし得ない強大な『使命』だった……」
という煽り文句に対して、スケールがかなり小さいような気がします。
ちなみにこのゲームのキャラクターの立場は、「『ニルヴァーナ』という世界に召喚された、『ロマンシア』という世界のキャラクター」というもの。これは謂わば『BASTARD!!-暗黒の破壊神-』の世界観で作ったスーパーワンダフリャキャラクターを『ロードス島戦記』に投入するようなものですので、プレイに当たっては二つの架空世界の知識が必要になります。何故このような面倒な構造にしたのか激しく疑問な訳ですが、果たしてマニュアルではきちんと『ロマンシア』世界の説明が行われるのでしょうか?
A:その予定はありません。
「スレッガーさんかい? 早い、早いよ」
という訳で、6日前に密かに入金していたP.A.S.の新作『ウィンド・オブ・スターシア』のスターティングマニュアルが届きました。まさに入金が確認できたその日の内に発送を行ったのではないかと思える程の早さでして、「ひょっとして、発送態勢はとうの昔に整っているというのに、全然申し込みがないという状況なんじゃなかろーか?」といった一抹の不安を抱いたりしていたわけですが、それはさておき、早速パラパラとマニュアルを捲り、
文字小さッ。
この文字の小ささで約150ページあるとはこのマニュアル、私のやる気を削ぐ一匹狼の殺し屋なのか。「絶望した! 情報過多のマニュアルに絶望した!」と、ひとまずマニュアルから目を離して附属物を見てみましたところ、「オリジナル組織 参加申込み用紙」なるものを発見。どうやら今回のゲームは組織に属し、その影響力を上げていくこともまた推奨されているようです。「PBMってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。同じシナリオに参加した奴といつ喧嘩が始まってもおかしくない、載るか載らないか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか」などと考えている私にはなかなか辛い仕様でして、「絶望した! 交流前提のシステムに絶望した!」と、とりあえず某巨大掲示板群ではこの辺りがどのように評価されているのかと該当スレッドを覗いてみましたところ、
- 283 名前:NPCさん 投稿日:2006/12/31(日) 12:54:02
組織で金取るのか! ひどい錬金術だ。よほどPASは金に困っているようだな。金額にもよりけりだが、そんなの一人で五人入れる奴ぐらいしかやらんだろ。エルスと違ってPASはプライベによる交流が無いんだし。
- 287 名前:NPCさん 投稿日:2006/12/31(日) 14:40:24
なんかPASは色々勘違いしているような気がするな。今まで散々自社のゲームを交流のいらないようなものにしておいて、交流サイトやプライベが死滅したところで交流のいるシステムをやろうとしている。おまけに団体作るのに金を取るという。三人以上で、しかも無料で作れるエルスとはえらい違いだ。エルスのほうはプライベも交流サイトも活発に動いてるということをPASの連中は知らないらしい。
ともかく、こうまでして金集めに躍起になっているようじゃ先は長くないな。ホビデの末期を彷彿とさせるよ。
- 294 名前:NPCさん 投稿日: 2006/12/31(日) 20:43:35
エルスの会社や特設校は三人でできるし無料なのにな。PL間の交流があらかた死滅したPASで、こんなシステムやれると思ってるのか? きっとエ×とかメンヘル連中が一つ二つ作っておしまいだろ。
などとシステムの善し悪し以前に、会社の存続が話題になっていまして、「このゲームが『デモンスリンガー2』みたいに途中で終わってしまったら困るなー」と思いつつも、「『デモンスリンガー2』のように充実したプレイができるんなら、まぁ途中で潰れてもいいか」などと不穏なことも考えている須賀和良です。ごきげんよう。
なお。
12月12日の日記に書きましたPCの出身世界たる『ロマンシア』に関する説明は、
で終了でした。
「絶望した! 情報不足のマニュアルに絶望した!」
帰宅途中に、
板サス友の会。
え? エアサスってなに?
と車体にマジックで書いているトラックを見掛け、少しツボにはまった須賀和良です。ごきげんよう。
さて、それはさておき、『ウィンド・オブ・スターシア』です。昨年末にマニュアルが届き、そのことを日記に書いてからというもの、幾人かの方々が検索サイト経由でいらしているというのに、キャラクター作成ルールすらまだまともに読んでいないという状況です。かつてPBMについては、「キャラクターを作成して、活躍を夢見ているときが一番楽しい」
などと言われたことがありましたが、このままでは「パンフレットを読み、システムを夢想していたときが一番楽しい」などという状況に陥りかねません。という訳で、早速マニュアルを冒頭から読み始め……、
と敢えなく撃沈。とりあえず、冒頭の導入小説は軽くスキップし、NPC紹介コーナーをパラパラと眺めてみましたところ、次のような人物を発見しました。
- 暁の姫君ステラ
無垢にして純真な瞳は、彼女が持つ重責を忘れ去ったことで洗われたのか。ステラは、アテルイに拾われたフォーリナーの少女で、過去全ての記憶を失っている。異世界では、「暁の剣」と称された、古来よりフォーリナーの中でも神秘の力を持つ人々の、長を務めていたことで知られる。
なんということでしょう。『フォーチュン・オブ・ギャラクシア』で私が参加し、リタイアしたシナリオの重要NPCではありませんか。死亡まっしぐらのキャラクターだと思っていましたのに、しっかり最後まで生き残っていやがったとは、なかなか侮れない奴です。あのまま参加を継続していれば、殺しきることができたのかもしれない……と、ちょっと後悔しましたが、その場合は別の意味でより大きな後悔を抱えることになったであろうことは想像に難くありませんので、この話はこの辺で終了したいと思います――というところで、Jobaによる15分の運動が終了しましたので、本日のマニュアル読みはここで終了です。そう、私はこのマニュアルを読むとき、Jobaによる運動も一緒に行うようにしていたのです。
「須賀和良はいつ、マニュアルを読み終わるのだろう?」
「終わらないと思います。いつまでも」
今日も今日とてJobaに乗りながら、『ウィンド・オブ・スターシア』のマニュアルを読んでいます。
このゲームに関しては、パンフレットを読んだ時点で投入するキャラクターのイメージは固めていましたので、本日は、独特なあまり「その言葉の意味するところがイマイチよくわからんな」
と言いたくなる世界設定は軽くスキップし、まず、関わることができそうなシナリオがあるかどうかを確認することにしました。このゲーム、初回からアクションを掛けられる訳ではないのですが、参加シナリオは選択できるようになっており、マニュアルに22本の初期情報が掲載されているのです。
という訳で、早速読み始めましたところ、
- コヨーテ・邪竜退治と街の守護
その炎は世界を焦がすと言われた。活火山『シグナ・マグナ』の火口側には、その炎で焼けこげた死体が世界の果てのように転がっていた。
そしてまた一つ、目の前で火柱が上がる。その炎の中心に闇色の影が浮かび上がる。
と、読んでいる内に自然と眉間に皺を寄せてしまうものが多々ありまして、軽い目眩がしてきた須賀和良です。ごきげんよう。
これらの初期情報を読んでいるとき、かなり渋い顔をしていたようで、妻に「何かに怒っているのかと思った」
と言われてしまった訳ですが、さすがに前作のように頭の中で文章を再構築する必要があるマスターにはもう当たりたくありませんので、判定が厳しくなるのも仕方がないことと御了承頂ければと思います。そして幸いにも、私が投入しようと考えていたクラスがメインを張れそうな初期情報4本は、どれも「可もなく不可もなく」というものであることが判明。今回のプレイテーマには「スタンダード」を掲げようと考えていますので、この中から参加シナリオを選択しようと思う次第です。
ちなみに。
投入予定キャラクターのイメージを妻に教えましたところ、「それって、どこの『まほろまてぃっく』?」
と言われてしまったのは、ここだけの秘密です。
2週間程前のこと。
「『Role&Roll』を買うから、本屋に連れてって~」
と妻に頼まれて本屋に行きましたら、最新号は発売日が2月初旬に延びていることがわかり、
「このまま帰るとわたくしたち、本日の負け犬ナンバーワンと言っても過言ではないな」
「……だから?」
「ジャスコに寄って、イイ蒸篭をGETすれば、プラマイゼロになるのではないか、と考えるのだがね、キミイ?」
とそのままジャスコにまで足を伸ばしたのですが、蒸篭もこれまた売っておらず、二重の意味で負け犬になって帰って来たことがあったのですが、昨日再び、妻に「『Role&Roll』を買ってきて~」
と頼まれまして。
本当にもう最新号が売っているのかを改めて訊きましたら、「売ってるよ」
とのことでしたので、仕事関係でとある方の講演を聞きに行くついでに、近隣で唯一『Role&Roll』を売っている本屋に寄ってみたのですが、案の定と言いますかなんと言いますか、ものの見事にまだ前号が売っている状態。「話が違いますよ奥様?」と帰宅後に『Role&Roll』の公式サイトを確認してみましたら、「Vol.29は、2月6日ころ発売予定」
と書かれていまして、
と思った須賀和良です。ごきげんよう。
さて、それはさておき、今週水曜日は『ウィンド・オブ・スターシア』のキャラクター登録の締切日です。ここ2週間ほどほったらかしにしていましたが、特に新たなアイデアが浮かぶこともありませんでしたので、当初の予定通りにキャラクターを組み上げることにします。と言うわけで、メモ用紙に、
といった大雑把なイメージを描き、それを見ながら名前や種族等の各種設定を決定していき、1時間程でキャラクターが完成。あとは、変なことを思い付く前に投函し、第1回リアクションが届くまで忘れ去ってしまうのが吉でしょう。
ちなみに、物凄く適当とは言え、こうして絵にペン入れしたのは約2年ぶりのことなのですが、相変わらず全く動きのない絵が出来上がりまして、ちょっとへこんでみたりしたのはここだけの秘密です。
セカンドルナといえば、王星へ上質の穀物を献上することで有名な、作物の取れる豊なルナだったはずである。
しかし今となっては荒涼とした土地が広がり悪党が跋扈するだけのルナへと成り下がっている。
依然訪れた時はこんな雰囲気じゃなかったのに、と聖騎士ライカ・ブロウィンは耳を前に倒しながら眉をひそめていた。しかし、いつまでも感慨に耽っていられる余裕もない。今の彼女の役目は一刻も早く月の麗人アレックスの情報をつかんで仲間の所へ持ち帰ることだ。
そう、情報を持ち帰ること。
「もうあんな真似はよしてください」
普段の温厚な姿からは珍しく、強い口調で注意を促すサイバネスの聖騎士シータに、ライカはばつが悪そうに笑って見せた。
「でも、情報が手に入った。後はまっすぐ走るだけだよ」
反省はしているが、やはりまた同じ状況に陥れば同じ事を繰り返すと思える獣人の少女にシータは静かに苦笑してみせる。事の類末はこうだ。
『情報が欲しいならついていらっしゃい』と、街中で途方にくれていた二人の前に黒尽くめの格好をした女性が現れたのである。周りからは浮いた存在に見える女は、相手の反応を待たずにその身を翻して歩き始めた。
その後にライカは従ったのである。
共に行動していたシータは危険を感じて彼女を止めたが、ライカは迷わずに彼女に情報を求め、結果的に情報を得ることに成功していた。結果的には、だが。
腕から毀れるライカの血を見ると、シータはライカの肩に手を伸ばして止めてみせる。
「邪剣でつけられた傷は治りが遅いと聞きます。さ、無理はしないで治療してください」
シータは取り出した純白のハンカチを包帯のように巻いて傷ロを縛ってみせる。へへ、とライカは再び照れくさそうに笑って頭をかいて見せる。
時は少しばかり遡る。結果から言えばライカ達を招きこんだ女は邪剣を持つイヴルスターだった。彼女達を街の奥へと引き込み、始末せんと襲い掛かってきたのである。
「ライカさん、下がって!」
瞬時に自らの神霊騎を抜いて、シータは女の斬撃を受け止めた。禍々しい殺気を放つ女の青白い刃にシータのシステムが極めて危険度高しと警鐘を鳴らす。
「一撃でも受けると、まずい?」
「大丈夫。二人でやれば!」
「二人係でも危ないとは思わないの?」
女は静かに笑ってその邪剣を振りかざす。
禍々しいその刃に加え、女の太刀筋は実に不気味だった。
防御戦術に特化し、大抵の攻撃ならば受け流してみせるシータですら一撃一撃を確信して受け流せない。
「ベオウルフ!」
巨大な一対剣(ランサー)を手に、ライカが前に出た。
防戦に入れば勝ちはないとウェアビーストの勘が告げた為だ。まっすぐだが重みのある斬撃が女に襲い掛かる。
しかし、女はその攻撃にニヤリと笑って見せた。
「まずはお前からだ」
シータの幅広剣(ブロードソード)の刃に滑らせるように女はライカをしとめようと横に斬撃を放つ。しかし女はライカの持つ獣的な瞬発力を舐めていた。
ライカの右上腕部に小さな傷が一つ出来る。斬撃を読んでいた訳ではない。斬撃を「見た」ライカの体が前に傾いていた重心を無理矢理後ろに引き戻したのである。
「やああっ!」
女の斬撃は勝利を確信していた為か大振りだった。
そしてライカは目を見開き、べオウルフを振り上げる。
絶命した女の懐からは、特徴的な形の紋章が一つばかり転がり落ちていた。シータは見覚えのあるその紋章を手に取ると、一つの組織の名をロにしてみせる。
「ファントム。名前こそまだ有名ではありませんが、イヴルスターを集めて悪逆非道を行う闇の組織があると聞きます。オクタスからもその首謀者であるフォーリナー、アイショットに賞金が掛けられたとか」
「そいつらがアレックス様を凌ったのかなっ?」
「解りません。しかし少なからず、このセカンドルナ『ロゼッタ』を探ろうと動いている私達聖騎士が、彼らにとっては邪魔だったのでしょう。ならば、このルナの中に彼らの拠点があるはずです。もしかすれば、そこに月の麗人が捕らえられているのかも」
「ならファントムを調べてみよう。やれることは全部やるんだ。アレックス様を、早く助け出さなくちゃね!」
そうですね、とシータも微笑を浮かべて領き、二人はようやく裏路地から表の通りへと、出る。
「あれ……?」
しかし、そこには見慣れた光景がなかった。
道を間違えたかと一瞬ライカは目を丸くするが、すぐにそんな生易しい事態ではないことに気づく。
踏み出した表通りは普段の世界とは根本的に違う、白と黒のみで塗りつぶされた色彩のない居空間だった。
一体何が、とシータが目を見張るが、既に彼女達は大きな何かに呑みこまれており……
セカンドルナの大都市マハブルグの中に残っていた第一捜索隊の面々は、気がつけば影の街の中に取り込まれてしまったようだった。何時を境に、どうやってこの街にやってきたのかはわからない。
気がつけば彼らはこの街の中に立っていた。
全てが黒く塗りつぶされた不思議な影の街。
影とはいえ、街はまったく変わらず構成されている。
建物や人間達は黒く塗りつぶされながらも存在しているし、まるで彼等は自分達が影であることに気づいていないかのように行動を続けていた。
すなわち、商売をし、喧嘩をし、酒場では歌い、そして色彩を失った灰色の空を見上げる。
だがその中を歩くリオリートの姿だけは彼等は認識していないようで、彼を無視するようにすり抜けてどこぞへと影達は忙しそうに消えていく。
「ここに居ましたねリオリート。無事でよかったです」
翼を広げて舞い降りるシルバが少年を見つけて安堵の笑みを浮かべる。後から遅れてやってくるのは別行動をしていたシータだった。
「三人とも良く無事だった。……とはいえ、これは一体どういうことだ? 何が起こってるかさっぱりだ。それにライカはどうしたんだ?」
「彼女は既に先行して偵察に行っています。詳しい話は後です。アレックスを見つけました」
「なんだって!」
表情を変えてリオリートがシルバにつかみかかる。
落ち着いてください、とシータに促され、我に返ったリオリートはすまない、とシルバに謝罪する。
「私もあなたと同じ気持ちですから無理もありません。ライカとシータの二人と合流するために街中を飛び回っていたのですが、その時に見つけたのです」
シルバは静かに西の方角を見て、言う。
職場からの帰りに行き付けの床屋に寄りましたら、私以外のお客さん4人全員が小学生で、年齢制限ができたのかと慌てて料金表を確認してしまった須賀和良です。ごきげんよう。
さて、それはさておき。
密かに先週土曜日に到着していた『ウィンド・オブ・スターシア』の第1回リアクション。一度、軽く目は通していたのですが、そろそろアクション(アクト)締切も迫って来ましたので、蛍光ペンで重要情報をチェックしながら読み直すことにしました。そして気付いたのは、結構誤字が多いということ。その殆どは変換ミスですが、中には「おいおい」と思わず突っ込んでしまうものもありまして、その最たるものは、
かの生真面目で名高い聖騎士団長アレックスだ。彼女は様々なところで騒ぎを起こし、ならず者を相手どって荒事を繰り返している。
と、いきなり重要NPCの性別を間違えていることでしょう。
――と思っていましたら。
面白い連中だ、とナハティガルは感想を抱く。あんな変わり者はあの嬢一人だと思っていたのだが、と。
「全て予定通りって訳か。例の女は?」
「そろそろ奴等も発見してる頃だろう。もういい、処刑しろ。磔刑とは中々華美な死に方だ」
既にかなりぐったりとしていて、生きているかどうかも怪しい。周りを見渡せば彼女を見張っている者はいない。
おや?
なんとなく不安になってきましたので、改めてマニュアルを見てみましたら――
,. -‐'''''""¨¨¨ヽ (.___,,,... -ァァフ| あ…ありのまま、今、起こった事を話すぜ! |i i| }! }} //| |l、{ j} /,,ィ//| 『男性NPCに絡むことを前提にキャラクターを作ったら、 i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ そのNPCは女性だった』 |リ u' } ,ノ _,!V,ハ | /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 な…何を言ってるのか、わからねーと思うが、 /' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ おれも何をされたのかわからなかった…。 ,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉 |/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ 頭がどうにかなりそうだった…。 // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \ 催眠術だとか超スピードだとか、 / // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ そんなチャチなもんじゃあ、断じてねえ。 ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ } _/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。
いや、だって、「アレックス」という名前にこの外見は、普通男性でしょー?
と言いますか、胸も腰も全くないことから察するに、イラストレイターさんも勘違いしていた可能性極めて高し。
明後日は、『ウィンド・オブ・スターシア』の第2回アクション締切日。
今回が初アクションになりますので、如何にしてキャラクター性を発揮しつつ物語の中での居場所を確保するかが重要となる訳ですが、いかんせんキャラクターが把握している情報がリアクションの一部に過ぎないため、行動選択肢があまり多くありません。結果、基本的な行動はガイドポスト通りに「捕まっている重要NPCを救出する」となりました。問題は「プレイヤーの思惑とキャラクターの思惑とが一致しているために、私にとってあまりアクションが面白いものになっていない」ということですが、このことについては今日と明日とでゆっくり考えまして、何かしらのギミックを搭載させたい思います。
アクションを考えるに当たり、一応、他の方々の動向も確認しておこうと思い、二つのブログを巡回。先週の内に同シナリオ(リード)にキャラクターを投入されている方のブログを検索しておいたのです。「どんな情報交換が行われているのかな~?」と覗き……そういったやり取りが一行たりとも存在しませんよ奥様? これは、お二人共にキャラクターを3人以上登録されていることに何かしら原因があったりするのでしょうか。
その後、ちょっと負け犬気味にパソコンから離れまして、パスポート(ログ)にキャラクターデータの書き写しを行ったのですが、その際、次の一文が印刷されているのを発見。
第2回アクションの締切日は、3月13日(消印有効)です。(←明日)
重症なライカを巨人で押しつぶすつもりか。影に思考は無い。立ちふさがる敵は徹底的に、抹殺する。
ライカの左手から力が抜けかけた、その時。
「あああっ!」
絶叫を上げながら二体の巨人が影のヴァルキュリアに体当たりを行い、それを吹き飛ばした。
聖騎士エルローズ・ヴァン・ランディルの神霊騎イヴァンギリーと聖騎士セシリア・エイダ・ハーヴェイの神霊騎の巨人が二体掛かりでヴァルキュリアを攻撃したのだ。
相手がヴァルキュリアと同じ出力だとするなら、エルローズはそれでも押さえ込むには足りないことを熟知している。故に最初から一切容赦は無い。
様式美も、礼節も、余裕もなく、ただ全力で攻撃を行う。
目を見開いて叫びながらエルローズはイヴァンギリーでヴァルキュリアを蹴り、吹き飛ばした。
それと同時にセシリアの巨人が槍を振りかざして影のヴァルキュリアに向かってソレを激しく突き立てる。
数秒ほど送れて、場に乱入した聖騎士シータがライカの身体を抱き上げて影のアレックスを吹き飛ばした。
「よくぞ、こらえてくれました!」
シータの言葉で、ようやく自分が生きていることを思い出したライカは腕の中で気を失う。
アンチェインの身体は強靭だ。例え首を跳ねられても死ぬことは無い。シータは生命反応を確認すると領き、ライカを抱いたままで自らの神霊騎を展開する。
「ようやく追いついた。サポートする方の身にもなってほしいものですよ!」
翼を広げながら砂埃を上げて脚で無理矢理ブレーキをかけながら現れたのはアルケミストのジェイド・ジュントローズだ。彼の肉体強化の術を受けてエルローズとセシリアの二人は飛躍的にスピードを高めてこの場への乱入に成功したのである。間にすれば僅か十秒ほどの差だが、フォーリナーの移動能力を加味すれば十秒の差は天と地ほどの違いがあるのだ。ジェイドはシータが抱えているライカの重症をみると目を見張ってその手を伸ばす。
「なんと大変なことだ! 愛らしいお嬢さんが死に掛かっているじゃないか! 美を傷つけるなど人類全体の損失だ。く、許せん。こちらへ渡しなさい。僕が眠り姫をさぁ、修復しますとも。完璧に」
「……それではお願いします。わたしにはまだ仕事がありますので」
シータはジェイドに抱いているライカをゆっくりと渡すと、片手で剣を揺らして身軽になった自らの身体を揺らす。穏やかに微笑を浮かべる何時もの彼女の表情はない。
影も彼女相手に容赦をするつもりは無い。
ゆらり、と彼女の神霊騎が揺れる。
彼女が持つ幅広の剣はもともと攻撃を行うためには作られていない。その神霊騎の形状、彼女の能力、技能。
その全てが防ぐ、という一点にのみ特化している。
「私の星座は踊る笛吹き座。思えば、私の願いに星座が答えてくれたのかもしれません」
踊る笛吹き座の能力は流れを操ること、そして読むことだ。空飛ぶツバメが決して障害物にぶつからないのは空気の流れを身体で感じているからだという。故にどれだけ剣で追おうともツバメを落とすこと適わず。神速の影の一撃を、彼女は危なげもなく捌いた。
反撃はしない。もとよりそのようなことは考えていない。
「増援が到着するまでの残り二十秒。例え幾千の刃降り注ごうとも、わたしはそれを捌ききりましょう」
ゆらり、とシータが剣を構えて影を威圧する。
「この身が朽ち、我が機能が停止するその日まで」
「強い! アレックス、アンタ訓練の時にあれでまだ私に手加減してたのね! 出力が三割は違うじゃない!」
ヴァルキュリアを押さえ込むとつかみかかったものの、いとも簡単にそれを押し返してくるヴァルキュリアにエルローズが悲鳴をあげる。
聖騎士を一年こなすことで得られるキャリアは計り知れない、聖騎士を一年こなすごとに一回りの実力差があるといっても過言ではない。
そんな中で、アレックスと同期でほぼ同じキャリアを積むエルローズが舌を巻くほどの巨人。聖騎士としてはエルローズですらも雲の上といった状態のセシリアにとって、ヴァルキュリアという巨人は化け物にすら見える。
「セシリア!」
戦標するセシリアにエルローズが叫ぶ。
「雷を使いなさい、あなたの星ならいけるでしよう」
「雷? 無理です。効きっこありませんよ!」
「中央球を狙って! 星座の攻撃能力は貴方のほうが上なの! 私が自己再生で抑えてるうちに、早く!」
「……が、頑張ります」
そう、戦慄している場合ではない。アレックスを救うと決めたのだ。びびっている暇など無いのである。
「星光輝!」
次の瞬間、神霊騎によって増幅された激しい雷が巨人の手から影の中枢部へ叩き込まれた。
「二千三百二発目。パターン解析終了」
シータの声が響き渡る。上空では激しい雷光と共に辺りが真っ白に染まるがまばゆい光にその瞳が閉じることは無い。そして二十秒丁度が経過し、彼女の計算通りに、駆けつけた増援が到着する。
「随分と派手にやらかしてるじゃねぇか!」
黒の翼を広げながら、現れるのはイヴルスターのナハティガル・ハーレイである。自らの邪剣を片手に横目で貼り付けにされたアレックスを見る。
「一人で解決するんじゃなかったのか。嬢」
「……く」
アレックスが呻くと、ナハティガルは指先をアレックスに向ける。次の瞬間、星光輝が幾重にも分かれて彼女を縛っていた鎖をいとも簡単に断ち切ってみせる。
それと同時に磔刑台に堕ちるその身柄を、聖騎士シルバ・カミシロが受け止めて上空へと身柄を運ぶ。
「首尾は上々だな。じゃあそろそろやるとするかよ」
シータと並んで、ナハティガルは影を不敵に睨んだ。
「さすが嬢の影だ。早いな、おい」
動きを捉えるのも一苦労という状況の中で、ナハティガルは苦戦を強いられていた。神霊騎ヴァルキュリアの影はエルローズとセシリアの二人によって取り押さえることに成功したようだが、問題はアレックスの影である。
常に全力で動き続ける影の動きはとらえどころがなく、ナハティガルでも捕らえようと思えば一苦労する相手だ。
それに加えて、影の形勢が振りとみるやいなや、館の中から黒甲冑に身を包んだ騎士達がぞろぞろと現れて彼やシータの邪魔をする。
「黒尽くめの黒騎士かよ。くそ、いけすかねえ恰好しやがって。黒なのが気に入らねぇ!」
ナハティガルが自らの邪剣を振り上げて一息になぎ払う。その剣風で黒騎士の数人は殺害したかと思ったが、彼らはそれをやすやすと防いでナハティガルに向かっくる。
「練度も申し分なしか。面白い」
紫電を自らの腕に纏いながらナハティガルが牙を剥く。
まさに一瞬だった。黒騎士の首を一つ取ったナハティガルは、ロを開いてその頭を噛み砕き丸呑みにする。
「うめえ、やっばり食うなら人間だな。丁度腹が減ってたところだ。喰ってやるぜ。貴様等全員な!」
漆黒の翼が開かれる。
予定通りに『ウィンド・オブ・スターシア』の第2回リアクションが到着。
軽く目を通しただけで1ページにつき2~3個の誤字を発見できるほど相変わらず誤字が多いですが、しっかり〆切を守っているのはなかなか評価ができるところ。一瞬、「1日やるからきちんと誤字を直してくれ」と思ったりもしたのですが、一度遅れてしまうと、後はずるずると延びていきそうな気がしますので、ここはやはり〆切重視でお願いしたいと思います。
さて、アクションの方ですが、一応根幹部分は採用されましてそれなりに格好良く描写もされたのですが、正直なところ、いてもいなくても物語の流れには大して変化がない役どころ。元々、今回のアクションはキャラクターの役割や特性を確定させることを目的としていましたので、そういう意味では成功なのですが、出番や判定がプレイヤーの思惑を一歩も超えなかったという意味ではかなり負け気味です。
なお、今回のアクション判定やリアクションを読んでわかったのは、担当マスター(テラー)が「一人一行動」をかなり厳密に適用しているということです。「あれもこれも」などとフォローの手を広げることなどはせずに、一点突破のアクションを貫き通すことこそが肝心と見ました。早速明日、じっくり考えたいと思います(←伏線)。
半日は8時30分から20時まで県議会議員選挙の期日前投票事務。
ということで、11時間半を通して202人しか来ず、1票当たり約500円の人件費が掛かることになった投票所の赤裸々な真実を皆様にお伝えしようかと思ったのですが、実は現在、「選挙事務」で検索すると20番目辺りに当サイトが表示されるという恐るべき事態となっているものですから、「連続5回の朝夕日記更新」と「第3回アクション」というヒントのみを記載し、後は読者諸氏の想像にお任せしようと思います。
明日は、『ウィンド・オブ・スターシア』のアクション締切日です。
現在、私が参加しているリアクションには、キャラクターの影を奪うNPCが登場しています。その能力を纏めますと、
最初からクライマックスで戦闘を行う。
というところ。
この「影を奪う」という能力はマニュアルにも書かれていない特殊能力ですので、その対処方法はリアクションの内容からのみ探っていく必要があるのですが、「影を奪われた者は陰影がないのっぺりとした顔になっているんだろうか?」とか、「影がないってことは、光が全部素通りしているってことだろ? けど、光を反射しなきゃ姿が見えなくなる筈だから、影を奪われた者の周辺では光量が2倍になっているということか? うーむ、分からん。ますますもって分からなくなってしまったぞアルベルト……
」なんてことをリアクションを読んだ時点で考えてしまい、この辺りのことを解決しないことにはどうも気分がよろしくありません。いや、ひょっとしますと、この矛盾こそが謎を解く鍵なのかもしれませんよ奥様。
という訳で、影を奪われた者周辺の光の流れを調査・分析する行動を取ることにしたのですが、「マスターは絶対そんなことまで考えていない」に100カノッサ。と言いますかそれ以前の問題として、今回のゲームはキャラクターは感情優先で行動させようと思っていたのに、第3回にして早くも脱線気味となっていまして、『英雄×勇者×救世主』や『東奉幻獣記』での教訓が全く活かされていない訳ですが、
ということで。
ずっと疑問に思っていたことがある。
なぜ、肉体などというものが存在するのか?
ただ、この世と精神を繋ぐだけの接点に過ぎないのに。
肉体が存在する限り、人々は多くの苦しみを味わう。
精神のみの方が、人々は安らかに存在できるのに……。
そう。これは、『死』ではないのだ。存在するために『存在する』。それが。究極の理想だ。
さあ、来たれ。そして行こう。我が子羊達……
「いやな夢を見てしまいました」
シータは、ベッドの上で身を起こした。
まだ夜明け前。辺りは不気味なほど静まり返っている。
(今の声、誰だったのでしょうか?)
変な夢を見たせいだろうか? 胸騒ぎがする。
理屈では説明できない、異変。こういう勘は、当たるのだ。しかも、悪い方に。
早朝から迷惑かと思ったが、シータは、聖騎士団を叩き起こして回った。皆悲鳴をあげたり、敵襲かと飛び起きたり、寝ぼけてシータに襲い掛かったりと反応はさまざまだったが、十分もすればみな身支度を整える。
「あなたの勘はあたりますからね」
聖騎士団の突撃隊長エレノア・アストライアは、素早く身支度して、シータに従った。
宿の外に出て、シータは確信した。街の音が全く無いのだ。人ひとりいる気配すらない。
「早朝だからってわけじゃなさそうね」
エルローズも訝しげな表情を作る。
「でもさ。今日ってお祭りの日じゃなかったでしたっけ? 皆、そちらの方に行ってるんじゃないですか?」
セシリアが思い出したように言う。
そういえば。『大聖祭』というエヴァワンズの祭りが行われるらしいという話は、以前聞いていた。忙しすぎて、忘れていたが。
だが、本当にそうだろうか?
異変を感じ取ったのは、シータだけではなかったらしい。聖騎士団全員で大聖祭が行われるという会場へ直行する。建物は、沈黙していた。ゴクリと誰かの喉が鳴る。
全員で顔を見合わせて。観音開きの扉を押し開ける。
そこには。
「見てはいけません」
シータは、中を覗き込んで首を振った。
そこにあったのは、おびただしい量の人間の山だった。
顔は全て土気色。死んでいるのか?
もしそうだとすれば、これは……と思考がいたったでセシリアが悲鳴を上げる。
「この星から生体反応のほとんどが消えています。結果から言えば、死体の山です」
シータは、淡々と報告する。
全員が、硬直した。視線のやり場に困って空を見上げた。そして、更に驚かされる。
空には巨大な影の月が浮かび、聖騎士団は目を見開く。
暫く。時間が止まっていたように思えた。
だが、聞き覚えのある声に、皆、現実に引き戻される。
「見たか。我らの野望を」
「ソーサーさん!」
シータが叫ぶ。ソーサーは、ご機嫌だった。
「あまりの素晴らしさに、言葉も出ないか? シャドウルナ、俺達が演出する最高傑作の雛形だ」
「皆は、街の人達は、どうなったのですか!」
シータの質問に、ソーサーは、詩でも読むかのように。
「お前は、肉体など不要だと思ったことは無いか? 精神のみでの存在こそが、尊いのだと」
ソーサーは、語る。
影を奪い、意識を影の中に封印して身体を無用の物とするシャドウルナ作戦。
ここの住人は死んでおらず、むしろ死んだことにすら気づかず、永遠にあのシャドウルナで生活を続けるのだ、と。大言壮語を吐いた後で、ソーサーはにやりと笑う。
「勿論連中をだます為の嘘だ。やつらはあっさりとだまされたよ。我々が欲しいのは身体の方でね」
「貴樣……」
聖騎士の誰かが神霊騎を抜く。
「まったく、すこし手を差し伸べれば入れ食いのように食いついてくる。……馬鹿な連中だよ。人間は」
その言葉に、場に居る全員が吼えた。
「はははっ、君はサイコーだよ。ソーサー!」
まず真っ先に飛び出したのは、アディラウトだ。
「鴨がネギというか、ぶっ殺しの大義名分をしょってやってくるなんてね!」
ソーサーは喜々として攻撃を仕掛けてくるアディラウトを、淡々といつも通りに迎え撃つ。
「あのオニーサン、相変わらず物騒かつ短気デスね」
アディラウトを見て笑ったのは、イージスのナルピル・ローズリップだ。
「ああやって、一人だけ飛び出して、影を盗まれるといいデス。私は、対策を立ててありますかラ」
ナルピルも、最初から全力だ。ソーサーに向け、二丁銃で足を狙って攻撃を始める。
「ところが、そうもいかんのよ」
戦いに乱入してきたのは、カイル・ベルガーだった。
「さっきは不完全燃焼だったからな。今度は、とことんやらせてもらうぜ」
『影』を操るイヴルスターの参戦に、聖騎士団も色めき立った。黒騎士や、その他のイヴルスター達もなだれ込んでくる。まず、攻撃の日火を切ったのは、シータだ。続いて、他の聖騎士たちも、応戦する。そんな中、いつもなら真っ先に突撃するはずの、エレノアが、じっとソーサーの様子をうかがっている。エレノアは、星座能力である『運命の輪(エンゲージ)』によって、ソーサーとつながり、その記憶を読み取ろうというのだ。強引なエンゲージを成立させるためには、相手を抵抗不能の状態に置く必要がある。そのタイミングを見計らっているのだ。
戦いは終わっていた。
ソーサーは敗れ、カイルは気付けば姿を消していた。
一応は勝利という形になりはしたが、結果サードルナの人々は全て命を奪われ、挙句魂は上空のシャドウルナに取り込まれたままである。
「ソーサーが、『次の身体が……』とか、捨て台詞を吐かなかったことが気になるわ」
エルローズの言葉にアレックスはうつむき、領く。
英雄になったつもりで寝こけている間に全ての命を奪い取られたことが応えているようだ。
その中で、ゆるりと現れる影が一つ。
「やれやれ……このようなことになるのならば、やはり私が殺しておけばよかったか」
「……! きさまぁ!」
言ってよい冗談と悪い冗談がある。
アレックスは、怒りのあまり、ゾーティースに斬りかかろうとした。セシリアとエルローズが取り押さえた。
「冷静になれよアレックス。お前の悪い癖だ」
「余計な世話だ! その首を切り落としてやろうか!」
「やめなさいアレックス! それでも団長?」
エルローズが厳しくたしなめるとアレックスは唇を噛んで怒りを抑える。さすがに同期の彼女にたしなめられてはごり押しも出来ないようだ。
今日に限って、ゾーティースはやたらと説教くさい。
趣味の人間狩りを邪魔された腹いせかもしれない。
「まあいい。君たちは、王星へ帰るのだろう? 私の自星舟で送ってやろう」
「奪った船を使うさ。神霊騎を乗り物代わりにするのはご法度だからな」
「私掠船を? 『クリシュナの瞳』の突破方法があるのならば教えて欲しいものだがね」
笑うゾーティースに、麗人は眉を顰める。
「それでもいらぬ世話だ! 私は『影』にされた人達を助けなければならない。聖騎士として、フォーリナーとして。あのシャドウルナを砕いて魂を救済するまでは、私を聖騎士を名乗ることなどできはしない!」
強情なやつだ、とゾーティースはため息をつく。
「シャドウルナを砕くには、神霊騎やアームズ(女神の武器)などの特殊な力を使うしかありません。他の方々には任せられませんよ」
シータが付け加えるように一言言った。
『ウィンド・オブ・スターシア』の第3回リアクションが到着。
前回のアクションはプレイヤーがひとり歩きしてしまったため、没となっている可能性が高いのですが、さて、どのように扱われているでしょうか……と読み始めましたら、なにやらアクションに書いていないことをやっています。アクションが上手く嵌り、物語上の立場を得ることができたのでしょうか。
(通読中)
……完璧です。
パーフェクトです。
パーフェクトな没です。なにしろアクションに書いたことが一文字たりとも採用されていません。「NPCが影を奪う仕組みを調査・研究する」というアクションに対して望む成果が得られないことは想定していましたが、よもや調査行為そのものが却下されるとは。これは、NPCの「影を奪う」という能力は、世界法則として所与のものであることを示していると思われます。謂わば、波動砲に対抗するために波動エネルギーの原理を調べるようなもので、マスターにしてみれば「波動エネルギーの原理? そんなん知るか。あるものはあるんだよ。そんなこと突っ込むなよ!」ということなのでしょう。納得いかねー。
さて。
アクションは完璧な没なのに出番は何故か前回より多いという不思議な状況なのですが、それはさておき問題は次回の行動です。実は今回、私のキャラクターに対して投げ掛けられているNPCの台詞が、上手い具合にキャラクター設定を突くものとなっているのです。果たしてこの引きに乗るべきか乗らざるべきか。問題なのは、「そのキャラクター設定が今までリアクション上で全く言及されていない死に設定である」ということと、「その引きに乗った場合、現在所属している組織を敵に回して戦うことになる」ということでありましょうか。
――というところで、全然引きじゃないような気がしてきた須賀和良です。ごきげんよう。
「でも、ここの住人は、もう完全に身体と魂が分離されてしまっている。もう、僕たちみたいに途中で目覚めることは無いんだ……」
リオリート・フォン・ユークロニアは、踊り狂ったり、笑ったりしているシャドウルナの住人を眺めながら、目を伏せる。彼は、夢から醒めた後、彼なりの方法で、住人達を目覚めさせてみようとした。だが、彼らが夢の世界から抜け出す事は永遠に無い。
「せめて、安らかに昇天させてあげるのが、私達の勤めです」
フィデース・ジャソンが、静かに言う。
「本来なら、安易に肉体を捨ててしまったような人々に、同情の余地は無いと言いたい所ですが」
彼らの頭上には、青白い光を放つ球状の光源が瞬いている。色合いは綺麗だが、褐々しい波動が湧き出ているのは、すぐにわかった。
「あれが中心核か……あれを破壊すれば終わりだろう。シャドウルナは、崩壊し、住人は、浄化する……」
アレックスは、神霊騎を展開させる。
「私が、責任を持って破壊しよう。何が起こるかわからないからな」
が……。アレックスの神霊騎が放った浄化の力は、途中で遮られてしまった。
「待ってください」
サイバネスのシータが、間に割って入る。
「シャドウルナを破壊したとして、死者が生き返るのですか?」
「わからん。だが、その望みは無いと考えた方がいいだろうな」
アレックスは、淡々と答える。
「では、彼らの魂は解放されますか?」
「それもわからんさ。だが、天に召されすらしないかもしれない」
「では、シャドウルナの破壊を中止してください」
「……?」
「ただ、魂や記憶を粉々に砕くだけの結果に終わるのでしたら、やめてください。彼らは、アースでは生存していないかもしれません。ですが、この中では、『生きて』いるのです」
住人達が、初めて聖騎士達の方を向く。『生きている』という言葉に反応するように、口々に話し出した。目を輝かせ、こちらに迫ってくる。
「そうだ。我々は、生きている……。異分子は、帰れ」
「帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ」
あっという間に、暴動になり、もみ合いになる。住人は、夢の世界で生きている。自分達が一番強いと思えば、それが叶うのだ。ただ、今の天国を味わい続けるためだけに、彼らは、最強状態で襲い掛かってくる。まさか、反撃を食らうと思っていなかった聖騎士団のメンバーは、戸惑う。彼らは普通の民衆なのだ。
「あのね。僕も愚かだよ」
リオリートは、クスリと笑う。
「僕も弱い。僕もよく騙される。僕も欲しい物がたくさんある。僕も皆と同じ。だから、僕も皆の気持ちがよくわかる。だから、救いたい」
「俺もたった今、ライブで騙されそうになった」
これは、ヴァルダーだ。
「あんな日が続けばいいと一瞬たりとも思わなかったと言うと、嘘になる。だが、少しわかった気がする。ありのままで十分なのだと。それが一番大切なのだと……。だから、シャドウルナ、砕かせてもらう」
シータは、その様子を黙って見つめている。
「なんという事だ。あまりにもまともすぎて、俺の言う台詞がなくなってしまった……」
マスク・ド・ライダー・ザリガは、必殺技を放つため高いところに立ったまま、憮然とした表情で言う。
「だが、俺は、俺なりの正義を貫かせてもらおう。安らかに眠れ」
聖騎士団達の声は、鎮魂歌のように響く。もう、怨嗟と悲しい空騒ぎは聞こえない。
アレックス達全員は、それぞれの神霊騎を装着する。
後は、シャドウルナの中心、あの青白い光源を破壊すればいい。
「死んでいるのは知っていた」
最期に。住人の誰かが言う。
「言われなくても知っていた。どれほどの夢を見ようとも、自分達はもう死んでいるのだと。認めたくなかったのだ。永遠の世界は決してない。自分達の都合のいい世界などないのだと。それを認めたくなかった……」
ザリガが、光源を砕くために、回転を加えつつねじれながら蹴りを放つ。
「ザリガ、キィィィィック!」
その声と共に、アレックス達は、神霊騎で光源に攻撃を加える。拍子抜けするほどあっけなく。それは砕けた。
「だから……」
崩れ始めるシャドウルナの中で、わずかに住人の声が聞こえてきた。
「だから、嬉しかった。生きていると言ってもらった時は、嬉しかった。最期にありがとう、シータさん」
シータは、黒い闇と共に魂が浄化される様を見つめていた。小さく呟く。
「ごきげんよう。貴方達に、幸多からんことを……」
私も、程なくそちらに参りますから……。その、彼女の声は、聞こえなかった。
シャドウアースは、シャドウルナとは違い、とんでもない広さだった。構造は、同じようなものなのだろうが、とにかく中にいる人数が違う。そして、それぞれが抱き、思い描いている願望や夢の数が半端でない分、得体も知れないほど奥深い。
「もう、見ちゃいられないよ、早く、核を破壊して、皆を解放してしまおう」
聖騎士のマコト・アイヴィーが促す。彼女は、ソーサーの追跡を切り上げてこちらに合流していた。彼女は、あの笑顔の司祭とソーサーが出会っているのを目撃していた。それをアレックスに伝える。
「シャドウアースは、ソーサーの単独犯じゃない。ジャッジメントの計画の一部なんだ」
「どこまで人を弄べば気が済むんだ、あいつらは!」
アレックスは、慣然とする。
「アレックス様、落ち着いて、落ち着いて……」
麗人を抑えるのは、同じくアレックスの近侍、ウェアビーストの聖騎士ライカ・ブロウィンだ。
彼女は、先日のアレックスが襲撃された事件以来、神経を張り詰めっぱなしだ。アレックスは、多くを考え多くを導かなければならない存在だ。それだけに、隙が出来やすい。ライカとしては、そんな麗人の目となり耳となり、守り抜く必要があった。
だが、それ以前に、悩み多き麗人の心の支えにもなりたいと思っていた。だから、微笑む。
「怒るのは、僕に任せておいてください。アレックス様は、皆のために……」
ライカの言葉に、アレックスは呼吸を整える。
「そうだな、まず、人々を取り込んでいる、シャドウアースの核を探す必要があるが……」
「ところが、そうはいかないのです」
サイバネスの聖騎士シータが、アレックスの前に出る。
「シャドウルナの時には、言い出すのが直前だったのでうやむやの内に結局破壊されてしまいましたが」
「どうしたというのだ、シータ?」
「もう、最初から言っておきます。シャドウアースは、破壊させません。私の身に代えても」
「でも、多くの人たちが、無益に死んで精神となってさ迷っている、こんな馬鹿げた世界、破壊しないと」
と、これは、マコトだ。だが、シータは頑なだった。
「馬鹿げた世界でも、住んでいる人たちにとっては全てなのです。貴方達は、もし、団長が魂となってここに閉じ込められたら、同じように破壊できますか?」
「でも、生き返るなんて、そんな……」
セシリアは、困ったように言う。アレックスは考えている。じっと、どうすべきか悩んでいるようだった。
マコトは、ため息とともに言う。
「はっきり言ってね、シータ。僕は、自業自得だと思うよ。ここの住人、ダメだ」
「私には、影にされた人達が、魂を消されなければならないような罪を犯したとは思えません」
シータの考えに領く騎士もいるようだった。意見が二つに別れてしまう。せっかくシャドウアースに来たのに。入りロの所で早くも前に進まない。
現に聖騎士団のメンバーは、シャドウアースを守る側と開放する側に分かれて、睨み合いを始めてしまう。
「どうすればいいと言うんだ……」
アレックスは、苦悩の種は尽きない……。
密かに『ウィンド・オブ・スターシア』の第5回リアクションが到着しています。
実は前々回、シナリオの流れに逆らって「他のPCさん方の破壊活動を止める」というアクションを掛けましたところ、1回目の攻撃は確かに止めたものの、その後は特に会話戦闘も行われず、他のPCさん方の主張に納得するという描写もないままに破壊活動をボーっと眺める、という結果に終わってしまい、
「マスター弱っ」
「せっかくマスターの引きに乗ったのに、その扱いはないだろー!?」
と勝手なことを思い、日記に一言も書かなかったりした訳ですが、その後、別の対象に破壊活動が継続されることになりましたので、今度はちょっと強めに「命を賭して守る」とアクションに記載。結果、どう考えても現在提示されている情報の中では積極的に破壊活動を行わなければならない理由が見つからないこともあってか、今回は私のキャラクターの考えに賛同するNPC(モブ)も出てきまして、騎士団が二つに分かれて睨み合うという事態に突入しました。この状況を打破するためには、重要NPC(騎士団長)がその考えをきちんと語るか、破壊活動を正当化する新たな情報が開示されなければならないでしょう。
というところで、騎士団長が取った行動は、
と言って、何もせずに帰っていくというもの。
マスター弱っ。
ふと気が付きますと、明日が『ウィンド・オブ・スターシア』のアクション締切日です。リアクション到着からアクション締切まで5日以上あるのは3か月ぶりのことですが、アクション相談など1文字たりともやっていない現在の私にはあまり関係がなかったり。
さて、アクションの内容ですが、前回「どうすればいいんだ……」
と言って破壊活動をやめて帰ってしまった騎士団長が再びやってくる可能性がありますので、再度、対象を守ることにしました。問題があるとしますと、積極的に破壊する理由が見つからないモノのことなんか気にしていられない程の世界の危機が迫っているため、他のPCさんが誰も絡んでくれず、行殺される可能性が高いということですが、そこはわざわざ独立したガイドポストを用意したマスターの良心を信じたいと思います。
それと。
プレイングマニュアル(ルール)の外にある能力を持っている対象に、リアクションで言及されていること以上の能力を発揮させようとしていたりするものですから、想定外の事態に対するマスターの処理能力を試すような内容になりつつあるのですが、「これこそがPBMのダイナミズム!」と勝手に納得し、現在の状況を楽しもうと考えている須賀和良です。ごきげんよう。
永遠に幸福が続き、人々はその幸福の中で繰り返される時間を永遠に堪能し続ける。肉体を失い、自らが滅びていることにすら気づかず、影の存在となってその理想郷を堪能し続ける。
生き別れた兄が目の前にいる。戦乱で死んだ妻が目の前にいる。失い、途方にくれて。朝の光に目を覚ませばまっさきに、全てが夢であったと信じて捜し求めたあの愛しい人が目の前に。
飢えもない。朝、起きれば死んだはずの母が居て、テーブルの上には暖かいパンとスープが置かれている。
薄汚れた道端で財布をかすめとってはその日のパンを手に入れる必要もない。
寒さもない。無駄飯ぐらいと自分を道端に捨てたはずの息子家族がとても暖かく自分をいたわってくれる。毛布も服もあり、残り少ない人生を穏やかに送ることができる。その影の世界に苦痛は何もなく、人々は永遠にその中をたゆとうて喜び続ける。
……理想郷を否定することが、お前にはできるのか?
アースの遥か上空、星海の中で月の剣は真っ二つに別れ対峙していた。
聖騎士シータと聖騎士ライカ・ブロウィンの二人である。
「彼らはいま、眠り続けています。幸せな夢を見ながら眠り続けている魂を、砕く権利が一体誰にあるのですか」
戦友として共に戦い続けてきた、あの穏やかなシータが断固としてアースの前に立ちふさがる姿は、おなじ聖騎士団に属するライカにとって始めての光景だった。
「ないよ、ないのは分かってる。けれど、これはあってはけない形なんだ!」
互いの神霊騎、巨人が激しくぶつかり合う。すくなくとも、互いの主張に対し、互いの神霊騎は聖騎士にふさわしくないと判断しなかったようだ。
要するに、この命題に対して正しい答えは存在しない。
「生まれて、死んで、辛いことも、悲しいこともあって。それから全部逃げて、夢の中に逃避するのは間違ってるだろ! 幸せっていうのは生きて、掴み取る命の尊厳なんだ。命の輪から外れて逃げ続けるなんて不自然だよ!」
「確かに不自然かもしれません。しかしそれを正す方法を模索もせずに砕こうとするそのやり方が間違っていると私は言っているのです」
互いに武器を、盾をぶつけあって一歩も譲りはしない。
皮肉にも矛盾という言葉を体現する戦いには終わりもなければ救いもなく。
「それがお前達の底、というわけか」
星海の中に声が響く。小型の星舟に乗ったイヴルスター、ナハティガル・ハーレイがぶつかり合う二つの神霊騎を眺め声を上げたのだ。
「どこの世界でも人間ってやつは行動原理が同じらしいな。自らの行動を正当化するのに細かい理屈が必要らしい。本当に、馬鹿な連中だ」
「なんだって!」
ライカがくってかかったように声を上げれば、ナハティガルは言う。
「俺はあのシャドウアースを砕く。なぜなら砕きたいからだ。あれを砕けば傷つくやつがいるからな。正しいか、正しくないかは問題じゃない。なぜなら」
肩をすくめ、ナハティガルは言う。
「俺を否定する奴は全て切り捨てるからな」
それが悪魔の弱肉強食原理だと、ナハティガルは言う。
自らの欲望を行動原理に据え、異論があるならば力で決着をつける。それが本来の自然界の摂理。
「異論があるならかかって来い。聖騎士。俺はそのアースを砕いてやる」
「いけない!」
ライカの攻撃を受け流しながらシータが声を上げる。
二つの攻撃を並列して防ぐ手立ては彼女にはない。
ナハティガルが何を思ってこの行動におよぶのか、それは本人にしか分からないが……。
彼はシャドウアースに接近し続ける。
白銀の剣から黄金の光がこぼれ、美しい戦乙女が星海に浮かぶ光景に、誰もが目を奪われた。
光り輝く巨人が星海の上に降り立つ。
美しく装飾された甲冑に、開かれた大いなる白銀の翼。
きらびやかに輝く長い髪に額を飾るは優美なる羽飾り。
殺戮伯爵は言った。この世には、美しさを美しい、以上に現す言葉が存在しないと。
星海に出た船のうえからその光景を見ていたルシフェルは得心言ったように領く。
一方、シャドウアースでは影ではない、本物の神霊騎ヴァルキュリアの姿を眺めて、ナハティガルが感心したように目を細めた。
「へたれてた嬢らしくもない。随分とすがすがしく登場するじゃねえか。ん?」
『復帰が遅れてすまない。聖騎士団「月の剣」はこれより作戦行動を開始する』
全ての神霊騎に向けて、神霊騎ヴァルキュリアから麗人の声が発せられる。
その声は共鳴するように神霊騎を媒体に各地の聖騎士達に、そしてその周囲に居る者たちに伝えられる。
「団長、シャドウアースは!」
シータの問いかけに麗人が答える。
『……今はどうすることもできない。なぜなら、彼らを救う手立てを私は知らないからだ』
その返答にシータの表情が穏やかな笑みに変わる。
今は何もできないという言葉は、何かが出来るまで努力を重ねるという言葉の表明でもあるからだ。
アレックスはこのシャドウアースを、夢に沈む人々を、まだ諦めていない。
その言葉にライカも自らの剣を引く。
「もういいの?」
「ボクはアレックス様にどこまでもついていく。シャドウルナを砕いたとき、とても悲しかったから……アレックス様がこのシャドウアースの人達を諦めないといったのが、ボクは少しだけ、嬉しいよ」
『ウィンド・オブ・スターシア』の第6回リアクションが到着しました。リアクションの発送予定日は昨日ですので、今回は1日も遅延することなく発送されたことになります。第2回以降遅延しっぱなしで、第3~4回は〆切延長まで行われたのですが、よくぞここまで持ち直したものです……と思いつつ、中身がものすげーやっつけ仕事だったらどーしよー、などとも思ったりした須賀和良です。ごきげんよう。
さて、前回のアクションは「私のPCが守ろうとしている対象に他のPCが誰も絡まないのではないか?」「対象から引き出そうとしている能力がマスターの許容範囲を超えているのではないか?」と、二重の意味で不安が残るものだったのですが、まず1点目については、なんと2名の方が絡んでくれたことによりクリア。私のアクションは「防衛」がメインですので、「攻撃」に回ってくれる方がいないと全く無意味なものになってしまうのです……と言うか、私のキャラクターも含めて3名しか絡んでいない時点で完全に本筋から外れてしまっている訳でして、これからいったいどうしたものでしょうか?
という問題を払拭するための行動こそが、実は2点目に関わってくるもの。凄く凄い能力を持っているような気がしないでもないような対象を守るだけでは物語に発展性がありませんので、「私とひとつになりたくない? 心も身体もひとつになりたくない?」
と同化することにより、本筋で好き勝手絶頂に暴れ回っている脅威に対抗する力を引き出そうとしたのです。
駄菓子菓子。
失敗する以前に「対象と同化する/同期を取る」という行動自体が没になってしまいまして、今回は力を引き出すところまでは状況を進めることができませんでした。力を引き出すことについて如何にマスターが納得できるような手段を提示できるかが、次回までの宿題と言えましょう。
と思ったら、次回のガイドポストから「対象に関わる」という選択肢が抹消されているという罠。
「シャドウアースの人々は、こちらの世界に蘇る」
その報告を最も喜んだのは、他ならぬアレックスだ。
あの後……。どうにかしてようやく戻ってきたセシリアを、アレックスは歓喜のあまり抱きしめる。
「すごい……。セシリア、名探偵……?」
「まぐれです。あくまで偶然の産物です。次にやれといわれても、無理です」
それに……。セシリアは、俯く。
「自分で言い出したことなのに、ダークの調査のほうは、さっばりで」
「構わないさ。ダークの駆逐は、ほぼ成功した」
アレックスの言葉通り、新王星の大地を腐食していたダークは、ほとんど姿を消していた。
星は、再び、その豊かで美しい姿を取り戻している。
「悪いことばかりではないということさ」
アレックスは言う。
「私に、何かできることはありますか?」
黙って話を聞いていた、サイバネスの聖騎士、シータが、静かにきく。シャドウアースの件では、アレックスと対立はしたが、本来、大人しい女性だ。アレックスは、シータの両手を嫡しそうに掴んだ。
「聞いた通りだ。ソーサーが甦れば、シャドウアースの人々は、こちらの世界に生まれ変わる。新たな生命として。これなら、文句ないだろ?」
「もとより、文句などありません。ですが」
シータは、告げる。
「その、ソーサーの生みの親、ゾーティースは、現在行方不明です。彼とシンクロし、深層を探っていたのですが。完全に交信が途切れました」
「な、なんてこった……」
ガックリするアレックス。シータは微笑む。
「自分たちで作ってみては? ソーサーを。完成設計図なら、ゾーティースを探っているときに、手に入れましたよ……。要は、機械は使い方次第なのです」
密かに先週届いていた『ウィンド・オブ・スターシア』の第7回リアクション。
前回、第4~6回に関わっていた「騎士団がシャドウアースに囚われている数億人の魂を消滅させようとしてるんだけどそれってどうよ事件」が一段落付くとともに、ガイドポストから「シャドウアースに関わる」が消えてしまったため、「やることがねー。ちょうど料金も切れたことだし、ここで撤退しようかなー」などと考えていたのですが、ふと新たな卓袱台返しを思い付いてしまいましたので、締切翌日に速達で投函しましたところ、今回、「とっくに締切過ぎてんぞ? 今回は大目に見てやっけど、次回からはきちんと出せよ、ああん?」
というお知らせを頂いてしまい、「だったら、アクションを出したくなるようなストーリーを作らんかい」と逆ギレした須賀和良です。ごきげんよう。
さて、思い付いた卓袱台返しは見事に没になったのですがそれはさておき、今回、「シャドウアースに囚われている魂を転生させる方法」などというものが何の前触れもなく突然提示されました。私のキャラクターが強硬に反対しなければシャドウアースは確実に破壊されていた筈ですので、「実は生き返らせることができたんだよ~」という情報を後々提示して、キャラクターとプレイヤーに、
「僕は……取り返しの付かないことをしてしまった……」
「それにしても今回も……ミョーに後味の悪い事件(ヤマ)だったぜ……」
と嫌な思いをさせる……などといった悪趣味なことをマスターがする筈がないことを考えますと、これは完全に後付の設定でしょう。
それにしても、何故このような新情報を提示してきたのでしょうか。今回、「シャドウアースの核を破壊し、マイクロブラックホールを発生させて、敵を飲み込ませる」
といったアクションを掛けた人がいたことが少なからず影響しているのではないかと思われるのですが……って、あなた、私のキャラクターが前回までしてきたことを凄い勢いで無にしようとしていることに気付いていますかマドモアゼル?
明日は『ウィンド・オブ・スターシア』のアクション締切日。
前回、久方ぶりに遅延せずにリアクションが届き、「なんだ!! やればできる子だったのじゃあないか」
と思ったのも束の間、今回は約1週間の遅延となり、締切も3日程延びることになったわけですが、それはさておき。
私がPBMの参加に当たって毎回立てている目標の1つに「私のキャラクターがいた為にこういう展開になった、と言えるようなことを残す」というものがあるのですが、今回、シャドウアースに関して後付設定新たな展開が発生しましたので、なんとなく目標達成。あとはこのまま物語の流れに乗っていけばOK……と言いたいところですが、魂の転生となりますと、現在の記憶や意識は失われ、死ぬのと何ら変わらない結果になる可能性がありますので、この辺りはきちんと確認しておかねばならないでしょう。
と思うわけですが。
「ソーサーが甦れば、シャドウアースの人々は、こちらの世界に生まれ変わる。新たな生命として。これなら、文句ないだろ?」
「もとより、文句などありません」
文句がないことにされていますよ!?Σ(゚Д゚; というか、「もとより」
ってどういうこと? お願いだからキャラクターに勝手なこと喋らせないでー!
と、普段、「キャラクターをもっと勝手に動かしてくれ」と思っているプレイヤーが勝手なことを思った次第。
「目標ハ、現在西へ逃走中。至急、配備ニ就カレタシ」
ソーサーは、再びかつての活動を始めた。その捜査活動に、衛星状態のラッドまでもが狩り出される。
アレックスは、即座にソーサーの捕獲に乗り出した。
この期に及んでソーサーと戦って負けるとは思っていない。それ位、全員が成長していた。
事実、その通りだった。ソーサーは、激しい攻撃を仕掛けてきたものの、あっさりと捕まった。すると、今度はふて腐れてダンマリを決め込んでしまう。
「アレックスさん。シャドウアースの解放、少し延期できませんか? 実験しておきたいことがあるのです」
ちょうどよかったとばかりに提案してきたのは、サイバネスの聖騎士、シータだ。彼女は、シャドウアースの人々を大切に思っていた。だからこそ、確実を期したい。
「計画が成功したとして、彼らの記憶や思いはどうなるのか? 戻ってきたくない人々をどうするのか? 私の身体を使って、実験試行し、答えを出してください」
「ちょっと待て、シータ。だがそれでは、お前は、その身体を失うことになるかもしれない」
アレックスは、焦って止めようとする。だが、シータは静かに微笑んだ。
「大丈夫です。私、間もなく滅びる運命なのですから」
「なあ、本当にいいのか? 理論上は間違いないが、どうなってもしらんぞ?」
ソーサーは警告する。
カイルがシャドウアースの核を取り込もうとしている頃、シータもこのシャドウアースに実験にやってきていた。彼女の身体は、すでに地上に置いてきている。つまり、ソーサーの能力で影を奪われた後だ。
シータは、シャドウアースでも映る自分の影を見た。
「問題はありません、ソーサーさん。もし失敗に終わっても、文句は言いませんよ」
ソーサーは、単純作業をこなすように、シータの影を刈り取った。シータの姿がフツリと消える。
「ぐああああっっ!」
カイルは、叫び声をあげた。
魂が削り取られるような激しい苦痛。シャドウアースの核から、力が流れ出していく。その黒い濁流は、砂粒のような星屑を降らせながら、地上へ舞い降りていく。
(や、やべえ! これは、魂を持っていかれる。死ぬ)
カイルは、ほうほうの態で核から転がり出る。
「誰かが、管理人としてここに残ってくれれば助かるんだがな。シータはそう言ってたぞ」
ソーサーは、催促をこめたロ調でカイルに言う。
「知るか。勝手にやってろ」
カイルは身を翻す。ソーサーはその姿を見つめていた。
『ウィンド・オブ・スターシア』の第8回リアクションが未着受付日を6日過ぎて到着したのですが、アクション〆切が来週火曜日ということもあってか1日たりとも〆切が延長されておらず、なんとなく納得いかない須賀和良です。ごきげんよう……と言いつつ、このゲームに関しては情報収集も集団行動も行っておりませんので、〆切が2~3日延長したところで私的には殆ど影響はないというの真実だったりしますが、それはさておき。
前回、シャドウアースに囚われている魂を転生させる方法が新たに示されましたが、その確証が得られていませんでしたので、「自分が実験台となる」というアクションを掛けました。「成功すれば死亡、失敗してもやっぱり死亡する確率が高い」という非常にデッドリーな行動ですが、実は私のキャラクター、ゲーム開始時点で残りの稼働時間が1年という、何処かの貧乳戦闘用アンドロイド家政婦のような設定になっていまして、最終回までに美しく稼働停止になることが密かな目標だったのです。
問題があるとしますと、この設定がリアクション上で明言されていないものですから、それと臭わす発言をすると、少し電波が入ったキャラクターに見えてしまうということなのですが……というところで、今回交わされたのが次の会話。
「ちょっと待て、シータ。だがそれでは、お前は、その身体を失うことになるかもしれない」
「大丈夫です。私、間もなく滅びる運命なのですから」
……すっかり電波キャラクターだよおっかさん。_| ̄|○
ちなみに、アクションの結果ですが、
「なあ、本当にいいのか? 理論上は間違いないが、どうなってもしらんぞ?」
「問題はありません、ソーサーさん。もし失敗に終わっても、文句は言いませんよ」
ソーサーは、単純作業をこなすように、シータの影を刈り取った。シータの姿がフツリと消える。
ということで、実験結果は次回に持ち越しのようです。
「文句は言いませんよ」
とありますが、失敗しても成功しても消滅する可能性が高いですので、文句を言うキャラクター自体が存在しなくなる可能性が高いのですが……などということ以前の問題としまして、結局、私のキャラクターがどのような状態に陥ったのかが母さんさっぱりわからないのですが、次回のアクションはどうすればいいのでしょうか。死亡再登録になるのではないかと考えまして、封筒の中身も確認したのですが、特殊なものは何も入っていません……と言うか、マニュアルにキャラクター死亡時の処理が何も書かれていないのですが、システムとして組み込まれていないということなのですかP.A.S.。
実は今回で月会費の入金が切れるのですが、入金した途端に再登録用紙が送られてきたらどーしよー、と思わないでもない今日この頃です。
P.A.S.から遅延ハガキが届きました。
『ウィンド・オブ・スターシア』関係で遅延ハガキが届いたのは、実は今回が初めてのこと。今回の発送開始日が10月31日で、ハガキの差出日は11月5日となっていますので、5日過ぎた時点で発送することになっているようなのですが、前回、リアクションが届いたのは未着受付日から6日後……発送開始日から13日後のこと。もちろん、その間、遅延ハガキなどは届いていません。
今回のハガキに「11月13日(火)までにお手元に届かない場合は郵便事故の可能性もございますので」
と書かれていることから察するに、どうやら前回までは「いつ発送できるのか、全く目処が付かんかった」という状態だったようです。リアクション発送の目処が立つまでは遅延ハガキを出したりしない――見切り発車で遅延ハガキを出し、その後、何度も遅延ハガキを重ねることになったホビー・データと比べますと、なんとも漢らしい決断と言えるのかもしれません。
ところで。
差出日が11月5日なのに対して表の消印は11月7日になっているのですが、これはアクションに関しても2日くらいの遅刻は許容範囲ということでOKですか?
ソーサーに影を刈られて姿が消えた後、キャラクターが具体的にどのような状態に陥ったのかがわからないため、アクションを考えることができません。
一方、スルタン・カルマの惑星軌道上に位置する、巨大な影星シャドウアース。元アヴェンジャーであるソーサーを仲間に引き入れたイヴルスターのカイル・ベルガーは、このシャドウアースの中へと突入を試みていた。
更に影の身体となってシャドウアースに潜り込むのは聖騎士シータである。彼女は自らの身体を一度放棄し、精神だけの姿となってこの影の星へと潜入を試みた。
このシャドウアースとの接点を持つためには、影と実態をつなぎとめる為の橋渡し役が必要である。
その役目を担えるのは、身体から開放され、シャドウアースに飲み込まれるまでの危うい一時を過ごす精神体のみだ。生きた人間を精神体にするにはその身体を停止に、つまり死に追いやる必要がある。しかしサイバネスならば、電源を停止すれば、理屈では死んだことになり精神体になることができる。
危険な役目を、シータは担った。
橋渡しとなった彼女に導かれ、カイルとソーサーはシャドウアースの中を行く。機械の身体、サイバネスである自分にも、実は精神だけの姿というものは存在するのだな、と少しばかりずれた思考が脳裏をよぎってシータは苦笑する。機械の身体にも心、欲をかいて表現すれば魂というものは存在するらしい。
となれば、彼女と同じくしてシャドウアース中心部へとやってきたソーサーという男も、また魂をもっている、いや、持っていたということになる。
曖昧な表現なのは、このソーサーが一度死んだからだ。
破壊されたと言っても良い。事実、再び設計図通りに作り直した彼は同じ情報、同じ人格を所持してはいるものの、アヴェンジャーとしての呪縛からは開放されている。つまりは全てが同じながら、今のソーサーは元のソーサーとは別物なのだ。百が百とも以前のソーサーと同一であっても、彼をソーサーと呼んでよいものか。などという酷く哲学的な疑問に囚われそうになっている自分に気づき、シータは我に返って状況を振り返った。
シャドウアースの中心部は心のるつぼだ。
全ての精神がないまぜになって様々な思考、思惑が無秩序にとびかっている。思考の濁流のような世界は、触れただけで、弱い心を奪い取ろうとする。触れただけでそれなのだ。渡ろうというなら尚更危険なのは自明の理。
少しでも気がそれれば果てしない思考の渦に飲み込まれるのは間違いない。
「本当に完成された世界だ。仕掛けたのは俺に違いないんだがよ。どいつもこいつも幸せそうじゃないか」
独り言のようにロの中で言葉を弦くソーサーを見て、カイルはまずいと歯噛みする。
「旦那、余計なことは考えるな。ただ前にだけ進め」
その声でソーサーは我に返って首を振った。
自らの所業を再び目の当たりにして、何か思う所があったのかもしれない。とにかく、目指すべくはこの中心だ。そこにたどり着くまでは心の戦いである。以下に自分を保つかが勝負の分かれ目だ。
(だがよ、シャドウアースからコアを抜き取ったとして、その後はどうすりゃいいんだ?)
思考ではない、思考にすら至らない不安が胸を何度も刺激する。しかし今は何かを考えている余裕はないのだ。
難しいことは為し終えてから考える。ひたすらに突き進みながら、カイルはその不安を無視することに努めた。
コアを抜き取ることには、おそらく成功するだろう。
月の麗人アレックスを含める聖騎士団の面々は、シータとカイルの帰りを待ちわびている。
新しい新天地を創る。
アレックスが皆にむけて約束した言葉を果たす為には、まずそこへ住む人々を救わなくてはならない。
アヴェンジャーの暴走は、それを追っている聖騎士団 の面々が必ずや止めてくれるだろう。
崩壊し始めているこのアース、いや、このニルヴァーナの中でアレックスが成し遂げるべきは魂の再生。具体的には、シータとカイルが命がけで取りに行ったシャドウアースのコアを、どうにか再生することである。
「差シ出スべキモノハ自ラノ神霊騎、ソシテ命」
メロディの表情からみて、彼女はアレックスの為に血路を開き、死ぬつもりだ。確かに観測上、穴に向かう航路の間だけでも、中型の星海獣がうようよと闊歩している。そこを強行突破するとなれば、どれだけ少なく被害を見積もっても、神霊騎に乗った聖騎士が一人、死ぬだろう。その覚悟が無ければ道は開けないし、もっと多くが死ぬ。新しい時代の礎になれるなら、喜んでこの命を差し出そうとメロディはラッドに笑った。
果たして何人この戦いに赴き帰ってくるのだろうか、と考えたとき、彼方からシャドウアースの巨大なコアを引きずって帰還する、シータの神霊騎の姿が見える。
コアの摘出に成功したのだ。あとは再生を待つのみ。
「コトハ順次、順調。最後ノ花火ヲ打チ上ゲマショウ」
新天地創造の最後の一戦が始まる。
密かに今週月曜日に届いていた『ウィンド・オブ・スターシア』の第9回リアクション。
私のキャラクターは、前回精神体になったことを利用し、他の人をシャドウアースの中心部までへと誘う水先案内人の役目を果たしました。シャドウアースの中で魂となって眠っている人達を蘇生させる為には、中心部から核を取り出し、創造の星海獣に与えなくてはいけないのですが、実体を持つ人達がシャドウアースの中に入るためには、実体と精神との橋渡し役が必要だったのです。前回のアクションに、
「ソーサーに影を刈られて姿が消えた後、キャラクターが具体的にどのような状態に陥ったのかがわからないため、アクションを考えることができません」
としか書かなかった割には、結構登場させて貰えたと言えるでしょう。
というか、パスポートの「マスター記入欄」に何も書かれていないのですが、前回の放置プレイは完全無視ということなのでしょうか。というか、前回、「影になる→影を刈られて姿が消える」となりましたのに、再び影の状態に戻っているのは、どういうことなのでしょうか。というか、「シャドウアースの人達を蘇生させるには、核を創造の星海獣に与えなくてはならない」という情報が今回初めて提示された訳ですが、前々回、「ソーサーに影を刈り取らせれば、シャドウアースの人達は蘇生する」という情報が提示され、前回、その実証実験を私のキャラクターで行った筈なのですが、その設定は今何処で何をしているのでしょうか。というか、今回、私のキャラクターは最後に影から実体に戻っているのですが、これは創造の星海獣なんかを頼らなくともシャドウアースの人達を蘇生させることができるという事実を示していると捉えてよろしいのでしょうか?
クライマックスを迎え、謎は深まるばかりでございます。責任者出てこい。
本日が最終回のアクション締切日である『ウィンド・オブ・スターシア』。
私が参加しているB2は、「その他大勢の人達の命を救いたいのならば、お前達騎士団は犠牲となって全員死ね」というようなことを言われておりまして、思わず「幸福は犠牲なしに得られないのか? 時代は不幸なしに乗り越えられないのか?」
と問いかけたくなる状態なのですが、今までに登場してきたギミックを用いれば死なずに目的を達成できることにすぐに気付いてしまいまして、取り敢えずその方面で攻めてみようと思ったのですが、次回また全く新たな情報が提示されて今までの流れがうっちゃられたらどうしようと思わないでもない須賀和良です。ごきげんよう。
というか、長いことPBMに参加していながら、日曜日にも消印を押して貰えることを今回初めて知った次第。
「最期に何かを償いたい? どういう心境の変化なのですか、ソーサーさん」
サイバネスの聖騎士シータは、星海獣との戦いを前に、ソーサーに打ち明けられ、目を丸くする。
聖騎士団の一行に同行しつつも、ずっと考え事に耽っていたソーサーは、シータの顔をまじまじと見つめた。
「なあに、みんなを見ていたら堪らなくなっただけだ。オレも最期は、皆の役に立って華々しく散りたい」
「散るって……。無理なさらないほうがいいですよ?」
シータは困った表情をソーサーに向ける。
「手伝っていただれれば、十分だと思いますけど?」
「まあ聞けよ。すげえ案が一つあるんだ」
ソーサーは、自分の考えていた計画をシータに話す。
話を聞き終わったシータは、非常に驚いていた。
「そこで、オレから頼みがある。俺の首にいまだに賞金が掛かっているだろ? この計画が終わったら、それを換金して、新王星の復興に役立てて欲しい」
ソーサーは、ナイフを取り出し、自分の髪を切り取る。
「遺髪だ。今のうちに渡しておく」
「止めても、無駄なんでしょうね?」
表情を曇らせるシータ。ソーサーは笑顔のまま領く。
新王星に銀色の雪が降った。人々は、物珍しげにそれを眺めやる。犬は喜んで庭を駆け回ろうとして、やめた。
大量に降り注ぐ銀色の雪は積もらなかったからだ。
魂の一つ一つが、地上に着くなり再生され蘇る。ある者はかつてのままの姿で。ある者は、新たな生命として。
歓喜と驚愕。しばらくの間、そればかりが新王星を覆っていた。
もちろん、蘇ったのはシャドウアースの人々だ。
彼らは、一様に少しだけ恥じ、少しだけ名残惜しそうに理想郷に思いを馳せ、そのまま市井に戻っていった。
ソーサーは、その様子を満足げに見つめていた。
「想像以上の成果だったな。後は、用が済んだら、あのデカブツにお引取りを願いたいわけだが」
聖騎士団の面々は疲弊の極みに達していた。生賛として捧げた神霊騎は、人々の復活と共に戻ってくるとはいえ、今のところ満身創痍といっていい。
「要するに、星海獣の進路を少しだけ変えればいいわけだろう? この間のように」
変身ヒーロー、マスクド・ライダー・ザリガはすでに決めポーズを終え、変身を完了していた。
「聖騎士団が壮健な間は余計なお世話かと控えていたが。どうやら、オレも少しは役に立てそうだな」
「一人で戦おうってか? 死ぬぜ、マスクの兄ちゃん」
「元より、悔いはない」
ザリガは神霊騎を保有していない。だが、代わりに星座の力を極限にまで増幅させる。
ソーサーは、最期に一度だけシータを振り返った。
「世話になったな。後の事は頼んだぜ」
シータは、黙ったまま柔らかく微笑んで見送る。
ザリガが跳んだ。全てのオーラを身に纏い、星海獣に向かって渾身の飛び蹴りを放つ。それは、正義の閃光となって星海獣に突き刺さした。相手は、蚊にでも刺されたかのようにごくわずかだけ身じろぎした。
無事に着地したザリガは悔しげに見上げる。
「畜生! 効かなかった!」
「いいや、十分さ。感謝するぜ、ライダー!」
ソーサーは、星海に身を躍らせる。
何度も言う。太陽が出ていた。煌々と光を放ちながら。
かつては考えられないことだった。陽の光を浴びて、星海獣の影が、星海全体に広がっている。
影を奪う者、ソーサー。彼は、全ての力を振り絞り、星海獣の途方もなく巨大な影を……。見事に奪いきった。
あまりの超過容量に、ソーサーは魂ごと砕け散る。
後は……。
星海獣の魂が入った小さなシャドウルナが残される。
「ありがとう、ソーサーさん。貴方のこと忘れません。みなさんの命のこと、魂のこと、忘れません」
シータは、手の平サイズのシャドウルナを抱きしめる。
『ウィンド・オブ・スターシア』B2の最終リアクションが到着しました。
アクションについては毎度の如く一文字も採用されないという清々しさで、全10回を通した提案の無視され具合は、今まで参加したゲームの中で文句なくナンバーワンと言えるでしょう。「××のためにできない/失敗した」という描写があれば納得できるのですが、提案自体を無かったことにされてしまうものですから、なんとも張り合いがありません。特に私の場合、事態を変化させたり、新たな情報を入手することを目的に、失敗するであろう行動をわざとキャラクターに取らせることもありますので、逆説的にリアクションの中で全く失敗しない今回の状況は非常に辛いものがあった次第です。
と言いますか。
最終回に「分裂したアクシズの片方が地球に落ちる」並の新たな大問題を提示し、その解決を「アムロがνガンダムでサイコフレームを共振させて圏外に押し出した」並に特殊能力を持ったNPCに解決させてしまうというのは、マスタリングとしてどうなのかと思ったり。